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村上春樹が変えた日本のいくつかのこと、8時からの営業になること

村上春樹が日本人にあたえた影響って色々あると思うんですね。

①日本人の文体が変わった

これは以前にも書きましたが、本当に「がらっ」と変わりました。50年後、100年後に、色んな研究者が解説すると思います。

②パスタを茹でる人と、ランニングする人と、アイラモルトを飲む人が増えた

これは冗談ですが、ちょっと本気です。彼のライフスタイルを真似して、翻訳したり、ロッシーニやビーチボーイズやスタンゲッツを聴く人も増えたと思います。

③カフェやバーに通う人、経営する人が増えた

これは自信を持って言えます。村上春樹登場以降、カフェやバーを上手に使う日本人が増えたし、多くの人が、「村上春樹読者」です。

そして、「カフェやバーをやってみよう」と思う人の、多くが、「村上春樹読者」です。

ご存じかどうか、村上春樹って、若い頃からずっと「ジャズ喫茶」を経営していたんですね。

それで、ジャズ喫茶を経営しながら、ジャズのレコードの解説を書いたり、小説を書いたり、BRUTUSに出たり、糸井重里と仕事をしたり、という、1980年代は、典型的な東京のお洒落な文化人だったんです。

今は「ノーベル賞とるかも」みたいな存在ですが、以前は「みんなの憧れのお洒落な東京の文化人」だったんです。

その「村上春樹のようなスタイル」に憧れて、カフェやバーに通ったり、パスタを茹でたり、ランニングしたり、ブログで村上春樹のような文章を書いたりする若者がたくさん出てきたのですが、実際に、カフェやバーを経営し始めた若者もたくさん出てきたんです。

彼らって、飲食店経営者なのに、ブログを書いたり、それが本になったりするんです。そして「小説を書きたいなあ」って考えたり、「BRUTUSにのりたいなあ」って考えたりするんです。

まあ要するに僕もそのうちの1人なわけですが、「村上春樹はジャズ喫茶はやめて、作家になった」わけですよね。村上春樹的なスタイルを望む人たちの「上がり=ゴール」は、いつかお店をやめて「執筆活動のみで生活すること」なんです。

それで僕も、「早くお店をやめて、執筆活動だけにしたいなあ」とずっと思ってたのですが、ほぼ全員が「反対する」んです。理由は「おまえは村上春樹じゃないから」なんですね。まあ当然です。

僕、ちゃんと自分の「才能」のようなものが把握できてまして、村上春樹が100だとして、あの人たち(ご想像にお任せします)が90くらいですよね。だとしたら、あの人たち(これもご想像にお任せします)が80ぐらいで、僕は70くらいなんですね。

で、なんとなく、「70は70なりに、こういう風に書いていけば、やっていける」っていう感触が最近はあるんです。

さらに、僕は渋谷で23年間バー経営してきたので、色んな繋がりがあって、みんな親しくしてくれるので、その人たちと知り合いという財産を使って、なんとかやっていけそうな気もしているんです。

僕が「お店やめない方が良いな」と思ったきっかけがありまして。

ある日、このnoteの社長の加藤さんと、プロデューサーの三原さんが、開店時間直前のbar bossaに来たんですね。

僕は普通に「お客さん」として来たのかなと思って、お店を開店したんです。

そしたら、「まだ仕事中なんで」って言って、ジンジャーエールを飲んで、近所のテオブロマで買ったチョコレートを出して、「これ奥さんに」って言って、「林さん、お店やめちゃダメですよ~」とだけ言って、帰っちゃったんです。

「あれ? 加藤さんと三原さん、それだけ言いに来たんだ」と思って。

今、すごく忙しいはずのお二人が、まあ近所についでがあったんだろうとは思うけど、「お店やめない方が良い」だけを言いに来たんだと気づきまして、「これは続けよう」と思いました。

僕、こういう「人との繋がり」や「誰かの僕への思い」だけで、そんなに才能はないのですが、人生をなんとかうまく乗りこなしてきてるんです。

あるいは、こういう記事を読んで、「スキ」を押してくれたり、シェアしてくれたり(無理にしなくて良いですよ!)、仕事を依頼してくれたり、本やnoteを買ってくれたり、お店に来てくれたりしている人たちのおかげで、なんとかやってきた人生なんです。70くらいの才能ってそういう「誰かからの助け」が必要なんです。

だからまあ、お店続けます。

でも、やっぱり「書く時間」がほしくて、本当は営業日を少なくしようと思ってたのですが、「午後8時から12時までの4時間営業だけのバー」にします。

よろしくお願いいたします。

宣伝ですが、今売り出し中の本とnoteのリンクを貼っておきます。noteは1ケ月30本で300円です。1本10円です。



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林伸次
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