連写一眼 Canon AE-1
アクセントの位置に注意してください。
「れんしゃいちがん」
1976年に発売されたシャッタースピード(SS)優先AEカメラで、シャッタースピードを決めると、明るさに応じて絞りが自動で変化します。
それまでは高級機だったAEカメラを低価格で発売し、大ヒットしたカメラです。
キャノンはSS優先AEカメラの製造をメインとしていました。
SS優先AEは、スポーツ競技などで動きを表現したい時や、手ブレ、被写体ブレを起こしたくない時に有効で、それがキャノンが「オリンピックカメラ」としてスポーツ競技写真用のカメラに選ばれていた理由だと思います。
■優先AE
露出を決めるのはISO、シャッタースピード、絞りの3つです。
ISOは入れるフィルムによって決まるので、あとは先にどちらを決めるかが優先AEの違いです。
この頃は、シャッタースピードと絞りのどちらを優先するかで各メーカーで力の入れ方に違いがあり、ユーザーの間でもどちらが優れているか論争がされていました。
・SS優先
キャノン、コニカ
・絞り優先
ニコン、ペンタックス、ミノルタ、オリンパス
この論争は、ミノルタがどちらも使える両優先AEカメラ「XD」を発売したことにより終結したようです。
以降は、各メーカーから両AE優先のカメラ(※)が発売されました。技術の遅れはユーザー離れに繋がるので、開発しないわけにはいかなかったのだと思います。
※A-1(キャノン)、FA(ニコン)、super A(ペンタックス)など
■使えるレンズの種類
キャノンのレンズマウントは古い順に
R,FL,FD(NEW FD),EF,RFがあります。
※EF,RFマウントは電子接点のついたAFフィルムカメラとデジタル一眼カメラ用なので省きます。
・AE-1で使えるレンズ
左から、FLレンズ、FDレンズ、NEW FDレンズ
以下の場所で見分け方ることができます。
・銘板に記載されているマウント種類
・絞りリングの位置(FLは前玉側、FDはマウント側)
・連動ピンの数(FLは可動1本、FDは可動2本固定2本)
AE-1はFDマウントです。NEW FDレンズも使えます。後方互換でFLレンズも使用できますが、SS優先AEが使えず、露出計も絞り込み測光方式になります。
カメラ本体もマニュアル操作に優しい作りとなっていないので、はっきり言って使い物になりません。
ネットオークションでAE-1にFLマウントのレンズをつけて出品されているものをたまに見かけるので、機能に制限があることを了承の上、購入して下さい。
■AE-1の使い方
・電池
電気制御式シャッターのカメラなので、電池(4LR44)が必要です。
電池切れ時の緊急シャッターがありませんので、予備電池を用意しておくと安心です。
巻き戻しクランク右側の黒いボタンはバッテリーチェックボタンです。ファインダーを覗き、ボタンを押すと指針が動きます。f5.6辺りに四角いマークがあるので、それより下に針が振れていれば電池残量は充分です。
・露出計
巻き上げレバーの下のISO(ASA)ダイアルを引き上げて回し、フィルム感度を合わせます。
FDまたはNEW FDレンズをつけたら、絞りを「Aまたは〇」に合わせます。SS優先AEが有効になります。
シャッターを半押しすると指針が適正露出となる絞り値を指すので、露出オーバー(上部の赤いマーク)、アンダー(赤ランプ点滅)とならないようにシャッタースピードを変えてください。
ここで使いづらいことがあります。シャッターボタンから指を離すとすぐに露出計がOFFになり、指針が移動してしまいます。
電池消費をなるべく抑える仕組みなんですが、シャッターボタンもシャッタースピードも人差し指で操作するので、絞りを確認しながらシャッタースピードを決められません。
さらに、巻き上げ後だと指が行ったり来たりしているとき誤ってシャッター切ってしまう恐れがあります。
その時は、カメラを構えた時のマウント左横付近にある下側、銀枠の黒いボタンを押してください。押している間、露出計がONになります。
絞りを選んで撮影したいときは、押しながら指針が撮影したい絞り値になるようにシャッタースピードを変えてください。
その上、銀色のボタンは逆光撮影時の露出補正ボタンです。シャッターボタン半押ししながら押すと、1.5段絞りが開きます。
Nikon FEなどとは違い、露出補正ダイアルはついてません。逆光以外で露出補正したい場合、ASAダイアルで補正するかマニュアル露出で撮影します。
・セルフタイマー
シャッターボタンの脇にあるレバーを前に回すとセルフタイマーが有効になります。シャッターボタンを押すとLEDランプが点滅し、10秒(20回点滅)後にシャッターが切れます。
何の前触れもなくシャッター切れます。フィルム入れる前に確認する事をオススメします。
キャンセルしたい時はバッテリーチェックボタンを押してください。
慌ててレバーを戻してしまうとシャッター切れますので注意してください。
・シャッターボタンロック
レバーを手前側に引くとシャッターボタンがロックされます。カバンにしまう時や、すぐ撮影しないときはロックしておきましょう。
・マニュアル露出
AEを使わずに撮影したい場合、FDレンズとFLレンズで操作方法が異なります。
FDレンズでマニュアル露出撮影する場合、レンズ側の絞りを操作して、指針の絞り値に合わせます。
ファインダーから目を外さないとレンズの絞りがわからないので、絞りを決めてからシャッタースピードで露出をコントロールした方が良いと思います。
FLレンズの場合、レンズの絞り連動を「M」に合わせ、カメラを構えて左側のレバーをレンズ側に押し込むと、レンズの絞り羽根が絞られます。
F5.6にある四角いマークに指針を合わせたところが適正露出になります。
絞ってしまうとピントが合わせにくくなるので、先に絞り開放でピントを合わせておきます。
■モータードライブ
連写一眼カメラですが、連写するには別売りのモータードライブが必要です。(単3電池×4が必要)
これをつけると、シャッター切ったあとに自動で巻き上げてくれます。シャッターボタン押しっぱなしで連続でシャッター切れます。
連写なんてしないですが装着します。
せめて電源供給してくれるとうれしいのですが。
■まとめ
AE-1はシャッタースピード優先AEを使うことを前提として設計されていて、マニュアル露出撮影には向かないと思います。
また、モータードライブによる連写も、フィルム代・現像代が高騰してしまった今では無用の長物です。連写はデジカメで充分です。
シャッタースピード優先AEで良い点は、手ブレを起こしにくくする事ができるということです。
よく言われるのは、焦点距離とシャッタースピードの関係で、「1/焦点距離」より速いシャッタースピードが必要ということです。
例えば200mmの望遠レンズでシャッタースピードを1/250秒にしておけば、どんなシーンでも手ブレによる失敗は少なくなります。
絞り優先AEカメラとは違った写真の撮り方が楽しめると思います。
AE-1で撮影
動きのある被写体じゃないですね。。。