心臓を焼かれて思う
マジでヤバいくらいにハートビートがフリースタイルだったので…
いや、あれです。
いわゆる不整脈ってやつだったので、カテーテルアブレーションなる治療を受けました。
「カテーテルアブレーション」
という少年漫画の必殺技の名前のようなこの治療、ざっくり言うと2ミリ程度の治療用の管を数本、動脈or静脈にブッ刺して心臓までナビゲート、その後心臓内の問題の箇所をジュっとやるという治療です。
めちゃめちゃざっくりかつ適当に説明してしまったので、ちゃんと知りたい方は調べていただきたい。
いやあ、人生初の手術の場所がいきなり心臓。
鮮烈デビューにも程がある。
大型壮年新人と呼んでいただきたい。
場所が場所だったけど、一般的な手術で身体負担も軽く、不整脈の改善の可能性も高いというウワサだったので、結構迷った挙句に…なんか今年の冬は凄く悪化しそうな予感もあったので…「今しかない!」という気がして手術を決断しました。
その選択が本当に正しかったのかどうか分からないけど、治療後の数日たった現在、飛びに飛んでいた脈は正常に、やたら低かった血圧も標準値になりました。
あれ、そういえば、手足がやたら冷える事も無くなっている。胸にずっと何かつっかえてたようなものがあったけど、無くなってる。寝てて、動悸がひどくで目が覚める事も無い。
つまり、調子は良くなっている。
治療が効果的だった一例となれて良かったと思う。
治療箇所が心臓だというのに、手術を受けるまで結構楽観視しており、なんとなく「手術しても自分は大丈夫だろう」という気持ちがあったのだけど、前日に実際に使う器具を見せてもらったり…(いや、もう見た瞬間「え?これが何本も刺さるの?怖すぎじゃない?馬鹿じゃないの!?」と思うほどだった…。2ミリって結構太いですね。)…最悪な場合の説明を聞くと血の気が引いて
「なるほど!やっぱりやめて帰ります!」
という言葉が喉まで出かかったほどだ。
あと、悪い癖で「これ、治療中に地震きたら死ぬよね?」とか、さらに最悪なシュチュエーションも想像したりしてね。
説明聞いた後、病室に帰った時の顔は結構青ざめていたと思う。
まあ、まずは落ち着こう。
てか、大丈夫とは思うけど。
まず、何も起きないと思っているけど。
落ち着かない!
なんか落ち着かないので、妻が気を利かせて送ってくれた家族の写真や動画を何度も見たり、ちょうど送られてきたタップのレッスン動画をスリッパで練習してみたり、え?今?みたいなタイミングで来たメールの返信や、仕事をしてみたり(しかしこれはこれで気が紛れた)
ああ、やはり、家族の事を考えると落ち着く。
TAPを踏むと落ち着く。
また、元気になって、帰ってたくさん家族と過ごそう。
変わらず、隙あらば踊っていこう。
まあ、気にしすぎさ。
ちょっとナーバスになっちゃってるってヤツさ。
…ま、でも、ビビるよね(今更だけど)。
そして迎えた当日。
せっかく落ち着いて来てたのに若干不安を煽る出来事があったので(ここはあえて触れずにいこう)
「本当に大丈夫だろうか?逃げなくて平気だろうか?」
と青ざめMAX。
元気だけど車椅子に乗せられ、アグレッシブなドライビングで手術室に到着した。
来てしまった。
いよいよだ…。
いやー、やっぱりビビるよね!
いまいち気持ちの整理がつかない!
そんな事を思いながら、バーン!とドアが開かれた。
「よろしくお願いします!看護師の〇〇です!大丈夫ですからね!頑張っていきましょう!」(正確には覚えてないけど)
何この人!
頼もしい!
アベンジャーズ!?
アベンジャーズ来てくれたこれ!
もう安心だ!
笑顔、元気、理由もなく頼しい。あと、ちょっとデカイ。
こういう人がこういう場にいると、なんか安心感あるんだなーと実感しました。(個人の感想です。)
そしてテキパキと準備を進める皆様。
他に手術受けた事ないからわからないけど、なんかデキる感じの方々だ。これまた安心!
さらに、これまた安定感抜群の印象の先生が最後に現れ、不安は一気に薄れていく。
任せても大丈夫そうだ!
…皆さんの事何も知らんけど。
先生も昨日会ったばっかりだけど。
いやいや!
よし、自分も出来る事をしよう。
…。
何かある?出来ること?
そうだ!
手術中動いてしまうと危ないと先生が言っていた。
もちろん、そうならないようにガッチリ固定してくれるのだけど、安全の為、微動だにしたくない。
動くなよ!と自分に何度も暗示をかけよう!
「絶対に動くなよ!」と!
動くな!お前は凄腕のパントマイマーだ!地蔵だ!置物だ!
「麻酔かけますねー」
了解です!お前は…
「はい!終わりましたよー!」
手術終わってるーーー!!!
何これ!?
夢!?
麻酔って凄い!
考えた人天才!
てか良かったー!無事終わったんだ!
意識は朦朧としてましたが、本当にホッとしましたよ。
良かったー♪
その後は、ICUに移され様子見。点滴など続けつつ、麻酔が醒めきらない頭でぼんやり横になってました。
そんな醒めたり、麻痺したりの状態で「絶対に動くなよ!」の暗示は有効で…
両手には点滴が刺さったままだし、首と足の付け根はカテーテル挿入の傷があり、負担をかけたくない…既に拘束を解かれているから、無意識に動いてしまうと傷が開くかもしれない…どうすれば身体をしっかり固定できるか…
はっ!?
踵!
KAKATOならしっかり固定できるのでは!?
力は抜きつつ、カカトを錨のごとくベッドに固定し、引き続き不動の体制をとるべし!
などといらん事を考えた結果、意識が完全に戻った時には頑張りすぎた踵に激痛が。
まさかの、カテーテル挿入箇所より痛い。
なんだっけ?今回手術した場所って踵だっけ?違うよね?
看護師さんが様子を見にきてくれた時も
「痛い箇所とかないですか?」
「踵が痛いですね。」
「え!?踵!?(何故!?)」
みたいなやりとりが行われ、踵が痛いのはレアケースだと分かりました。(そりゃそうだろう)
まあ、そんなこんなで、無事に治療を終え帰ってきました。
そうそう、踵のせいで気づきませんでしたが、カテーテル挿入の傷はまあまあ痛い事にも帰ってから気づきましたよ。(もちろん、思ったほどではなかったし、なんならもうタップも踏めそうなくらいでしたが。)
術後は前述の通り、体調が良いです。(踵も大丈夫です!)
あと、なんか前より心持ちが変わった気がする。
自分が大切に思っていた物・事は、思っていた以上に大切で、多分これからもずっと大切。
それ以外は、別にどっちでもいいやと。
これがいい考えなのかはわからないけど、いらん事を気にしなくなったような気がする。気にしないフリでは無く。
それと、この手術、今回は上手くいったようだけど、できれば2度と受けたくない。
その為に、やれる事を、やりたい事を、やるべきことを、自分のペースでやっていこう。
リズムキープ。
ただし、カカトは使わずに。
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