『飽きてから』いってきたよ
はい。飽きた。めっちゃ飽きた。なんでインタビュー四時間の文字起こしをしているんだろう。なんで文字起こしの合間に執筆してるんだろう。書くしかしてない。文字書きさん。飽きた。飽きた。少しだけタイピングが早くなっただけ。ホームポジションも出来てないのに。
今日は車に思いっきり水をかけられた。車校で水はねには気をつけなきゃいけないって言われてるでしょう。
ロロさんの(劇と短歌)『飽きてから』千秋楽、観てきました。
学生チケが毎回0円なのが本当にありがたすぎて、というかそれがフックになって最初見に行ったから、感謝の気持ちでいっぱい。台本買わせていただきました。普通に欲しかったのと、応援の意も込めて。僕が初めて見に行った芸劇でのオムニバスストーリーと今回のやつ。
そうなんですよ。僕が最初にロロさん見に行ったのはオムニバスストーリーで、確かこれも王子小劇場でもらったビラから、面白そうなやつ探して行ったんです。学校帰りだったな。客席入った時から、セットがすごい綺麗可愛くて、それですでに惹かれる。今回の『飽きてから』も、モノがいっぱいに並べられた棚に、影の街並みに、横に細長いステージにたくさん詰まっているセットがワクワクを与えてくれる。開演までも楽しいステージです。
始まってみれば、穏やかな、ゆったりとした心地の良い時間が流れる。キラキラの青春でも、波瀾万丈の生活でもない、この間のナチュラルな期間が描かれるのが新鮮で、何気ないくだらないけど、その一瞬では大事だった会話がたくさんあって、好きな雰囲気。これを作り出せるのがすごい。自然と生まれる会話を作り出せる解像度の高さが素敵。この人生の切り取る瞬間がいいんだよな。誰にもある普通の日常の一瞬が、ちょっとひとクセあるキャラクターでなんか面白く映る。思考や発想の突飛さが楽しい。物語じゃなく、日常ってこんくらい突飛に進んでる。それを切り出せるのが良い。ナポリタンの話は別れ話なんだ。
”劇と短歌”ということで、ワンシーンごとに短歌が流れる。ここの映し出された短歌を読む時間がなんとしみじみすることやら。読みながら、直前の話を振り返る。こんなだったなぁって反芻しながら。そして何よりも、見てるときは注目してなかった部分にふっと視線が向けられる。青としっぽの髪を乾かしながら駄弁る話がすごい好き。二人の価値観や育ってきた世界の違い、お互いに胸の内に思うことあるだろうけど、一緒に暮らして、お互いの髪を乾かし合う。少し、その二人の差と、そこにある嫉妬と羨望と愛のぜんぶが水面下に漂うやりとりに胸がちょっとチクリとする。そして最後の歌で、しっぽのくるんくるんのブリーチヘアーに目がいく。歌を二度、三度、四度、読み直す。読み直せば読み直すほど、チクっとした胸の痛みがじんわりと沁みていく。この余情が良い。劇と短歌で違うところにピントが合う。一度で二度楽しめる。最高じゃん。
それで〜!僕が〜!めちゃくちゃ好きだなって思ったの〜!頬杖さんの涙をビー玉にして残すやつ!!もうすでに素敵じゃないですか?僕、わりかし忘れっぽくて、つい数ヶ月前のこととかもすぐ思い出せなくなっちゃうから、めちゃくちゃいいなーって思って。涙って、悲しい出来事も多いはずなのに、それが綺麗な大粒のビー玉になると、なんかこれも良かったんじゃないかってなりそうな。素敵な知恵で。金魚鉢にキラキラと輝くビー玉が綺麗で。落としても、全部残さず拾いましょう。一つ一つ大切な涙ですね。僕もやりたい。100均でビー玉買ってこようかしら。
こう、隅々の空気と言葉から生まれる生活のユーモアが楽しくて。
何かが生まれるまでじゃなく、何かが終わった後、起きた後の、飽きてからのお話のしっとりと振り返っていく雰囲気に、短歌の言葉が乗っかって、沁みる余情感が気持ちいい。永遠にこの劇場で、この席で、この話を見ていたい。そんなくらいの心地いい観劇だった。
この感想は飽きないうちにしたためておこう。キーボードのホームポジションを身につけようかな。
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