FC東京 中間レポート ~選手編~
2月24日に開幕した、明治安田生命J1リーグも、折り返しに近いところまで来ている。われらがFC東京は、17試合消化して7勝5分5敗で6位と、可もなく不可もないいわば「いつもの」立ち位置。代表ウィークでひと段落した今、ここまでの選手評価を書きなぐっていきたい。
GK
#1 児玉剛
3試合出場 2CS
【ここまでの雑感】
移籍後6年目のシーズンとなった今季は、野澤、波多野に次ぐ第3GKとして開幕。しかし野澤の代表離脱、波多野の退場等でリーグ戦のベンチ入り機会は多くあり、初出場はルヴァンカップYSCC横浜戦。ベテランらしい安定したパフォーマンスと、足元の繋ぎで完封勝利に貢献した。一方で、波多野の退場で急遽出番が回ってきたリーグ13節の柏戦では、2点のリードを守り切れず。特に3失点目の起因となったミドルシュートのファンブルは痛恨で、以降出番は回ってきていない。
【ピックアップマッチ】
ルヴァンカップ2回戦 vsYSCC横浜(A)
今季初出場となったこの一戦では、ビッグセーブと足元の繋ぎの安定感を披露。試合勘もない状態で不安もあったはずだが、見事完封で試合を締めてみせた。
【今後の立ち位置】
高いプロ意識と、ベテランらしい面倒見の良さで、若いGK陣には不可欠な存在。しかし1選手で見ると、柏戦で露呈したように、J1で常時スタメンを張るには少し厳しいのが現状。足元に関しても、ショートパスにはチーム瑞いつの安定感があるが、ロングレンジのキックには不安定さが残る。今年で37歳になることを考えても、東京を終の棲家にしてくれる可能性は高そうだが、未だJ2ではスタメンを張れるだけの能力は持っているため、冬の判断には注目したい。J1の第3GKにしては贅沢すぎるほどの能力を持ち合わせているのは間違いない。
#13 波多野豪
13試合出場 0CS
【ここまでの雑感】
野澤(大)のアジアカップ出場と負傷の影響もあり、開幕スタメンに抜擢。課題であったハイボールの判断を長崎へレンタルした1年で克服した模様で、元々の特徴であるビッグセーブも含めて、失点は重ねつつも安定感あるプレーを見せる。
しかし、第5節川崎戦(A)でペナ外で相手を倒し1発退場し、野澤(大)にポジションを奪われる。その後野澤(大)の代表離脱で再び正GKに戻るも、第13節柏戦(H)で再び1発退場。ちょうど代表から戻ってきた野澤(大)にポジションを奪われた。
ルヴァン杯広島戦ではスタメン出場も、2試合5失点と結果を残せず。特に第2戦での2失点目は、正面のシュートをファンブルする形でゴールを許しており、開幕以降軽率な形で失点に絡むことも少なくない。
【ピックアップマッチ】
J1リーグ第8節 vsヴェルディ(H)
前半途中で数的不利になり、押し込まれる時間帯が増える中で、ビッグセーブを連発。劇的同点弾の起点となるロングボールも放ち、まさに獅子奮迅の活躍だった。
【今後の立ち位置】
正GKとしては率直に言って凡ミスが多すぎるのが現状。試合を重ねて行くごとに足元は改善傾向、あとは本来必要なGKとしてミスをしないところと、何より動じないメンタリティだろう。ここがつけば東京の守護神はおろか、日本の守護神として君臨してもおかしくない。
ただシビアなこともいえば、チーム愛があって、試合勘も長い間出場がなくてもあまり鈍らない、第2GKとしても能力的にうってつけ…というのが現状の評価か。
#31 小林将天
出場なし
【ここまでの雑感】
今季U-18より昇格した18歳。層の厚いGK陣に割って入ることはできていないが、まだ1年目。練習等を見た感想としては、物怖じしないメンタリティがGK向きという印象。
【ピックアップマッチ】
出場ないため割愛
【今後の立ち位置】
まずはプロの水に慣れつつ、来季以降の武者修行で研鑽を積むといった感じか。理想は野澤(大)のような育て方で、カテゴリー問わず試合に出れるチームで成長してほしい。一方で、来季はU-18代表の正GK、後藤の昇格も内定しており、うかうかしていられないのも事実。
#41 野澤大志ブランドン
8試合出場 2CS
【ここまでの雑感】
開幕は、自身のアジアカップ参加とそこでの負傷で波多野に譲るも、波多野が退場した第5節川崎戦(A)の途中から今季初出場。その後の国立2連戦での連勝に大きく貢献した。
その後再びの代表離脱で波多野にスタメンの座を奪われるが、第14節名古屋戦(A)でスタメン復帰。去年の1番いい時期ほどの輝きは見られないものの、試合勘も戻り徐々にコンディションは上向き傾向。しかし三度の代表離脱がどう影響するか。
【ピックアップマッチ】
ルヴァン杯3回戦 vs鳥栖(A)
終了間際の失点はお粗末だったが、PKストップで勝利に貢献。誤審による延長戦、怪我人といったネガティブな要素の多い試合で、唯一にして最大の収穫である「勝ち進む」を実現したのは紛れもなく彼のおかげ。
【今後の立ち位置】
持っている能力に疑いの余地はない。本調子時のセービング、足元の技術、メンタリティ、どれをとっても正GKにふさわしい。課題はハイボール処理と、たまの凡ミスだが、致命的な弱点には至っていない。
彼にとって最大の壁は、代表から戻ってくるたびに試合勘がリセットされて、持ち合わせている能力を発揮するまでに時間がかかることだろう。現在のU-23代表は、鈴木(シント=トロイデン)、小久保(ベンフィカ)の方が序列は上で、試合に出ることさえままならない中で、今回のアメリカ戦、そして五輪後のパフォーマンスには大きな不安が残る。
代表に行かずに東京で活躍する方が長期的にはプラスなのでは…とも思うが、それは本人の意思に反しており、サポーターの利己的な意見なのだろう。
DF
#2 中村帆高
7試合出場 0G0A
【ここまでの雑感】
アキレス腱断裂という大怪我からの復活を期する今季、第3節神戸戦(H)で復帰し、第6節浦和戦(H)で先発復帰も、肉離れにより無念の途中交代。2カ月弱のリハビリから第17節鳥栖戦(A)で復帰するも、試合勘は戻りきっておらず、ルヴァン広島戦(A)では失点につながるミスも見られた。
【ピックアップマッチ】
出場時間短いため割愛
【今後の立ち位置】
怪我さえなければ激戦のSB陣の中でも能力は抜きんでている。対人能力、空中戦、ポジション取り、オンザボールの精度、そして何より闘志。ただ本当に怪我が多いことだけが悔やまれる。肉離れから復帰し、試合勘を養っている最中だが、シーズン中盤から後半にかけて、青赤の右サイドを制圧する帆高を私は見たい。
#3 森重真人
11試合出場 1G1A
【ここまでの雑感】
「青赤の象徴」森重真人も今年で37歳。今季はついにスタメンの座も明け渡し、エンリケ、土肥、木本に次ぐ4番手の立ち位置に。
出場した試合でもさすがに衰えが見え始め、第13節柏戦(H)、第14節名古屋戦と失点に直結するミスを2戦連続で犯し、サポーターの批判を浴びることも。特にカバー範囲の狭さは顕著で、ハイラインを敷くチームとは明らかにあっていないところが随所に見受けられ、苦し紛れの背走が目立つシーンも多い。
しかしプロ19年目の底力は伊達なものではなく、ルヴァン杯鳥栖戦(A)ではヘディングでの貴重な先制点をマークし相変わらずの得点能力を見せ、ボックス内での守備の固さと自分の間合いに入った際の1対1の強さはいまだ健在。ベンチでも積極的に声を張り上げ、精神的支柱としても欠かせない存在だ。
【ピックアップマッチ】
ルヴァンカップ3回戦 vs鳥栖(A)
失点に直結するミスを連発し、批判もあった中での先制ゴールは、彼の反骨精神を感じるものだった。さらにボックス内での固さと危機察知能力で、ディフェンスリーダーとして薄氷の勝利の一役を担った。
【今後の立ち位置】
間違いなくFC東京最大の功労者の一人で、東京で現役を終えてもらうべき選手である。一方で、ハイラインを敷くチームでは厳しいカバー範囲で、正直1stチョイスとして起用するのはもう厳しい。時にベンチからチームを鼓舞し、時に守備固めとして相手を制圧しながら、東京の一員でずっとあってほしい。理屈ではなく、モリゲは東京にいるべきだし、モリゲとともに優勝したい。この思いは東京サポ全員の共通認識なはずだ。
#4 木本恭生
9試合出場 1G1A
【ここまでの雑感】
移籍3年目の今季は、怪我もあって開幕はメンバー入りも叶わず厳しいスタートも、第4節福岡戦(A)で先発復帰しチームの快勝に貢献。しかし次戦で負傷交代すると、第14節名古屋戦(A)で先発復帰するも、終始低調なパフォーマンス。
チームの台所事情もあって試合を重ねるうちに本来の守備の固さと、時間と空間が与えられた際の配球能力も戻りつつある中で、ルヴァン杯広島戦(H)でドウグラスヴィエイラに肘うちを浴び鼻骨骨折で離脱となってしまった。
木本も森重同様ハイライン志向のチームと合わない中で、迎撃ではなく前から潰す守備にも果敢にチャレンジしていただけあって、不運の離脱からの復帰が待たれる。
【ピックアップマッチ】
J1リーグ第17節 vs鳥栖(A)
試合勘が戻りつつある中で、FW顔負けのバー当てゴールを決め勝利に貢献。本来苦手であるはずの前に出る守備、そして余裕があるタイミングでの配球能力には好感を持った試合だった。
【今後の立ち位置】
傷害事件を起こされて離脱になったのは本当に不運としか言えないが、千載一遇のチャンスを逃した感が否めないのも残酷な話である。元々ハイラインに適した選手ではない中で、台所事情もあってスタメン出場を続けていた印象が強いが、復帰後には戦術にマッチした土肥、エンリケ、さらにプロの水に慣れてくるであろう岡、重鎮森重とのし烈な争いが待っている。
同じタイプの森重が東京のバンディエラ的な立ち位置を確立していることも考えると、相当な活躍をしない限り、今季限りとなってもフロントを責められないのが現状。ここからの巻き返しに期待したい。
#5 長友佑都
14試合出場 2G1A
【ここまでの雑感】
今年38歳になるにもかかわらず、衰えを見せない超人。開幕からスタメンに名を連ねると、一時期白井に譲るものの、最終的に戻ってくるのはこの男。やはり足元の硬さは気になるが、内側のポジション取りは年々改善されており、直近では列落ちしたボランチの代わりにライン間に入り込むことも多い。世界と渡り合ってきた対人守備は健在で、どれだけ切れ味鋭いウインガーでも彼の前ではなす術がない。
そんな超人も年齢に伴う怪我には抗えないようで、今季も小さい怪我で何度か離脱している。直近の代表でも別メニューが続いており、動向が心配される。
【ピックアップマッチ】
J1リーグ第15節 vs横浜FM(H)
守備では対面するエウベルを無効化し、攻撃ではペナ付近から豪快なゴラッソをぶちこむ。まさに八面六臂の大活躍で、チームに貢献した。
【これからの立ち位置】
いつ衰えてもおかしくない年齢だが、それを感じさせないのが彼のすごいところ。これからも東京のサイドバックとして駆け回り、その生き様を見せてほしい。仮に試合に出れなくなったとしても、プロフェッショナルな姿勢と類稀な経験は、東京の若手にとって大きな財産になるはずだ。
#30 岡哲平
4試合出場 0G0A
【ここまでの雑感】
明治大学より新加入のイケメンCB。プロ1年目となる今季はCB5番手で開幕を迎え、土肥の負傷もあって第11節京都戦(H)でプロデビュー。緊張が伝わってくるようなプレーで危なっかしい場面も何度かあったが、勝利に貢献した。
ルヴァンでも出場があり、ここまでの印象は、足元の技術、プレス耐性共に現有戦力では抜けて良い。両足から放たれるロングボール、圧力をかけられても簡単に蹴り出さない姿勢は好感を持った。一方で守備面に関してはまだ成長の余地ありで、特に空中戦での勝率の低さが気になる。ハイラインへの対応含めてまだ適応中といった感じで、守備面での本領発揮は後半以降か。
【ピックアップマッチ】
ルヴァンカップ3回戦 vs鳥栖(A)
CBとして120分間出場。勝利に貢献した。特にオンザボールでの振舞いが印象的で、楔のパスと、プレス耐性はまさに現代サッカー向けの選手だと感じた一戦。
【これからの立ち位置】
現状の序列は変わらず5番手だが、怪我人も多い状況でチャンスは少なくないだろう。大卒ということもあり1年目から早速正念場。ここで居場所を見つけられれば来季以降も戦力としてチームに残れるが、そうでなければ下部カテゴリーへの武者修行も選択肢としてはありそうか。
どちらにしてもオンザボールには疑いの余地がないため、守備をプロ仕様にアジャストすることが喫緊の課題になってきそうだ。
#32 土肥幹太
8試合出場 0G0A
【ここまでの雑感】
弱冠19歳にして東京のディフェンスリーダーに君臨した印象だ。今季は開幕からスタメンに抜擢。体調不良で離れる期間もあったが、ハイライン戦術での細かなライン修正と、ビルドアップでの前進はこの若者が一手に担っていたと言っても過言ではない。
第13節で負傷交代後は欠場が続いているが、その間にチームも沈んでいるのは彼の影響が最も大きいと踏んでいる。チームの再浮上のために、一刻も早い復帰が待たれる。
【ピックアップマッチ】
J1リーグ第6節 浦和戦(H)
元々組織的な守備には秀でていると感じていたが、この試合では、スーパーゴールこそ許したが、対面のチアゴサンタナを文字通り「完封」。この対人能力を常時発揮できれば、冨安レベルのCBにまで成長するのではというポテンシャルを感じた。
【これからの立ち位置】
開幕前は若手の抜擢感が強かったが、もう既に欠かせない主力になりつつあると感じる。課題といえば対面での守備のスケールアップと、ロングレンジのパスの精度向上といったところか。それすらもすぐ克服しそうな雰囲気があり、逆に弱点がなくなって早々に海外に引き抜かれる可能性もあるが、できれば長く東京のディフェンスリーダーとして統率してほしい。
#43 徳元悠平
7試合出場 0G1A
【ここまでの雑感】
開幕はメンバー外からのスタートで、試合に出場してもウイングで終盤の守備固めという苦しい序列からスタート。ルヴァンYSCC横浜戦(A)で今季初スタメンとなり、そつのないプレーで勝利に貢献。ルヴァン広島の2連戦ではアピールしきれなかったものの、ここから巻き返しなるか。
【ピックアップマッチ】
ルヴァンカップ2回戦 vsYSCC横浜(A)
今季初スタメンで、相変わらずの保持の立ち位置の良さと、ネガトラ時の潰す意識の高さを披露し、このレベルでは一枚上手なことを見せつけた。
【これからの立ち位置】
東京で主力ではないが、他所では大活躍しそうな選手ランキング圧倒的1位な徳元。サイドバックに絶えず走ることを求められるチームにおいて、身体能力に若干の難がある徳元にあっているとは言い難い。現状ではシーズン後に他所からオファーがあっても全く驚かない。
しかし、カシーフが代表から怪我をして戻ってくる。台所事情を鑑みてもスタメン出場は有力で、この期間に一気に序列を覆せるか。
#44 エンリケ トレヴィザン
15試合出場 0G0A
【ここまでの雑感】
今季は開幕からスタメン出場。チームに欠かせない左CBとしてフル稼働している。守備能力に関してはチアゴマルチンス(元横浜FM)のレベルに達していると言っても過言ではなく、1対1や空中戦で負けるシーンはほぼない。
一方でビルドアップには引き続き難ありで、パスコースを探すために開きすぎてしまったり、ちょっと圧力がかかるとロングボールを蹴り込んでしまったりする点は改善点。
【ピックアップマッチ】
J1リーグ第8節 vsヴェルディ(H)
自身のミスもあって2点ビハインド、数的不利の展開だったが、ギリギリの守備で試合の望みを繋ぎ、同点弾の起点にもなった。
【これからの立ち位置】
世界的に見ても左利きのCBは貴重な中で、この守備スキルを持ち合わせた選手が東京にいることは僥倖と言えるだろう。まだ27歳と伸び代十分なので、ビルドアップスキルを磨き続けてJリーグNo1CBになって欲しい。くれぐれもカタールにもサウジにも行くことがないように。
#49 バングーナガンデ佳史扶
17試合出場 2G2A
【ここまでの雑感】
今季は主力左SBとして、離脱なく出場を続ける。ここまで持ち前の攻撃力を遺憾無く発揮し、4Gに絡む活躍。勉強中だったビルドアップも、内側での立ち位置、振る舞いが日々良化しており、順応もできている。
一方で守備面では、裏ケアを怠ったり、対面で劣勢に立たされることも多く、まだまだ改善が必要。
久々の復帰となったU-23代表で負傷。離脱期間は不明だが、台所事情を考えても早期の復帰が待たれる。
【ピックアップマッチ】
J1リーグ第4節 vs福岡(A)
この試合からビルドアップ時に内側で受けることのコツを掴んだ感じがある。終始安定したプレーで、1G1Aと結果もつくおまけ付き。今季初勝利の立役者は間違いなく彼だろう。
【これからの立ち位置】
まずは怪我からの復帰が待たれるが、彼の難点の1つに怪我明けのパフォーマンスが上がらないことが挙げられるので、復帰後のパフォーマンスは不安視される。
さらに五輪に行くかどうかで台所事情も変わるなど、不透明な面も多いが、課題は守備。対人の能力と裏ケアを改善しない限りは、守備の穴として標的にされることも多くなるだろう。それを補って余りある攻撃力があるが故に常時試合に出続けられるのだが、彼のポテンシャルなら守備の問題も克服できると期待している。
#50 東廉太
未出場
【ここまでの雑感】
大怪我からの復帰を期する今季だが、未だ復帰できず。公式の写真にも練習復帰した形跡はない。
彼のプレーで特に印象に残っているのは、数年前、まだユース時代にアルベルに抜擢され出場したルヴァン湘南戦(A)。ウェリントンに負けず劣らずのパワーを現地で見た私はまた有望なCBが出てきたと感じた。
その後ガッツリプレーを見れてないのでわからないが、高さ、強さは申し分なさそうなので、あとはプレス耐性とカバー範囲がどれぐらいなのか、復帰後見てみたい。
【ピックアップマッチ】
出場ないため割愛
【これからの立ち位置】
まだ復帰できていないとは言え、まだ19歳。前途洋々とは言えないかもしれないが、仮に復帰後に序列が上がらなかったとしても、来季以降の武者修行という選択肢も十分にあるだろう。多少回り道をしたとしても、デカくて強くて早い、理想のCBに育つことを願っている。
#99 白井康介
13試合出場 1G3A
【ここまでの雑感】
開幕直後はメンバー外が続く苦しい時期を過ごす。私も正直、大外を主戦場とするウイングバック的な属性の強い白井はチームにマッチせず、夏に引き抜かれても致し方ないと思っていた。
しかし、怪我人続出のチーム状況も相まって出場機会を得ると、持ち前の落ちることのない運動量とクロスでスタメンの座を得る。さらにスピードを活かした粘り強い守備に、内側でのプレーも熟し始めたところで負傷離脱。しかもスプリンターの泣き所肉離れで、台所事情的には早期復帰が望ましいが、焦らずしっかり治して帰ってきてほしい。
【ピックアップマッチ】
J1リーグ第8節 vsヴェルディ(H)
彼が輝いた試合は他にもあるが、見事なインターセプトから反撃の狼煙を上げるアシスト、そして数的不利の中粘り強い守備とガッツポーズ。この試合で彼の虜となった人も少なくないのでは。
【これからの立ち位置】
まずは怪我を完治させて再発なく復帰するところから。怪我の種類が種類なだけに、復帰直後はプレータイム管理が必須だろう。その上で、習得しつつあった内側での位置どりを自分のものにすれば、再び定位置争いとなるだろう。
元々東京の右SBは、長友、帆高、白井、安斎と多士済々。日本で一番厳しいスタメン争いを展開してほしい。
MF
#7 松木玖生
13試合出場 2G4A
【ここまでの雑感】
若き頼れるキャプテン。今季は開幕はボランチとしてスタートしたものの、第4節福岡戦(A)以降はトップ下を主戦場に。世界から注目されるトッププロスペクトは、守備時の強度、得点関与、ビルドアップ時の立ち位置などは一級品と言っていいだろう。若いチームの看板であり、21歳にしてチームの精神的支柱も務める化け物。
彼の1番の良さは、キックレンジを生かしたロングパス。とりわけ今年の東京はショートパスを繋ぎすぎて視野が狭くなりがちな中、唯一と言っていいほどサイドチェンジを多用。攻撃にアクセントをつけている。五輪も控える中で離脱も多いが、チームに不可欠な存在になっている。
【ピックアップマッチ】
J1リーグ第6節 vs浦和(H)
国立で行われた一戦で決勝ゴールをマークする千両役者ぶりを発揮。効果的なサイドチェンジなど1人だけ遠くを見れていることも多く、スケールの違いを改めて見せつけた。
【これからの立ち位置】
もはや序列の問題はないので、あとはいつ移籍してしまうか。世界的なビッククラブで活躍する可能性もあるので、今日本で見られていることを幸せに思いながら観戦したい。
プレー面での課題は2つあり、1つめは足元の硬さ。ただこれは一朝一夕に解決する問題でもなく、もしかしたら巣立った後にいつのまにか改善されているかもしれない。2つめは前からのプレスの掛け方。強度は十分だが、背後を消しながらのプレスが苦手なようなので、要改善。
#8 高宇洋
17試合出場 0G2A
【ここまでの雑感】
今季新潟から新加入したピッチ上の指揮官。開幕3試合メンバー外が続くも、その後はチームに不可欠な存在になった。ピッチ上で目に見えた修正ができている時は、おそらく彼が主導している。プレーが切れた時はよく仲間とコミュニケーションを取っているので、今季目に見えて良くなった修正力のほとんどは高のおかげだろう。
プレーは堅実そのもので、状況に応じて降りたりひらいたりしながらテンポを作る。立ち位置を間違えることは少なく、彼がいると構造上破綻することが激減する。
一方で、ロングレンジのパスは苦手なようで、逆サイドへっ展開する意識はありつつも精度が高くないので奪われることも少なくない。また、身体能力に秀でたタイプではないので、広大なスペースを少人数でカバーする現状では、守備で後手に回ることも多いのは課題だ。
【ピックアップマッチ】
J1リーグ第4節 VS福岡(A)
今季初出場となった一戦で衝撃のデビュー。ビルドアップ時の補助、堅実な守備も含めて、これまで無秩序だったチームを一気にシステマチックにした。試合前後のインタビュー記事を見ても、明らかにいるといないとでは違うなと思わせたデビュー戦。
【これからの立ち位置】
相方の小泉とともに、絶対的な地位を確立したのは明らかだろう。プレーに決して華がある選手ではないが、試合中の修正の主導と、ピッチを俯瞰してみながら常に適切な立ち位置でビルドアップを円滑に進める姿は、まさに「水を運ぶ男」といった印象。他の選手よりも、オンザボールでの明確な武器がないため、チームが成熟しきった状態で今の立ち位置を続けられているかは微妙だが、ピーター東京の成熟と完成に、この男の力が必要不可欠なのは間違いない。
#10 東慶悟
6試合出場 1G0A
【ここまでの雑感】
今年で34歳を迎える青赤の闘将は、スタメンでなくとも常にメンバー入りを果たしている。開幕以降、ボランチより上の全ポジションをこなせるというポリバレントな強みを活かし少ないながらも出場機会を得る。100点とは言わないまでも間違えない守備と、テンポよくボールを捌く動きは、及第点といった働きか。
第4節福岡戦(A)で肉離れを発症し戦線離脱も、復帰後の天皇杯三重戦で見事なボレーシュートをマーク。サポーターに批判され、常に矢面に立ってきた男は、今季もいぶし銀の働きを見せている。
一方で、ロンドン世代ということもありサッカー観は少し古めで、列落ちサポートの際の立ち位置が微妙なこともたまにあり、そこは修正してほしい。
【ピックアップマッチ】
天皇杯2回戦 vs三重(A)
見事なボレーシュートで先制点をマーク。ゼロトップ起用の佐藤との呼吸はいまいち合わなかったものの、時に降りながらビルドアップをサポート。チームの危なげない勝ち上がりに貢献した。
【これからの立ち位置】
不満分子に絶対ならないことは確実で、チームに残しておいて絶対に損はない選手だが、伸び盛りの若手が同ポジションに多い中で、来期以降の処遇は不透明だろう。出れば安定したプレーを見せ続ける一方、爆発的な武器はなく、状況次第では契約満了の選択肢があってもおかしくはない。
しかし、サポーターも東への思い入れは強いはずで、それは私も同じ。2019年の悔しさと東の報われなさを考えると、リーグ優勝時にいてほしい選手の1人である。
#17 寺山翼
3試合出場 0G0A
【ここまでの雑感】
今季は相次ぐ補強もあり、メンバー外からという苦しいスタート。初出場は第8節ヴェルディ戦(H)となったが、前線からの守備と、同点ゴールの時の逆転を狙う姿勢は好感を持った人が多いはず。
しかし、荒木、松木が抜けてチャンスだった第10節新潟戦(A)で痛恨の負傷。長期離脱となった。
昨季の最終節に出場した際は、明らかにオンザボールの動きがよくなっており、今季ブレイク候補の一人だと個人的には感じていた中での負傷。本人も悔しいと思うが、復帰を持ちたい。
【ピックアップマッチ】
出場時間短いため割愛
【これからの立ち位置】
順調にいけば荒木と松木が抜けるであろう五輪期間中に復帰の見込みで、個人的には救世主になりうる存在だと思っている。仮に彼らが帰ってきたとしても、出ずっぱりの小泉の代わりとしても期待できるため、彼が帰ってくることで解決する問題も多いはず。
プレー面での課題を言えば、足元の硬さと、それに伴って低い位置での不用意なボールロストが多いところで、復帰後の改善に期待したい。
#22 遠藤渓太
11試合出場 3G1A
【ここまでの雑感】
今季新加入、5年前に私たちを絶望の淵に突き落としたサイドアタッカー。開幕戦はメンバー外も、その後は左WGの主力に定着。ドリブルのフィーリングと爆発力はまだ完全体といった感じはないものの、守備の貢献度は他の追随を許さず、東京ダービーでは2得点で同点劇のヒーローに。
しかし第10節の新潟戦(A)でベンチ外となり、その後いったん復帰を果たすも最近姿を見ない。彼は今、いったいどこで何をしているんだろうか。
【ピックアップマッチ】
J1リーグ第8節 vsヴェルディ(H)
2点ビハインドの中、途中出場で2得点をマーク。特に終了間際の同点弾はシチュエーションを考えても今季のベストゴールといっていいのではないか。東京サポを熱狂の渦に包みこみ、私の喉を2週間ほど機能不全に導いた立役者でもある。
【これからの立ち位置】
まずは離脱が多いのでそこを何とかしてほしい。怪我なのか何なのか公式発表がないのでわからないが、おそらく怪我なのだろう。元々怪我耐性が強いほうではないと聞いていたが、こうもいないとさすがに困る。
そのうえでプレー面では、ドリブルでの単騎突破に期待したい。ドイツであまり試合に絡めず、失った試合勘はすぐに戻せるものでもないと思うので、今季後半戦では圧倒的なパフォーマンスを出してくれることを期待している。
#23 佐藤龍之介
4試合出場 0G0A
【これまでの雑感】
東京屈指の若手有望株。17歳にして試合にもそれなりに絡んでおり、得点関与こそまだないが、順調な成長を続けている。
世代別のアジアカップを見ていたときと印象は若干異なっており、パサーとしての卓越した才能を披露する場面はあまりなく、むしろボールを受けて落ち着かせたり、相手の逆を突くようなドリブルを見せたり、華麗なターンで相手をいなしたりと、思ったよりプロのスピード感についていけている。
守備に関しても若くしてそれなりの強度を出せており、近い将来、東京の核になることを期待できるプレーぶりだ。
【ピックアップマッチ】
出場時間短いため割愛
【これからの立ち位置】
トップ下やCFに関しては激戦区のため、相当なアピールがない限り出番を得ることさえ難しそうだが、それは佐藤に問題があるわけではなく、周りのレベルが高すぎるが故だ。
成長速度としては私の個人的な期待を凌駕するものがあると思っているし、夏に誰かが旅立った時に序列を上げられるかが今季の勝負のしどころで、もし試合に絡むのが難しいようだったら来期以降の武者修行も十分に考えられる。彼のレベルならJ2でも主力を張れると思うので、もしレンタルとなれば1年で期待値を大きくあげて帰ってくることが大いに期待できる。まだ17歳。焦ることなく大きくなってほしい。
#33 俵積田晃太
20試合出場 1G2A
【これまでの雑感】
今やJ屈指のドリブラー。今季序盤は遠藤にスタメンの座を明け渡すも、圧倒的なオンザボールで今や主力を張る存在に。もともと持っていた大外からの縦突破、カットインの選択肢に、今季はカットインしきらずにインスイングの高精度クロスという武器も加え、さらに対人のバリエーションが豊かになっている。さらに最近では内側での振る舞いもよくなってきており、保持の成長速度は恐るべきものがある。
一方でずっと言い続けているのは非保持での貢献度の低さ。最近は連戦もあってか戻り切れない場面が増え、左サイドが穴になる要因の一つになってしまっている。保持でも若干壁にぶつかっている感じがあり、中盤戦にかけて漂っている停滞感を乗り越えることができるか。
【ピックアップマッチ】
J1リーグ第12節 vs札幌(A)
待望の今季初ゴールは、右からのクロスにタイミングよく合わせたボレー。元々持っている類まれなドリブルの才能に加えて、得点関与能力も備われば代表も狙えると再確認した試合。
【これからの立ち位置】
主力である続けることは間違いないので、明確になっている課題をどう潰していくかだろう。保持面でいえば、雑感で述べた停滞感を打破することに加えて、得点に関与することが必要になってくる。特にカットインシュートが決まり始めればドリブルももっと活きてきて好循環が生まれるはず。
あとは非保持の貢献。これは何度も口酸っぱくいっているが、しっかり帰陣して守備をすることをまずはやってもらいたい。これらの課題が潰せれば、三笘を超えるようなスペシャルな選手になれるはず。
#37 小泉慶
21試合出場 1G1A
【これまでの雑感】
紛れもなくここまでのMVPだろう。開幕戦はなぜかベンチスタートだったが、その後は替えのきかない存在としてカップ戦含めて出ずっぱり。0労働基準法に違反しているとしか言いようがない。
彼のすごいところは、潰し屋でありながらボールを捌くところで全く苦労しないところ。彼がボランチにいるかいないかで全く守備の固さが変わってくるし、そこやられたらピンチだな、というところには必ず小泉慶が待っている。彼のプレーはすごいというよりも唸らされることの方が多く、今一番替えの利かない存在。
【ピックアップマッチ】
J1リーグ第10節 vs新潟(A)
いつも通り要所を締める守備とテンポを作るボール捌きだけでなく、ポケットを取ってディエゴにクロスを上げる離れ業まで披露。彼にできないことはもはやないのではないか。
【これからの立ち位置】
もはや言うまでもないので簡潔に述べるが、怪我しないで、ずっと東京にいてください。
#38 安斎颯馬
18試合出場 0G1A
【これまでの雑感】
早稲田大学から1年前倒しでの加入となった今季は、開幕戦から途中出場。そして彼の現在の地位を確立させたのは第6節の浦和戦(H)だろう。先発の機会を得ると、粘り強い守備をベースに右サイドを封殺。一躍替えの利かない右WG一番手に躍り出た。以降はヴェルディ戦での不用意な退場を含め若いが故の粗さを見せる所は度々あるが、右SBや左WGなど複数ポジションで起用され活躍。小泉とともにほぼ出ずっぱりなので、疲労の影響が懸念される。
彼の長所は何といっても守備の強度と気の利き方。必要なところを真っ先に埋めに行くあたりは青森山田高校時代から培ってきたものなのだろう。一方でオンザボールでの課題は山積みであり、特に主戦場の右WGで単騎突破できている場面はほぼ見当たらず、保持での脅威は課題である。
【ピックアップマッチ】
J1リーグ第6節 vs浦和(H)
今季初先発となったこの一戦で、主に守備で大きな貢献を果たした。特に浦和が形を変えてからは、安斎がいなかったら勝ち点3を失いかねないぐらいの貢献度で、勝利へ導いた。
【これからの立ち位置】
守備的なWGという意味で他の選手にはないキャラクターを持っており、ポリバレント性と相まってこれからも重宝される選手になるだろう。ここから絶対的な主力へステップアップするには、やはり保持での脅威が出てこないと厳しい。単騎突破や、内側での位置取りなど、伸びしろは十分ある。
#40 原川力
18試合出場 3G2A
【ここまでの雑感】
今季セレッソより完全移籍で加入した、東京のリシャーリソン。開幕はスタメンで迎えるも、その後チームの下降の責任を取らされるような形でメンバー外に。しかし第7節浦和戦(H)で終了間際に伸び上がるようなミドルシュートで得点すると、スタメンではないまでも重要な戦力として活躍。最近ではトップ下もこなしている。
彼の特徴は、何といっても一級品の右足。ロングレンジのパスはおそらくチーム随一で、フリーキックという離れ技も持っている。一方でビルドアップ時の立ち位置やサポートは高や小泉の方がうまく、守備強度も水準ぐらいはあるがすごく高いわけではないので、使い方を間違えなければ脅威になれる選手という印象。
【ピックアップマッチ】
ルヴァンカップ2回戦 vsYSCC横浜(A)
スタメン出場で1G1Aの活躍。特に彼のセットプレーは他の選手より数段期待度が上がる印象で、実際にキックで違いを見せつけた試合となった。
【これからの立ち位置】
能力は高く、チームに必要な選手だが、常時スタメンを掴むのはハードルが高い印象。彼の能力に問題があるわけではなく、高と小泉ができすぎなため、どうしても彼らを外すイメージが浮かびずらいのが正直なところだ。トップ下で最近は数試合出ているが、個人的にはトップ下は向いていないと思っていて、彼の長所を活かすにはWボランチの一角が最適だと考えている。
とはいえ、途中出場でセットプレーの名手が出てくるのは相手にとって脅威でしかないし、これからもその右足でファンを沸かせてほしい。
#48 荒井悠汰
出場なし
【ここまでの雑感】
昌平高校時代に世代を席巻したドリブラーも、ここまでは出番なし。ユース組が入っているのに彼がメンバーにすら入れないのを見ると、怪我なのかなんなのか、真相は闇の中…
【ピックアップマッチ】
出場ないため割愛
【これからの立ち位置】
まずは試合に出てほしい。なのでレンタル先を探してほしい。試合で見れないと私もとやかく言えないので。ただ左利きWGはこの時代世界中を見回しても貴重なので、何かきっかけがあれば飛躍する選手だと思っている。
#70 ジャジャ シルバ
19試合出場 1G1A
【これまでの雑感】
爆発的なスピードを持つブラジル人アタッカー。今季は開幕戦で毎熊をぶち抜いてアシストし、特大の期待をかけられるが、その後はパッとせず。大外で仕掛けるタイプのウインガーかと思いきや、内側に位置取り華麗にターンを決めることもあり、加入から約1年たとうとしている今でも謎の選手。わかりきっていることはポテンシャルが高いことなので、何かきっかけがつかめればとんでもない選手に化ける可能性がある。
彼も最近行方不明。多分怪我なのだろうが、早期復帰が望まれる。
【ピックアップマッチ】
ルヴァンカップ2回戦 vsYSCC横浜(A)
何度もチャンスがありながら決められなかったが、終了間際に待望の初ゴール。後半、ゴール裏はほぼジャジャのチャントしか歌っていなかったが、そこも報われる形に。
【これからの立ち位置】
東京で一番圧倒的な個を持っている選手なので、これから先も途中出場の切り札として起用されるであろう。あとは結果が残せるかだけで、能力に疑いの余地はない。最近は守備も頑張っているので、なんとか報われて、ゆくゆくはディエゴのようになってほしい。
#71 荒木遼太郎
11試合出場 6G0A
【ここまでの雑感】
鹿島からやってきた救世主。今季は開幕戦からいきなり2ゴール。ここまで離脱期間がありながら計6ゴールとゴールを量産している。
彼のすごいところは、決定力もさることながら、密集地帯で圧力をかけられても全く動じないところ。まるでフリーでボールを扱っているようなプレーは、才能を感じさせる。
攻撃面では満点に近い出来だが、守備では松木同様背中を消す守備ができていない。その状態で2人でCBに突撃しに行って1stラインを易々ととっぱされているところもあるので、改善してほしい。
【ピックアップマッチ】
J1リーグ第1節 vsC大阪(A)
あいさつ代わりに衝撃の2発。鹿島で燻っていたのは能力が落ちたわけでも怪我でもないと開幕前に断言していたが、それが本当だということを三塚らのゴールで証明した。
【これからの立ち位置】
彼も松木同様に、いつまでいてくれるかというところ。今季いっぱいは契約もあるのでいてくれそうな感じがするが、その後はもう海外へ巣立つだろう。残された時間はわずかな中で、雑感で述べた背中を消す守備は覚えていってほしい。海外で出場機会を掴むためには、まず守備からだと私は思う。
#9 ディエゴオリヴェイラ
14試合出場 5G0A
【ここまでの雑感】
序盤苦戦したが、最後はやはり頼れる男であった大エース。序盤の不振を原川とともに責任を取らされるような形で、第4節福岡戦でベンチ外に。次節復帰も今度は肩を負傷と、序盤は運にも見放された。
それでも第10節新潟戦で復帰し即ゴール。昨季とは違う形でアジャストが心配されたが、その後もゴールを量産し健在を示した。苦しいときに彼のボールキープから前進できるのは大きく、そういった面では唯一無二の存在。
【ピックアップマッチ】
J1リーグ第10節 vs新潟(A)
肩の負傷から復帰となった一戦でゴールをマーク。コンディションは万全とは程遠く、時折肩を気にする場面があったものの、チームのために献身的に走り続けて勝利に貢献した。
【これからの立ち位置】
衰えを見せない活躍ぶりといっても、このポジションは最激戦区でスタメンは保障されていない。しかし、松木、荒木が五輪で長期の離脱となりそうな中で、仲川とともに計算できる男が帰ってきたのは東京にとって大きい。これからもゴールを決め、そして献身的に走り続けてほしい。早く銅像立てましょう。
#11 小柏剛
5試合出場 2G0A
【ここまでの雑感】
札幌から鳴り物入りで移籍も、怪我で苦しんでいる。開幕からベンチ外が続くも、第3節神戸戦で初出場。しかし数的不利での試合展開が多く、本領発揮し始めるかと思った第9節町田戦で負傷交代。以降ピッチに戻れていない。爆発的なスピードはあり、その片鱗は見せていたが、いまいち特徴がつかめないまま離脱してしまった印象。後半戦での活躍が待たれる。
【ピックアップマッチ】
出場短いため割愛
【これからの立ち位置】
まずは札幌時代から続くスぺ体質を治す所からだろうか。能力はおそらく間違いないと思うので、そのうえでどれだけピーターのサッカーにアジャストできるかだろう。本領発揮は早くてシーズン終盤と個人的には見込んでいる。期待感は大きいので、それに応える活躍をこれから見せてほしい。
#14 山下敬大
出場なし
【ここまでの雑感】
レンタル先での大怪我が癒えていない今季は、未だに復帰できずにいる。状況はわからないが、復帰後も最激戦区で争うのは正直厳しさがある。ただ、鳥栖から加入した時は大きな期待感があったので、数年越しにその期待に応える活躍ができるか。
【ピックアップマッチ】
出場時間短いため割愛
【これからの立ち位置】
けがから復帰しても立ち位置は厳しいといわざるを得ないだろう。コンディションを上げながらディエゴや荒木とポジション争いをするのは至難の業で、なかなかイメージは思い浮かばない。
一方で適性役割さえ与えられれば活躍するのは鳥栖時代に証明済みなので、いい意味で期待を裏切るような大逆転を期待したい。
#28 野澤零温
8試合出場 0G1A
【ここまでの雑感】
今季もレンタルと思いきや残留し、厳しいポジション争いの最後方からスタート。それでも怪我人や代表離脱が重なって徐々にメンバー入りの機会を増やすと、ルヴァン杯広島戦(A)で逆足で正確なクロスを放ちアシストを記録した。
おそらく彼の強みはそのスピードと抜け出しだと思う。決定機を外して批判されることもあるが、逆に適切なポジショニングができている証拠。サイドで結果を残したが、適性ポジションであろう中央での起用が増えれば、ある程度の結果はついてくるのではないか。
一方でボールの扱いには難があり、守備も突っ込み癖があるので、そのあたりは日々改善が必要。
【ピックアップマッチ】
ルヴァンカップ3回戦 vs広島(A)
1stレグで決定機を外してやり玉に挙げられる中、クロスからのアシスト。現実的にはサイド起用が多くなりそうな中、それでも結果を出せることをアピールした。
【これからの立ち位置】
適性ポジションである中央で活躍するのは、正直いばらの道なので、サイドに活路を見出したい。その点で両足で比較的高精度なクロスを放てるのは武器になるので、あとはカットインシュートなど、自ら得点を奪う働きができるかどうかだ。
まだ若いので、来期再レンタルできっかけを掴むのもあり、批判されることも多いが、まだまだ可能性は閉ざされていない。
#39 仲川輝人
20試合出場 3G3A
【ここまでの雑感】
マリノスから移籍2年目となる今季は、右WGで開幕。昨季よりもコンディションは良さそうで、狭いスペースをドリブルでするする抜け出したり、間で受けて前進の助けになったりと多様なタスクをこなしている。
五輪予選期間にはトップ下や最前線も熟し、ディエゴとのコンビも相性がいい。たまに批判されることもあるが、アタッキングサードでの攻撃の構築はこの人が担っていることも多く、サポーターの感覚以上にいなくなると困る存在だろう。
【ピックアップマッチ】
J1リーグ第7節 vs鹿島(H)
荒木に代わって最前線に入り、先制ゴールをマーク。得点を取れていないことから一部で批判があったが、結果で黙らせた。
【これからの立ち位置】
内側でも有効なプレーをできることから、五輪組がいるときは右WG、いないときはトップ下で欠かせない存在。降りてきたり、逆に裏抜けを試みたりとビルドアップの助けになるようなプレーも多いため、彼がいなくなると攻撃の手詰まり感がぬぐえなくなるだろう。
一方で、非保持の強度と、降りたときにチームがスピードダウンしてしまうのは若干懸念されるところで、特に右WGの時はスライドでの守備をもう少し頑張ってほしい。
おわりに
長々とお読みいただきありがとうございました。
書き始めると湯水のごとく書きたいことが沸き上がってしまいます。
個人に言及しているのでいろんな意見があることは当然です。
私もたくさんの人の意見を聞いて成長していきたいと思いますので、ぜひ質問箱に質問をお寄せください。
以上、ありがとうございました!
タナカ