日常に「うれしい」があること。(編集のレッスン【第3期】 リフレクション#3)
第4回の講師は川口瞬さん。「泊まれる出版社」真鶴出版を運営されています。
以下、印象的だった点を書き留めたいと思います。
印象的だった点1 「ケの日の観光」
深くうなづいた点がこのご発言。
「画一化する世界の中で、日常こそが地域の独自性を感じられる資源である。」とのこと。
ただ、そこに住む人たちの「ふつう」をそのまま見せるのではなく、翻訳し編集する必要もある。
さらに、住む人の日常に立ち入ることにもなるので、一見さんが土足で踏み込めないこともあるだろう。
川口さんの見立てにより、訪れた人にマッチした案内を提供している点に「ケの日の観光」を成立させるキモがあるように感じた。
宿は「まちの入り口」だと誰かが言っていた気がするが、そのような役割を果たされているように思う。
ところで、私の実家は銭湯である。利用者は常連さんが多い中、時折、一見さんも来られるようだ。
両親は不思議がっていたが、ちょっと前に謎が解けた。
県庁の仕事で、とあるゲストハウスのオーナーを訪ねた際、実家のことに言及したところ、そのオーナーが宿泊客にご紹介してくださっていると明かしてくれた。
また、そのオーナーは独自の見立てで、ガイドブックには載らないような、面白いスポットを「人」ベースで紹介されているそうだ。(例 話の面白いおかみさんのいる寿司屋)
川口さんのご活動を聞きながら、「ああ、近くにも実践者がいた」と膝を打った。
印象的だった点2 まちに「見てうれしい」ものがあるということ
舞鶴の「美の基準」はなんとなく存在を知っていたくらいで、意識高い地域があるのだなと思っていた。
今回、川口さんのご紹介で、刺さったのは「見てうれしい」ものたちがキーワードの例として提示されていること。
静かな背戸、実のなる木、触れる花。
もともとあった「真鶴の良さ」を言語化しており、きっと住む人がスッと「そうだよね」と納得できる内容なのだろう。
「町の良いところは?」と質問に、必ずしも観光名所がなくても、スッと答えられる共通言語があることは、まちへの愛着にも貢献しているのではないか。
このような条例やまちを思う気風も「ケの観光」を支えているように思う。
印象的だった点3 雑誌「日常」
鳥肌が立った点で、印象的だったこと。
この講義の録画は6月1日に見たが、その前週の5月25日に京都の恵文社一乗寺店に立ち寄った。
その際、パケ買いに近い勢いで購入した1冊が「日常」だった。
まさか、川口さんの手によるものとはつゆ知らず。
じっくり読んでみたいと思う。
そのほか、「理想の場」の共通点に関するお話では、さまざまな属性の方が混じり合うために必要な要素をご紹介いただいたように感じた。また、地域に根差した活動をされる際の「お作法」とも言える体験談が満載で、やりがいと共にご苦労も感じられたところです。