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ファッション

かつて、新宿の伊勢丹の前に真っ白なバレエの衣装を着たおじさんがよく現れた。もちろんプリマドンナ風であり、おじさんはチュチュを揺らしながらヒョコヒョコと歩いていた。もちろんつま先立ちで。頭の中ではチャイコフスキーの曲が流れていたのかもしれない。彼にとっては東京とは劇場であり、我々は観客か名もなき端役だったに違いない。

我々は裸身を服に包み込んでいるわけだが、肉体というものを良かれ悪しかれ対外的なアピールの場所だと考えれば表面積の9割以上を占めている服は顔以上に我々という存在を規定しているとは言えないか。

まあ、ちょっと自分でも何を言ってるいるのか分からないので、そんなに深く考えなくても大丈夫である。

かつで私の利用していた路線でセーラー服を着たおじいちゃんによく遭遇した。首から上は男であることを隠していなかったし、着ていたのもセーラー服のみだったので「心は女性」とか「女装趣味」とかではなくて単にセーラー服もしくは女子高生になにかしらの思いがあったのだろう。いつから着ているのだろうか? 私が見た時はスカート丈は膝上10センチだった。かつではロングスカートだったのだろうか? もしかしたらバレリーナのおじさんと同一人物ではないにせよ、何かしらの関係はあるのかもしれない。

生き別れの兄弟とか。

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