「全国通訳案内士」試験 合格への道のり~(15) 2次「プレゼンテーション問題」対策はマイ・フォーマットで
2次口述試験対策で、「PEP英語学校」のオンラインレッスンは「プレゼンテーション問題」の回と「外国語訳」・「実務質疑」の回に別れ、PEP英語学校校長の杉森先生との1対1での30分間のSkypeによるものです。1次試験後から、週2回のペースで計18回受講しました。
PEPの良い点は、いわゆる「試験対策の解説」や「通訳理論」的なことはオリジナルの動画で視聴したりテキストで学んでおいて、レッスンは実際の試験問題形式で進むところです。自分は「外国語訳」問題が苦手でしたので、問題を解く中で、「どんなところが苦手で、どうすればスムーズに回答できるのか」といったことも自由に質問できたのは助かりました。
さて、これからは具体的にどのように試験対策をとったかを、PEPで学んだ内容に自分なりに工夫した要素を含めてまとめておきます。今回は「プレゼンテーション問題」対策です。
どのようなトピックが出ても、原則同じ構成で話せるように「マイ・フォーマット」をつくっておきます。自分の場合は、下記のようにしました。
1.トピックの定義
最初の出だしは、”I’d like to talk about ...”に統一します。
次にトピックの内容を一文で述べます。「定義」です。
例えば「京都」であれば「京都は、日本の古都で近畿地方にあります。」などとします。
ここでのポイントは、なるべく短く言い切ることです。京都であれば、例えば「平安時代から長い間、天皇が住んでいました。」などの歴史や「昨年、京都に行って紅葉がとてもきれいでした」と自分の体験などいろいろ話したくなってしまいますが、話しているうちに自分が何を話しているのかわからなくなってしまう可能性もありますので、最初はあえて一文にまとめます。
2.重要事項
トピックについて「全国通訳案内士」的な視点と知識から言うべきことを2つか3つの文にまとめます。「京都」であれば1次の「地理」や「一般常識」で勉強した「ユネスコ世界遺産」に触れないのは不自然でしょう。
「長い歴史があり、神社仏閣が数多くあります。」⇒「そのうちのいくつかはユネスコ世界遺産に指定されています。」⇒「よって、京都は国内外の観光客からとても人気のある観光地です。」とまとめます。
ここまでの「定義」と「重要事項」で言うべきことを冒頭30秒ぐらいでまとめることで、相手の試験委員も、話の流れを理解し、ポイントがおさえられていることを認識して、その後も安心して聞いてくれるものだと考えます。
3.ボディ
プレゼンの聞かせどころです。試験委員の興味をひきつけ、訪日観光客から聞いても「面白い」と思ってくれるだろうエピソードを、自分の知識や体験の中から選び、1分程度かけて話します。このときのポイントは「エピソードは1つに絞る」ことです。トピックについて話すべきポイントは、ここまでの「定義」と「重要事項」でフォローしているので、自分が話しやすく感情をこめてもりあげやすい内容一つに絞ることで、プレゼンに山をつくることができます。またプレゼンの後の質疑応答の際にも、試験委員が質問しやすくなります。
「京都」なら、例えば「金閣寺」に絞ります。
「2.重要事項」に続けて、「世界遺産の神社仏閣の中でも、最も印象的なお寺として金閣寺をおすすめします」と話を進めます。
「3層構造で、金箔におおわれています」「その姿が池に映って、とても美しいです」「室町幕府の3代目将軍である足利義満が14世紀に建立しました」「足利義満は、政治的権力を誇示するために建立したと言われています」などと描写していきます。
4. 付け足し&締めの言葉
「金閣寺」で話を終わると、「京都」のプレゼンではなく「金閣寺」のプレゼンになってしまうので、最後は少し工夫します。
「この金閣寺を始めとして、素晴らしい神社仏閣が京都にはまだまだたくさんあります。」というように、話を「京都」に引き戻します。
また、ここまでの説明で話が1分程度で終わってしまったり、試験委員がまだまだ話を聞きたそうなムードだったりした場合は、少しだけ話を「付け足し」ます。「金閣寺」の説明で足りなさそうな場合は、例えば「銀閣寺」の話を付け加えます。
「また、京都には銀閣寺という寺もあります。しかし銀閣寺は銀箔ではおおわれていないのです。これは京都のミステリーです。」とすれば、この後の質疑応答で「なぜ銀閣寺は銀箔でおおわれていないのですか」という質問を引き出すこともできます。
最後に「このように京都にはたくさんの歴史的スポットやミステリー、ストーリー、文化があります。」として、「締めの言葉」に移ります。
「締めの言葉」を言うか言わないか、はレッスンの講師の方によっても意見が異なりました。「あくまでも試験問題なのだからトピックの説明が終わったら”Thank you.”と軽く言って終わらせる」という意見と、「受験者は自分を全国通訳案内士として、試験委員を訪日観光客と見立てて話すのだから、ホスピタリティを重視して締めの言葉を言う」という意見があります。
自分の場合は後者の考えをとりました。よって「締めの言葉」として「あなたも近い将来、京都を訪れて素晴らしい体験ができるといいですね。」「”Thank you very much for listening to my presentation.”」の2文を話します。もしトピックが「日本の慣習」的なものであれば「素晴らしい体験」の代わりに「この情報があなたのお役に立てたことを望みます。」などとします。
これは10分間という2次口述試験の時間を「優秀な解答者」としてふるまうか、あるいは、例え10分間でも「試験委員を楽しませるエンタテイナーとしての全国通訳案内士」としてふるまうかの違いなのかもしれません。もちろん語学力や知識、マナーは必要ですが、「試験委員を楽しませよう」というホスピタリティの精神で、プレゼンテーション問題にも取り組んだ方が試験準備も楽しく感じることができるかもしれません。そして、そのための仕組みが「マイ・フォーマット」です。単に"Thank you."だけではなく「締めの言葉」を2つの文章で明確に話すことで、プレゼンが終わったことを明示することができます。
2次試験までの間に、PEPのレッスンで約70のトピックス、ESDICでのグループレッスンで約80、ネイティブの知り合いとのオンラインレッスンで約30、その他自主的に時事問題など約20を加えた約200のトピックスについて、マイ・フォーマットに当てはめたプレゼンテーション問題の回答を制作しました。全てを暗記したわけではありませんが、試験で未知の問題が出題されてもマイ・フォーマットに落とし込んで話せればなんとか対応できるところまでは、学習を進められたと思います。
ところが本番では、マイ・フォーマットから逸脱せざるを得ない事態になったのです。その話はまたいずれ。
最後に、PEP英語学校のYouTubeの「プレゼンテーション」問題対策で興味深い話題がありましたので、下記にリンクを貼ります。
この動画は一般に公開されているものですが、こういったちょっとしたコツも専門スクールのレッスンの中で学ぶことができ、本番での自信につながります。
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