世界男子スコア分析
世界男子が終わったが、総括するほどゲームを見られていない。しかし、AIじりつくん(
@jiritsukun_)が全試合のデータをまとめてくれている。やった!こんなのがタダで見れるんだからツイッター最高だ。NIたけだくんがデータを分析してみよう。
恥ずかしながら、今回のデータを見るまで「トップレベルでは数字の良しあしはあっても、さほどの特徴はないんじゃないか」と考えていた。実際はチームごとの特徴が出ているので驚いた。
以下展開するが、ぜひ皆さんの意見を伺いたい。(あくまで今回の世界男子のデータだから一般化はできないよ)
まず言えるのは、プレーオフに上がったチームはHE(Hammer Efficiency)が高いということ。後攻で複数点を取る能力が高いということだ。今回この条件から外れたチームはPOに進んでいない。(「例外」のアメリカについては後述)
そしてHE以外の数値に各チームのスタイルがかなり反映されている。
上位チームの特徴を誤解を恐れずざっくりいう。
まず、スコットランドとスウェーデンは『単に強い』。
この2チームは「スチールをするが、されない。ビッグエンドを取るが、取られない。」ぱっと思いつく強いチームのイメージそのものだ(マジでうらやましい)。納得のデータ。これが最強スタイル!
と言いたいところだが、準優勝のカナダはそうではなかった。「スチールはしないし、されない。ビッグエンドもさほど取らないが、取られることもない。」(それでいてHEが高い)
これはつまり「先攻で1点与えて後攻で2点取り、僅差で勝利する」というカーリングだ。言うなら『勝負強い』。
そっかー。グッジュー、決勝で序盤に点差をつけられてつらかったろうな。だってデータ的には接戦をモノにしてきたチームだったんだから…。
残るノルウェー、スイス、イタリアは得点戦略がかなり違う。
ノルウェーは『先攻で(も)頑張る』。
後攻ではビッグエンドよりは確実に2点を狙う(カナダに似ている)。そして先攻でも頑張ってスチールを狙う(ここはカナダと違う)。結果スチールは多いんだけど、ビッグエンドも取られちゃう。
(今回はカナダ2位、ノルウェー5位だがどちらが良いかはわからない)
一方、スイスは『後攻で頑張る』。
先攻ではさほど攻めない(※)。だからスチールは少ないがビッグエンドも取られない。後攻で大量点を狙っていくというスタイル。
そうそう。シュワルツのラストロックが来るもんな。
(※世界レベルの「攻め」なので我々と定義が違いますよ。念のため。)
そして、イタリアは『先攻でも後攻でも頑張る』。
スチールも被スチールもビッグエンドも被ビッグエンドも多い。とにかくスコアを動かして攻め勝つスタイル。大勝も大敗もありそうだ。確かに。実際そうだった気がする。
ちなみにアメリカは分類的にはイタリアに近いスタイルだ。両者の差はどこか?
データは先攻時の戦い方に違いがあったことを示している。アメリカはスチール率がイタリアより低く、被ビッグエンドが多い。つまりアメリカは先攻をうまく戦えなかった。だからプレーオフに進めなかった。(たぶん)
さて、ラストは日本だ。上位ではないが今後のために分析する。NIたけだくんが慎重に検討した結果…
なんと、これといった特徴がない。全般に「可もなく不可もなく」。だが、数字的にプレーオフに上がる水準に達していない。
えっ?そうなの?だいぶ印象と違っているな。
データ的にいうと、数値を全般に向上させないと上位には入れない。特に最重要指標のHEが30%台なのは問題で、上位陣とはかなり開きがある。
うーん。確かに後攻時、ヤナギサワのナイスドローで1点確保、というシーンが多かったような気がするなあ。
繰り返しになるが、パフォーマンスと相関関係が高そうなのはダントツでHEだ。
HEが50%を超えなければ上位には入れない。
しかし、敢えてその他に指標を挙げるなら3つある。
1)被スチール率10%以下
2)ビッグエンド率16.7%以上(6エンドに1回以上)
3)被ビッグエンド率10%以下
どうぞ参考にしてください。
だが、私の分析が真に「確からしい」とは限らない。同じデータから別の分析もできると思う。今度、小泉さんや西室さんの見解もおしえてちょうだい。
また、データは得失点状況を加味した若干の補正が必要だと思われます。(大勢に影響を及ぼさないと推定しますが)
せっかくなのでもう少し。
数字の話「だけ」でいうと、仮にもう一度日本が世界男子をプレーしたとして
『被スチールと被ビッグエンド数を半分(以下)に減らしたうえで、複数得点エンド数を2倍に増やす』
ことが実現できれば、世界トップクラスと同等の数値になる。
まじか! ショックなデータだな!
極めて困難なミッションに思われるかもしれないが、目標を「世界トップ」に設定するのであれば、クリアすべき要素のひとつだとデータは示している。(※ NIたけだくん分析)
逆に言うとクリアすれば目標を達成できる可能性がある。ショックを受けている時間はない。考え、実行しなければならない。
なお、今回の分析において、竹田は予選終了時のデータをやや重視しています。理由はラウンドロビンとプレーオフでは母集団や対戦数が異なるので、データ補正が必要になる(が、手持ちデータでは良い補正モデルを設計できない)と考えたからです。
2023年4月11日と4月12日にツイート
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