Brier(東部沿岸諸州編)
東部諸州(ノバスコシア、ニューブランズウィック、PEI:プリンスエドワードアイランド、NL:ニューファンドランドアンドラブラドール)はカナダ開拓初期からの入植地で歴史はそこそこあるが人口や経済規模はさほど大きくない。日本でいうと奈良市、大津市、長岡京市といったところか(伝わらんね)。
近年は有力州に押され気味だが(NL除く)、今回の代表陣は比較的若いチームが占め、うまく世代交代が進んでいるともいえる。若いチームに早めに目をつけて成長を楽しみたい、という光源氏気質の方には東部諸州推しをおすすめしたい。
ノバスコシアは2000年代初頭Brierで無敵を誇ったファービー(Randy Ferbey)に立ち向かったマーク・デイシー(Mark Dacey)、シュワン・アダムス(Shawn Adams)の印象が強い(竹田の印象)。
デイシーはサスカチュワン出身。Brad Heidtのサードとして1995年のBrier準優勝。ノバスコシアに移転した後、2004年のBrierを勝った。ファービーの4連覇を阻止し、アンチファービーを大いに沸かせた。2000年代初頭のBrierは協会とカーラーの対立により、有力チームのボイコットが相次いだ時期だった。
だからこの期間の成績はノーカンだ、と主張する口の悪いファンがいる。さすがにそれは言いすぎではと思う。ノーカン換算の記録をネットにアップしたファンがいて、ファービーがちょっと怒ってた。今回の代表はマヌエル(Matthew Manuel)。1997年生まれ。2004年のブライアーの決勝は見ていただろうか?
ニューブロンズウィックは過去優勝したことがない州。決勝進出は何度かある。直近だと2000年にオンタリオから移籍してきたラス・ハワードのチームが進出している。決勝でBCのマカレイ(Greg McAulay)に敗れた。9エンドのドロー失敗が痛かった。
マカレイのセカンド、ミキ(Bryan Miki)は日系人初のBrierチャンピオン。日本の元ナショナルコーチ、フジ・ミキ(Fujikazu Roy Miki)の息子。最近知ったが、マカレイはエイナーソンの親戚らしい(マニトバ出身)。Brier優勝はエイナーソンがカーリングに熱中するきっかけのひとつになったそうだ。
ニューブロンズウィックはフリーガードゾーンルール(FGZ)発祥の地でもある(正確にはFGZのもととなるルール)。1991年、モンクトン100周年記念大会での特別ルールがそれで、最初の4投をプレーから外すことを禁じた。(ハウス内にも適用。ミックスダブルスみたいな感じです。)
翌シーズン、適用範囲をハウス部分以外に狭めて、フリーガードゾーンルールが成立した。
このモンクトンルールの考案者は前出のラス・ハワード。「カーリング界の巨人」と称されるゆえんである。彼はカーリングの革新者であり続けた。
というわけで、あの鉄の棒(バイターメジャー)が登場したのは実は1991年以降なのだ。奴は生まれてから30年くらいしかたっていない新参の道具なのである。今回の代表はジョーンズ(Scott Jones)。ベテランのジョーンズがサードスキップでミレイス(Jeremy Mallais)がフォースという編成。
PEIも過去優勝のない州。決勝進出経験もない。これはやむを得ないところがある。PEIは愛媛県ぐらいの面積の島に10数万人の人口。面積も人口も州としては最小。カーリング専用施設も7つしかなく、わずか30ほどのシートに2~3000人のカーラーしかいないのだ。(そこは余裕で日本超えてきましたね)
優秀な若い選手を結構輩出しているのだが、ジュニアを卒業すると島外(州外)に出て行ってしまうことが多い。最近だとギャラント(Brett Gallant)なんかがそう。グッジューに取られてしまった。今回の代表はスミス(Tyler Smith)。1998年生まれ。島人の活躍に期待。
NLは面白い地域で、ざっくり言って、割と最近までカナダとは「別の国」だった。カナダ建国の年とされる1867年に連邦に加盟する選択肢はあったのだが、独立を選択。紆余曲折を経てカナダに編入したのは1949年。直前までイギリスの「植民地」の地位だった。
グッジューは前年優勝(チームカナダ)としてBrierの出場権を持っているので州大会は欠場。新鋭のヤング(Nathan Young)が代表を獲った。このチャンスを生かしたいところだ。
2002年生まれで2020年ユースオリンピックの代表。国別ミックス4では準々決勝で日本に敗退(EEスチール)したが、シャッフルMDでは準決勝でコバヤシ(Mina Kobayashi)らを破り、最終的に金メダルを獲得。期待の新鋭。今回はメ大生のチームで出場する。(※ ニューファンドランドメモリアル大学)
(2023年3月9日にツイート)
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