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#68 おともらい
今年はよく人が死ぬ。正確には「衆目を集めた人がよく死ぬ」ンであり、もっと云えば「自分の観測範囲にある著名人がよく死ぬ」んであった。
どっちの国葬も観ていない。エリザベス女王はやはりモンティ・パイソンにいじくり倒されている頃のイメージしか無いし、もう片方からはなんらかの恩恵を受けた覚えと実感がない。どちらにせよ別の層の人物に思える。
個人的には義理の伯父が亡くなった(通夜には行った)が、あまり普段から付き合いがない(正月に遭遇する)くらいなので、あんまり感想がない。そういえばパソコンフリークだったので、はじめてのパソコン(PC9821Xaだ)のお下がりをもらった記憶はある。で、じゃっかん押しが強かったので、あんまり得意でないことを思い出してきた。それとて、25年も前の話だ。
円楽師は知り合いの知り合いくらいの位置だ。昔一緒に仕事をしていた(元)噺家が「町内の若い衆」をつけてもらっていた。弟子だという人とも飲んだことがある。
アントニオ猪木は……ないなぁ、接点。と、ここで今年亡くなった人(wikipedia)を調べだすのだが、そうか、福間創も今年か。脳裏に引っかかった人、海部俊樹、水島新司、石原慎太郎、西村賢太、松鶴家千とせ、野田知佑、菊地信義、藤子不二雄A、柳生博、上島竜兵……と、アンテナに引っかかる人を拾い上げていて、飽きた。
割合に、かつてあったものとのリンクで思い出される。「永田町麻雀倶楽部」ってファミコンのソフトがありましてね、麻雀の勝敗で自民党総裁を決めようみたいなゲーム。あれの主役級だったのが海部俊樹で、ラスボスが「妖怪」と呼ばれた岸信介。今ァああいうゲームは作れないんだろうなぁ。
動画があった。オープニングが田中角栄だ!
昨今、そうした事情でしんみりしているのではあるが、まぁでも、死だしなぁと思っている。先日も祖母(91歳だ、まぁだボケもせんと生きている)の介護……介護ってほどでもない、食い物の買い出しと、部屋の掃除に出かけたんだが、こたつに当たりながら冷房をかけてる。こたつの中からまるごと腐ったバナナが出てくるといった塩梅で、こてもまた、ゆっくりと死に向かっている。月イチで大量の薬ももらってきており(これもアタシの業務だ)、これによって、死なない。便秘の薬も睡眠薬もガリガリゴリゴリ、それでいて、まだちゃんと喋る。『サカナとヤクザ』なんぞを差し入れると「いいねぇ」なんてニコニコしている。池井戸潤は「大金がいっぱい動くから好き」と、そういうバアサマである。
などという精神状態のときにたまたま読んでいた『釣りキチ三平』で、最終回の近くで一平じいさんの臨終から葬式まで軽く100ページあるのにおでれぇた、という話をしたかったんであった。
連載としても終盤の方であったろう、作品の要ともいうべき一平じいさんの死にたいして「釣友葬」というカタチで、秋田の地方の葬式の段取りから土葬の様子までを克明に書いてある。連載当時の読者も「ここまでみっちりじいさんの葬式を!」「わしゃあ何を読まされとるんじゃ」と思われたんでなかろうか。だがしかし、今となっては貴重な葬儀文化の克明な記録であると思われる。これだけ絵が揃っていたらリアルで再現ができる……。
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