#91 かぼちゃの重さ
またしても祭の季節がやってきてしまった。今年も点数の付いた空袋を探しに街なかをうろつきまわr――冗談ですがな。30点貯めるためにパンを買うのである。普段使っている食パンは0.5点、最近はダブルロールいいですよ、あれは1点のシールだし家族で分け合える。娘なぞポイントを集めるためにおやつのパンを買っているフシさえ見受けられる。
それでいいのか、これぞ広告戦略のいいカモだ、ということも出来ますが、いいじゃあないの楽しければ。こういう昨今ですから、せめてプレゼントをやったりとったりする。先日も70すぎの伯母からバレンタインデーと称して箱いっぱいのお菓子が届いたのでホワイトデーにはバーボンの一本も送りつける。なんとなく勢いで買ったら肩口がパンパンなジャケットはレターパックで弟に送りつける。広告に踊らされることが問題なのではない。踊らされてつまらないと思うような騙し方をしてくる広告が問題なのであります。こっちで楽しくなって向こうが儲かる分にゃ何の問題も起きていない……。
と、つらつら書いていて前に読んだ斎藤一人の本を思い出した。宝石店かなにかの売上を伸ばしたいときに、従業員に八百屋からかぼちゃを何個か買ってこさせておいて「お買い上げのときにもらえる参加券で『このかぼちゃの重さをピタリ当てた人に高級パールネックレスをプレゼント』だかなんだかのキャンペーンをしたところ、当たって宝石が売れた」とかなんとか(こういう口調のときは記憶に信憑性がない)。
キャンペーンでサービスする商品はひとつで済むし、使ったかぼちゃはみんなで分けて煮付けにして食べましたとさ。と、アタシはこのかぼちゃを武蔵境のヨーカドーの地下のフードコートで見たことがある。なんなら娘の通う保育園でも見た。保育園のは別に「ハロウィンの催し」程度のもんだが、つまり、わりあいに真似しやすいシステムということだ。
記憶違いでなければフードコートのかぼちゃは例のハロウィンで使うような黄色いでかいかぼちゃで、斎藤一人のほうは「複数のかぼちゃ」だった気がする――そうでないと「キャンペーンが終わったあとに煮付けにして食べる」というパンチラインが成立しにくいからだ――どうでもいいコトのようでいて、そもそもこのかぼちゃキャンペーンの元ネタはアメリカ由来だったのかもしれないな。で、それを斎藤一人が輸入したのかもしれない。
ただ、これだけごちゃごちゃ書き立てるということは、パンまつりに参加することになんらかの罪悪感があるんだろうか。白いフローラルディッシュいちまいもらうことになにをそんなにムキになっているのか、という自省が無いかというと嘘になる。だけどもう17.5点(27日時点)たまっちゃったしな。半分超えちゃったしな、と人間、疑問をいだきつつも最後までやらないと気が済まない習性もうまく利用されていてくっそーうまくできてやがるぜパンまつり! という次第でございます。
もらった皿はあんがい前線バリバリで働いている。