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#179 金の兎

 道を歩いていたところ金の兎が落ちているのに気がついた。この場合「落ちている」という表現は正確でなく、「落ちていた」のをだれか親切な人が蹴り飛ばされないように人の踏まぬところに移動したもの、ということだ。東京メトロの駅のいりくちを開けるあたり。素直に入口と書かんかいジイチャン!
 大きさ3センチくらい。キーボルダーの根付から外れたとか、多分そういうことなのだろうと思う。

 わりあいにこういうものは「スッ」とお持ち帰りしたくなるのが世の常ということはあるが、さすがにこれを落とした元の心を鑑みれば、探しに帰ってくる可能性も十分考えられるし、えーと、なんだったら「次来たときに落ちていたら回収してもいいのではないか」という気持ちになり、それからまたしばらくして訪れてみると兎は姿を消していた。公的な記録にっきによると初回が10月23日、再訪が11月14日。呑気なこと云っとるな。

 と、それから日常をやっていくうちに「拾っといたらよかったかもな」とメルカリを見ると、なんとその兎がいる。おどれえたのなんの、いや、オラぁわかってますだよ旦那様、量産品というのはどこにもあって、たまたま売りに出ているに決まっている。が、拾われた兎が売りに出されて、さらに売りに出されているという方が浪漫があるではねえですだか。合法だし。

1,130えん

 モノがモノだけにおっさんが映り込んでいた部分は加工しましたが、そう、これよこれよ! まさにコレ……でもなかったかなぁ。もっと、いや、二回りくらい小さかったかもしれないが……成長したということでヨシ! と現場猫も真っつぁおの自己弁護を繰り返し、現在に至る、というわけでございます。

 いきおいで中国から買ったウサギというのもあるのだが、それはそれで、またいづれ。

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ながちろ
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