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#183 さらば好敵手

 むしの話をする。少数のもの好き以外は回れ右をする。
 今回のヘッダーのためにnoteを画像検索すると「こんな写真どっから持ってきたんや」というおぞましい画像がいくつもあった。ご興味の方はどうぞ。

 せめて本題にはいるまでに有益な情報を置いておこうと思うのですが、今までの経験からGに対して一番即効性があるのは「上からシャンプーを垂らして窒息させるやつ」でございました。あと薄荷油。究極的にはこのふたつしかないと思われる。
 以下本題。

 かつて弊社、台所の換気扇が経年劣化でぶっ壊れており、わりあいに簡単にG……この表記もどうなんだろうなぁ、油虫、もうちょっと雅やかに御器齧ごき、なんでもええか、御器齧が入り込んでいたが、数年前に大家に直してもらってからずいぶんと気密性が保たれるようになった。

 とはいえ、年に一匹や二匹は稼働中の換気扇の間を、大風のときの隙間を縫って入ってくるもので、今年は7月くらいに夜中に出くわした。実家がもっとはいり放題の家だったので(やむを得ず)生殺与奪の経験値だけは溜まっているのであるが、やはり見ると人間の底の方から「嫌」という感情が噴き上がってくるのは不思議なメカニズム。

 対策として今年は冷凍スプレーを備えてあった。マイナス何度かでの怨敵を冷凍させしむる、と、これを景気よく噴射すると狙い過たずラズマタズ、虫が、ストンと落ちた。台所の壁と油ハネ防御壁のちょうど間。夜中のこととて深追いは出来ず「まぁ死んだのではないか」と寝るときゃつめ出てこなくなった。奴めうなぎ。

 ところがどんぶらこ、8月も終わりのことになると、また出てきた。未明にnoteなど書いて、便所に立って戻ると焜炉上の壁に、居る。でかくなっている。
 つまりはこういうことだ。新兵器は凍傷レベルのダメージを相手に与えてはいるのだが、生き延びたのを幸いとしてゆっくりと身の快復をはかり、やおら蘇ってきたものとみえる。
 とはいえ、こちらも遠距離攻撃ができるのが強み、すぐさま転がっていた冷凍スプレーで、今度は真上から噴射すると、敵は抵抗することもなく真っ直ぐ下に落ちていく。床に落ちると闇雲にまっすぐ走り始めたが、今度は運良く体重計の下の狭い隙間に入っていく。また生き延びさせてしまった。

 なまじ遠距離攻撃ができる、という気持ちが奢りを生んでしまうのか、次にあったのが11月の頭、またまたド深夜。いいかげんに仕留めようと思い、右手にマイク左手に地図、ぢゃなかった右手にスリッパ、左手にスプレーを持って向かうも敵は壁の高みに陣取っており、こうなると人間「今回も勝てないかもな」と思ってしまう。弱い。明らかにこころで負けている。スプレーだけは噴射する。またGはものも言わず落下する。落ちたのは脂飛び防護壁の裏。ほ~らねっ、などとうそぶきつつ、もうやつも長くないだろうし、とみょうに落ち着いた気持ちで仕事に戻ったりなんかして。

 そうこうしているうちに12月、もう朝晩にエアコンが要るようになったころ、朝からカミさんの「仕留めたよー」という声がする。食うものもなくなったのか、とうとう明かりもついた人前にのこのことおん出てけつかる。
 こうしてGやつぁいなくなった。その日のうちに燃えるゴミとして部屋を出ていった。

 何を一所懸命に書いているのォ?

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ながちろ
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