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#122 砂の上の怪物

 テオ・ヤンセン、最初はTVだったかYouTubeだったか、きれいな砂浜の上を無機質な、砂と同じ色の怪物がたくさんの足でもそもそと疾駆する映像をみて「すげえなぁ」と思っていたのだが、この「ストランド・ビースト」実物が観られるということで千葉県立美術館まで行ってきたんであった。
 千葉みなと、結構な遠出でございます。

 主な材料はプラスチックのチューブとビニールシート、ペットボトルに結束バンドで、これらを組み合わせて開発した機構を使うと、風の力を使って砂浜を存外な速度で走り出す。走る以外にもヤンセンの手によって進化を続けたビーストたちが、会場所狭しと展示してございます。

 いやぁ、これこそ観光です。
 オランダの砂浜を疾駆するぶん、絵面としては映像にゃ敵わない分はあります。がしかし、これだけでかいものが風力でがしゃがしゃと動くのを目の当たりにする。動力の機構を思いついて、実際に形にしてみて、改良を重ねていく想像力の質感は会場でしかわからんと思います。なにしろ、でかくて、繊細で、年季が入っている。年季の入っているところにものすごく有機的な存在感がある。
 一定の役目を終えたビーストは部分的に解体されて、一部は次のビーストの制作に使い回されるというのもDNAの伝達みたいでアツいところです。そうして今までの作品バックナンバーたちがこうして地球の裏側、千葉くんだりで展示されて制作費を稼ぐ、と。いい循環だなぁ。

 noteは自分で撮った動画の埋め込みが出来ないので10年ぶりくらいに自分のチャンネルに動画をアップした。
 こんなふうにして歩いてみたり、

 杭を打ったりする。これ全部、風の力です。

 尻尾を振ってコミュニケーションを取ってみたり。かわ、いい……?

 近々、12月3日は実際に美術館の外でビーストを動かしたりするらしいですが、その、なるべく早く行ったほうがいいですよ……わりとあの展示だと、不埒な輩が、不埒な行動を取りやすい状況にある。
 なにかが発生する前に行くべし。あとストランド・ビーストのことが好きで好きでしょうがなさそうなキュレーターのおにいさんも楽しそうでよかった。

おまけ

そのまた近所の人工海岸。向かいはおそらく京葉工業地帯。

 這い寄るおまえ。

みなさんのおかげでまいばすのちくわや食パンに30%OFFのシールが付いているかいないかを気にせずに生きていくことができるかもしれません。よろしくお願いいたします。