まいにち 画コンテ。 #003 日本郵政グループ 手紙の部屋 母の日篇 15秒A
まいにち 画コンテ。 について
こんにちは。TSUKASA KIKAKUの坂野です。
まいにち 画コンテ。は15秒のTV-CFを中心に、
映像制作のプロフェッショナルの方々によって作られたCMを
画コンテに起こし、
・企画や演出(監督)
・カメラワークやアングル、画角(撮影)
・コピーやCI、その他(プランナー)
などの目線で自分なりに分解してみようというコンテンツです。
(有識者の方がおられましたら、権利的に怪しいよ〜などあれば教えていただけますと幸いです。。)
それでは3日目のまいにち 画コンテ。です。
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まいにち 画コンテ。 #003 05/03/2021
日本郵政グループ 手紙の部屋 母の日篇 15秒A
今日は、芦田愛菜さんとハマ オカモトさんご出演の
日本郵政グループ 手紙の部屋 母の日篇 15秒CMです。
※ゆうびん.jp/郵便年賀.jp 公式YouTubeチャンネルより拝借しました。
ありがとうございます。
脱マウスを目指して、今日もワコムのペンタブレットで頑張りました。
今回はなぜだか時間がかかってしまいました…
トータルで6hくらい?です。
それでは、分解してきます。
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企画・演出
このCMには、180秒バージョンもあります。
おそらく、この180秒バージョンをメインとなる動画にしているのかと思います。
15秒CMにはAとBの2パターンがありますが、180秒からの切り出しだと思われます。(切り出しというとチープに聞こえますが、そういう意味ではございません…)
セリフのひとこと、ひとことが決め決めではなく、
演出は完全なドキュメンタリースタイルで、
編集上は自然な会話から生まれるものの中からいいところを
使わせていただく形だと思います。
もちろん、お二人に事前にアンケートをとったり、こういう質問をしますよ。その次はこういうことを聞きますよ、というくらいの
ある程度のシナリオは存在するはずです。
とは言っても ファーストカットの 手紙の部屋へのドリーインの画や、
カメラに手紙を見せているカットは "決め" で撮っているのが分かります。
※下記の2カット
このような撮影をする場合、私なら、
基本的な投げかけは行いますが、
ハマさんとのクロストークはMCも経験されている芦田さんにお任せする方法を取ると思います。
便宜上、クリッパーボードは鳴らしますが、ふたりの自然な会話を引き出したいので、「ヨーイ、スタート」は言わないと思います。
(もちろん演者さんにはそのような演出で撮影を進める旨は伝えます)
そして今回の企画「母の日」をテーマに、
日本郵政としてどのようなプロモーションをしていくかが考えられたものでした。
母の日は、1年に一度必ず訪れる日です。
お正月やバレンタイン、クリスマスなどに近い性格です。
母の日コンテンツは商戦と結び付けられることが多く、
様々な企業がプロモーションを打ちます。
しかし、思うのは、メーカーなどが母の日CMを作ったところで、
届くメッセージは「うちで買ってね。」と感じてしまうものが多いこと…
直接的な表現が嫌われる昨今において、とてももったいないと感じざるを得ません。
そんな中で思い浮かぶのは「World's Toughest Job -世界一過酷な仕事- 」の動画です。
※オリジナルが見つからず…字幕入りで見やすかったものを貼らせていただきました。
このCM、ご存知の方も多いと思いますが、
最後まで見ないと、なんのCMかが分からない作り。
オリジナルのソースを見つけられなかったのですが、複数の記事を見ると、公開されたのは2014年。
映像の綺麗さでもなく、目を引くエフェクトもアニメーションも皆無。
まぎれもない企画勝ちの作品です。
お花屋さんが「母の日だからお花を贈りましょう!」と言っても
「はっ!そうだそうだ!お花を贈ろう」とはなりにくいと思うんです。
それくらい私たち視聴者は直接的な表現に広告臭を感じ取ってしまう。
日本のテレビCMの枠の多くは15秒。
その中で、すべてのことを伝えるのは相当難易度が高いです。
だからこそ直接的な表現になってしまうのも分からなくはないですが、
本作のように、テレビCMでは描ききれなかったフルバージョンを
WEBで配信する手法は、最近の広告業界が導き出した「解」だと思います。
以下の2つの作品もぜひ見ていただきたいCMです。
【西武・そごう】母の日イベントの新定番!? 世界にひとつだけの思い出になるテストって何?
カメラワークやアングル、画角
なんといっても手紙の部屋のセットがかわいい。
はがきの縦横比とまったく同じ?に作られた構図。
右上には郵便コードを模した窓、左上には切手が。
こういう、計算された美、視覚的に美しくてとても好きです。
広い画から、ミドルに。そしてヨリ。
ヒキ、ミドル、ヨリが小気味よくカッティングされ、音楽も心地よさも
手伝って見ていて気持ちがいい作品です。
気になったのは、カット002の3カット。
(シーン2の3カットという言い方もすると思います)
Cut_002-1の広い画ではがき(=郵便局)の世界観を見せた後
芦田さんにいくんです。
でもここで話しているのはハマさん。
普通ならしゃべっている人(ハマさん)を見せた後に
聞いている人(芦田さん)にいくのがセオリーだと思いますが、
なんで芦田さんのリアクションから入ったのか、機会があれば聞いてみたいです。(だいたい想像はつきますが…)
あとは見落とされがちだけれどいい仕事をしているのが、こちらのカット。
この何気ないカットがラストカットに向かうブリッジ(橋)となっているのが分かります。
流れで見てみます。
このCMを私たち視聴者は、潜在的に、手紙を出す一連をイメージしながら見ています。
手紙を書いて (Cut_005)、切手を貼って(Cut_006)、完成 (Cut_007)
私たちの「手紙を出す」という行動からくる潜在意識を、
分断することなく紡いでいます。
切手を貼るカットがなくても、成立はするんです。
しかしながら、こういう細かいところがじわっと効いてくることを
プロフェッショナルは知っています。
神は細部に宿る。
私も、こういう細部のクリエイティブへのこだわりを意識しています。
(だから、細かい男と言われます…)
コピー・CI、その他
コピー「誰かを想う日がやってくる。」
正直、まだうまく噛み砕けていません…
母の日に寄せたCMなのに、「誰か」というワードが適切なのか…
他にも候補があったと思いますが、どんな意図でこのコピーが選ばれたか、気になるところです。
また、テキストでのコピーにはなっていないですが、
コピー的に使われいてる芦田さんのセリフ
「母の日は、手紙を贈りませんか?」
これはテキストに起こさなくて正解だと思いました。
なぜなら、何度も言っている直接的な表現だからです。
(直接的すぎると言っても良いかもしれません)
文字として見させられて「そうだ!手紙を贈ろう!」とは なりにくく、
どちらかというと「はいはい、また広告ね」で終わってしまう可能性が高いのです。
直接的に言わないと何のことだか分からない。
しかし直接的な表現だと嫌われる…
この葛藤の中で、広告主も制作側もケースに応じた解を導こうとしているのがすごく分かります。。。
このCMには、WEBで公開されているスピンオフ企画もあり、
それぞれの立場の方々のインタビュー映像もあります。
こちらは擦りきられた企画ではありますが、
母への想いを語っているうちに涙があふれる姿を見ると、
自分も母の日に手紙を贈ってみようかという気持ちになりました。
こういうドキュメンタリータッチのインタビュー映像は、
何度も何度も使わる、古くからある映像表現ではあると思いますが、
ここに来て、インタビュー映像(ドキュメンタリー映像)のもつ力の大きさを認識させられました。
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以上、今日も素晴らしいCMを自分なりに見てきました。
BTSも公開されています。
https://youtu.be/gIEhoH_uxyE
最後になりましたが、今回勝手に動画を拝借させていただいた
ゆうびん.jp/郵便年賀.jpさま公式YouTubeチャンネルのURLを
貼り付けさせていただきます。
ゆうびん.jp/郵便年賀.jp
https://www.youtube.com/channel/UChmCwqjlvYjORhloBwZoeRg
(チャンネル登録させていただきました、、!)
最後までご覧いただきまして、誠にありがとうございました。
まいにち 画コンテ。明日もお楽しみに。