植木屋(庭師)とガーデナーはべつもの
昨日ロンドンで植物に関係する仕事に就いている日本人の方たち(yms)と集まり、以前から違いを感じていた自分の職業について、自分なりの解釈が追いついた。
⚪︎大きな違い
日本では植木屋が広範囲の作業をカバーする特徴があるのに対して、イギリスでは直訳の
Gardenerの中、もしくは他に
Horticulturist
Soft landscaper
Hard Landscaper
Arborist
Turf Specialist
Garden designer
Landscape designer
など多様な職業が存在するし、専門の会社も多い。
当初はなぜ細分化が起きているのだろうと不思議に思ったが、成り立ちと用途を比べてみると少し見えてくる気がする。
⚪︎日本の庭
概念
自然界の一部が切り取られたような景色、空間
作業内容
手入れ 樹木の剪定、掃除、草刈り、草引き
庭づくり 植栽、地形作り、石組み、三和土、苔、芝貼り
求められるもの
樹種毎の剪定
手入れ
年に2-4回季節毎
⚪︎イギリスのガーデン
概念
居住空間(快適な生活を送る上でリビング、ダイニング、キッチンなどと同列に庭が存在する)
作業内容
芝刈り、草引き、ヘッジトリミング、灌水
求められるもの
草花、樹木の知識
機械操縦の免許
手入れ
週に一回(夏)
ここから違いを読み取ると
日本の庭は鑑賞や美、宗教の意識が残っているため、プロフェッショナルが生み出す空間としてプロフェッショナルが手を入れる。
そして近年その技術を持った者が絶滅危機状態なので庭自体が消滅しつつある。
それに対しイギリスのガーデンは身体に近い距離で存在(用途が食事、日光浴、読書など)するため、日々自分が気分よく過ごせるように日々手入れをする。そして、賄いえない時間と労力に対してガーデナーを雇う。
故に
一般人→ガーデナー→専門職
というように日常から遠ざかる作業内容に比例して職業も細分化されている
日本は
一般人と植木屋(庭師)の間に大きく壁が隔てられている。
私はこの日常に庭を置いたイギリスの文化を感じる度に感銘を受けているし、各々の生活が生み出すランドスケープ(コッツウォルズのLower Slaughterというビレッジ)に出逢った時はその素晴らしい景色が信じられなかった。
いつかこの私の感性を完全に理解してくれる人をそこへ連れていきたい。
2024.06.28
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