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BANKEYが実現したいこと


銀行口座決済を簡単にするPay by BANKを開発中のBANKEYの阪本です。8月は少し決済体験や制度から離れてBANKEYという会社や私自身について書きたいと思います。今回はBANKEYという会社について。

序章:嫁ブロック

2021年12月に銀行を辞めまして別のスタートアップの共同創業者兼COOとしてエストニアにe-Residency使って会社作ってスタートアップの株を保有してみたり、電子決済等代行業のライセンスをとってみたり(多分、代表取締役として2回電代登録したモノ好きは僕しかいないと思う)。銀行と交渉したりなんだかしていたのですが。
サービスローンチして共同創業者との間で徐々に向かっていく方向性が乖離していきまして。潔くお別れすることにしました。俗に言うところの「音楽性の違い」というやつです。
昔、Wiredという雑誌で当時の編集長の若林恵氏が会社っていうのは1人ではできないことを実現するための人の集まりで、会社が依って立つべきは「何で俺ら集まったんだっけ?」という根本的な理由じゃないの?みたいなことを書いていて(今調べたらVOL.23で2016年7月号で、日本企業がこぞってなんちゃってパーパス経営とか言い始める2-3年前だ)、自分の中でもこの言葉が結構引っかかっているのです。なので音楽性の違い。ドの音もファの音も「フンフーン」って感じでしか聴こえないし中学校の音楽の成績は2でも音楽性の違い(しつこい)。

とはいえ共同創業者でビジネス上の関係からもいきなりドロンはできないので、当面は前職の手伝いをすることに。個人で引き受けるという考え方もあったのだけれど、音楽性が違うということは前提として自分がやりたい音楽があったわけで、それが自分1人で実現できるかというとそうではないと判断したので迷わず2023年9月1日大安吉日にBANKEYという株式会社を設立しました(今回の本題は、僕がやりたい音楽って何なのさという話)。

ところで、実は(というほどでもないのですが)僕にも家族がいます。かわいい妻と娘が2人。
妻からは銀行を円満に辞めるときには、「は?真面目に考えてる?」という一言目から幾度となく家族会議を重ねました。その舌の根も乾かぬうちに退職と再チャレンジ…
ご相談申し上げたところ、「で、いつサラリーマンに戻るの?」というありがたいお言葉を賜った次第であります(その後、話し合ってもちろん家庭は円満です)。これが嫁ブロックというやつか・・・

実現したいこと

前回の記事で、以下のようなことを書いたのですが今回はここの深堀りです。

現在、BANKEYでは銀行口座に預けている自分のお金の出し入れをもっとスムーズにすることで、いろいろな金融サービスの開発を(Fintechと呼ばれる)みんなで進めて行けばGoodな金融サービスの数が増えて、アクセスが自由になるはず!という仮説の証明に取り組んでいます。

https://note.com/bankey_2023/n/n34ad65409d18

個人を中心にお金について考えるときに、お金が入金されるきっかけの大半は給料の受取です。
ちなみに、学生時代のアルバイトの給料日は15日と25日と27日でした(掛け持ちしてたので)、社会人になって銀行は20日が給料日で、以後共同創業した前の会社もBANKEYも給料日は20日に設定しています。
一方で、口座からお金が出ていくのは、最近は現金引き出しも減っていて、ほとんどが給料口座から口座振替(引き落とし)が設定されている銀行口座への振込です。僕の場合、クレジットカードは4日と10日、子どもの保育園は25日、住宅ローンと保険は27日に引き落としが設定されています。

BANKEYで実現したいことをものすごく突き詰めていくと、この引き落としを例えば全部給料日の翌日21日にまとめる、銀行間の残高調整もなしに!みたいなことだったりします(自分のお金の出し入れをもっとスムーズに)。

ちなみに、引き落とされたお金は大抵の場合、すぐに請求者の口座に入金されるわけではなく一定期間(3日〜20日程度)銀行管理の預金として滞留してから入金されます。マイナス金利解除で銀行丸儲け時代の再来!

おっと、脱線しました。

話を戻して、例えば引き落としの日を自分の都合の良い日にまとめるみたいな言われてみれば当たり前のことが出来ない理由は何なんでしょうか?

一言で答えると「口座振替のシステムが古いから」です(あくまで個人の感想です)。

例えば、冷静に考えてみてください。アプリの解約方法が分かりづらいというので炎上、指導が入る21世紀ですが、口座振替の止め方を説明できる人います?
あるいは、月末になると楽◯カードから「今月のお支払いリボ払いにしませんか?申込は4日まで!」みたいなメール来たことないですか?カードの代金引き落としは10日なのに申込は4日までって手続きに6日もかかるってどんな手続なんだろうとか思いません?

世界の決済シリーズで自分が訪問したことのある国の決済事例をご紹介しましたが、世界のトレンドはOpen Banking(銀行Open API)を背景にしたA2A(Account to Account)決済とR2P(Request to Pay|請求リクエスト)です。要はお金を受け取る側から請求して、銀行口座間で直接決済するのがみんなにとってハッピーだよね!というのが世界の潮流で…日本にもA2A決済の波が来るはず!というレポートが上がっていたりしますが、、、

もう、あったわ。口座振替という形で。

2023年の主要行の個人口座からの口座振替額は95兆円(このうち44兆円はクレジットカード決済)ですがグローバルのA2A決済額約80兆円と比較しても日本はA2A決済大国だったわけです。

日本で暮らす私たちにとって「当たり前」になっている口座振替のシステム、仕組みをもっとModernに作り変えることができれば、今は専用回線が前提ですがインターネット上で動く仕組みに変えることができれば、もっと金融体験ってよくなると思いませんか?

BANKEYが実現するのは口座振替の当たり前のSHIFTです。口座振替をもっと現代風に進化させることで利用者にとっても、代金回収する企業にとっても、銀行にとってもより良い未来の実現可能性が高まると考えています。

同時に、日本における口座振替の浸透度、当たり前感はすごいと思っていたりもします。
個人的には「最高の金融UXは、体験が無いこと」というのを堅く信じておりまして、何かを実現するための手段である金融は平時においてはできるだけ目立たずというのが最高だと思っていて、口座振替の毎月の空気感は素晴らしいなと。
にも関わらず口座振替のUX最高だよねという話になかなかならないのは、結構な頻度で平時ではないにも関わらず「一方的」だからとも感じています。

BANKEYで実現したいことをものすごく突き詰めていくと、この引き落としを例えば全部給料日の翌日21日にまとめる、銀行間の残高調整もなしに!みたいなことだったりします(自分のお金の出し入れをもっとスムーズに)。

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例えば、引き落とし日を自分の都合に合わせて調整できれば、利用者にとって管理の負担は減ります。また、一方的ではなくて双方向になれば非常時(例えば急な出費で残高が足りない!)でも、もう少し「なんとかできる」ことってありそうだなと。

BANKEYは利用者と銀行との間に入ることでこのような世界を実現したいと考えています。

次回は、PayPay給与受取できるようになるってよ!について書く予定。ではまた。

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