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世界の決済シリーズ:中国編


銀行口座決済を簡単にするPay by BANKを開発中のBANKEYがお届けする世界の決済シリーズの第六弾は中国編です。

序章:決済と通信

2023年12月のある日、香港から新幹線で深圳入りしました。新幹線のチケットは香港でクレジットカードで購入、深圳に到着して地下ホームから地上に出ると外はもう暗くなっていました。
当時はDocomoのAhamoを使っていて海外ローミングでGoogle mapにアクセス!ホテルに向かおうとしたところ、インターネット上の偉大な壁によって機能しないGoogle map。現地で購入したSIMに切り替えて現地の地図アプリで何とか事なきを得た私。
以前にインストール済みのWCPとAPがあり、また2023年から海外発行のクレジットカードの登録も可能になったため何とかなるだろうと考えていたら甘かった。
ホテルにチェックインした後(ホテルの支払いはVISAが使えた)近くのショッピングモールで軽い夕食をとり、散策。
発見したのは、カプセルトイのガチャガチャ。これもQR決済!意気揚々とWCPでの支払いを試みる私→エラー。何度試してもエラー。泣く泣くガチャガチャ体験は断念しその日は就寝。
翌日は地下鉄移動。先ほどのエラーが気になる私。リトライしてもまたエラー!
が、通信を現地SIMに切り替えたところエラーが解消。決済という行動のトレースに少しだけ背筋が寒くなりましたとさ。

中国の決済システムについて

みなさんご存知の通り、中国は世界最大のキャッシュレス社会を実現しているとされています。中国の主要な決済システムとその特徴をChatGPTに聞いてみました。

1. アリペイ(Alipay)

アリペイはアント・グループが提供するデジタル決済プラットフォームで、QRコード決済、オンラインショッピング、公共料金の支払いなど幅広いサービスを提供しています。アリペイのユーザーは、銀行口座やクレジットカードをアカウントにリンクさせることで、迅速かつ安全な決済が可能です。

2. ウィーチャットペイ(WeChat Pay)

ウィーチャットペイはテンセントが運営する決済サービスで、WeChatというメッセージングアプリと統合されています。ユーザーは、友人間の送金、オンラインおよびオフラインでの買い物、公共料金の支払いなどを簡単に行えます。

3. 銀聯(UnionPay)

銀聯は中国国内の銀行間決済ネットワークであり、クレジットカードおよびデビットカードの発行を行っています。銀聯カードは国内外で広く受け入れられており、特に海外旅行者にとって便利な決済手段です。

ChatGPT終わり。

この辺りはとても有名な話ですが、裏側の仕掛けについて少し補足しておきたいと思います。
当然ながら中国にも銀行があります。特に国営4大銀行(中国銀行、中国工商銀行、中国農業銀行、中国建設銀行)の他、招商銀行、交通銀行や平安グループなどが有名です。これらの銀行間決済システムとして、中国人民銀行(PBOC)システムがあり、大規模取引をリアルタイムに処理するシステムであるHVPS(High-Value Payment System)と小規模取引をバッチで処理するためのシステムであるBEPS(Bulk Electronic Payment System)とがあります(このほかに中国国際金融決済システム:CIPSやUnionPayも銀行間決済の仕組みですが割愛)。
で、実はWCPやAPの普及に伴って取引量が増えるにつれてPBOCシステムのキャパ問題に直面しました(日本のリアルタイムグロス決済の仕組みである全銀ネットは現在もキャパシティの8%程度しか稼働していないとされています)。
というのも、WCPやAPは加盟店での支払いに使われるわけですが、支払いを依頼すると利用者の銀行口座から引き落としがかかり、加盟店の銀行口座に資金移動が必要になります。上記のBEPSの取引量がどんどん増えていくのです。
そこで中国政府はまず、ウィーチャット、アリババに銀行の設立を命じ、小口決済を監督下に置きました。同時に国内の銀行に対してAPIの開放(APIの整備と無償での取引)を義務付けました。そうすることでBEPS取引を逼迫させるメインユーザーである2社を内部化した上でテクノロジーを取り入れながらBEPSのキャパシティを強化したとされています。

キャッシュレス社会の実現

中国のキャッシュレス化の成功要因についても少し整理しておきます。

技術革新:中国のフィンテック企業は、新しい決済技術の導入に積極的です。また、10億人の人口を抱える中で技術検証をいきなり1億人で実施するなどダイナミックな研究開発を進めています。

政府の支援:中国政府はアメとムチを使い分けながら、銀行やフィンテック企業と協力して規制緩和やインフラ整備を進めています。例えば上記のAPI開放の裏側では、WCPやAPによるレンディングに対する規制(貸出は銀行)や法人間決済の銀行利用(銀行を介さない法人間決済は原則禁止)といった取り組みがなされています。

優れたUX:技術革新の項目と非常に近いのですが利用者体験改善のためのテストと改善を繰り返しており、ダメなものは淘汰され、良いものが生き残る新陳代謝のスピードが非常に速いです。

安全性:決済は不正とのイタチごっこですが、収集されたデータによって高い安全性を維持しています。いち早く多要素認証や高度な暗号化技術が採用されています。

まとめ

中国は、世界でも最も巨大なキャッシュレス社会と言われていますが、銀行とフィンテック企業が連携した決済システムがそれを支えています。また、技術革新だけでなく利用者体験を軸としたサービス開発にも特徴があると言えます。

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