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砂場の山

子供に手を引かれ公園の砂場へ向かう
私が子供の頃と違って近頃の砂場は
柵の中にあってゲートを開かないと入れないみたい

ブルドーザーの形をしたシャベルで
土を掘ったり道を作る子供

『ママも一緒にやってよ』無邪気な子供の声に
汚れるのが嫌な本心に子煩悩の仮面を被せ
砂場に入っていく

親としては何か課題を与えなければと
大きなお山を作ろうと提案し一緒に砂を積み上げる

砂場の砂は表面は乾いていたが
一昨日までの雨で少し掘ると
湿った黒い土が出てきてその感触は
多少の気持ち悪さを感じざる得なかった

『こないだの雨で土が湿ってるから汚れちゃうね』
そんな私に子供が言った
『湿った土で固めないとお山を作っても大きくならないんだよ』

確かに乾いた砂はサラサラと山のてっぺんから滑るけど
湿った土を手でパンパンと固めながら積むと
どんどん山が大きくなっていく

多分当たり前のことなんだろう
私も子供の頃は知っていたのかもしれない

今の私が気持ち悪いと思ったものは
子供にとっては別の意味で“気持ちの良いもの“だった

イメージで気嫌いする人間が子煩悩だなんて笑わせる
童心には敵わないと悟り
私は腕と足を捲って大いに砂遊びに参戦した

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