ディメンションゼロ回顧録GP2 その②

予選 メタの迷走

今回は前回の最後に書いたメタの部分を自分のデッキ調整の記憶から掘り下げます。

倒すべきデッキは分かっている、しかし使うデッキは見つからない。
多くのプレイヤーは上記の状況に焦りを感じていたかもしれない。ルドルフゲート(以下ゲートと略します)をトップメタにして、ゲートメタをしたゲートを使うか、ゲートに勝てるかもしれないデッキを使用するか。といった選択をしないといけない状況になっていたからだった。
特に予選初期に権利を得ることが出来なかったプレイヤーは苦労をしたと思う。自分もそんな1人だった。

この時は相手のルドルフゲート倒すために、いくつものデッキを試作したのを覚えている。
まずは前回GPを制した青緑のアップデートから始めたが、これはすぐに失敗に終わった。環境初期での敗北を踏まえ、さまざまな改良を施したのだが上手くいかなかった。
これはゲートが各種門から直接フィールドに展開して、即能力起動によって墓地やエネルギーゾーンからユニットを展開する。という流れに対し、青緑が歌劇場や月夜の乙女といったカードを展開し、プランもしくは手札のユニットを展開するという。準備に1ステップ掛かるという点と、ユニットを再利用できないという点が劣っており、これがゲートに勝てない大きな理由であった。


黒の除去をメインにしたコントロールを試したがこれも失敗した。これはルドルフやゴッドファーザーを手札破壊や除去で墓地に落としても、冥界の門ですぐに場に戻ってくる上、ルドルフやファーザーを連続展開されると、除去の枚数が足りなくなるという問題もあった。これは確定除去が冥王の鉤爪や呪われた手紙しかなかったことも影響していた。


こうしてコントロール系はやはりゲートしかなく、今度はビート系を試すことになるのだが、これはすぐに挫折することになった。前回も書いたがこの頃はまだユニット性能が低く、一度展開された大型ユニットを突破できるカードが少なすぎたのが原因だった。緑であればゲートと同等のユニットを使用できたが、それならばゲートにした方がいいのでは? という疑問に対して緑ビートを使用する優位性を示すことが出来ず、解決には至らなかった。
ただ黒単ビートのみ、除去能力とユニット性能、そして新カードであるシャドーソウルの恩恵があり、対抗できそうであったが、ソウル単体の弱さと敵軍のスペースにいるルドルフらに対する完全な回答とはならなかった為、全体でも使用数は低いままにとどまった。

時間だけが無常に過ぎていく中で、権利獲得を目指す自分を含むプレイヤー達は対ゲート用のゲートデッキの構築へとシフトしていった。
特にその意識が顕著だった構築は、自分の友人が構築した門が6枚、ルドルフとファーザーが3枚づつというもので、相手より門とルドルフ達の枚数を多くすることで、同型戦を制するという尖った構成も出てきていた。他にも除去の枚数を増やし妨害を試みたり、ベースカードを用いてパワーで差を付けようとしたりと、とにかく各人が調整を行っていたのだが、同時に行き詰まりの雰囲気も漂っていた。

一方、権利を獲得したプレイヤーは別の悩みを抱えていた。というのも本戦で使用するデッキが、ゲート系しかめぼしいものがないのだ。本戦は2本勝負。予選と違いサイドボードがあるとはいえ、同型の場合は1勝1敗の3点となる可能性が多くなってします。そうなると上位を目指すことが難しくなる。何かよいアイディアやデッキはないかと、こちらは水面化での調整が始まっていた。

ここでカード以外の話になるが、当時のデッキ情報を知る手段を伝えようと思う。当時(2006年)はまだSNSが本格的に流行する前夜といった時期で、ブログがようやく認知されはじめ、有名プレイヤー達の一部がブログを開設し自分が使用したデッキなどを公開していた。
また現在のような動画コンテンツはまだほとんどなく、デッキを知る術は、上記のブログの他に公式の予選通過レシピ公開と、ショップで対戦したり仲間内での調整といった、今と比べると狭い範囲でしか情報の収集が出来なかったのだった。当時のプレイヤー達は、ブログや予選通過レシピを眺め、何かヒントはないのかと探し回っていたのだった。

なぜ、ここでこの情報の話をしたかと言えば、実はのちに優勝デッキとなるレシピの雛形が、公式HPの予選通過デッキの中にあったのだ。
ただし、そのデッキはレシピを見ただけでは動き理解することが難しく、またある程度の練習が必要なデッキだった。
しかし一部のプレイヤーはそのポテンシャルに気付き、調整が始まっていた。だがその調整は極秘だったり、本線直前に行われていた為、広く認識されることはなかった。また直前でのネタバレを防ぐため、前日予選でもあえてそのデッキを使用しないプレイヤー達もいた。そのデッキは秘密兵器と呼ばれるにふさわしい状態のまま、GP本戦を迎えるのだった。

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