若い友人
私は若者が好きだ。同年代と比べても、20代30代の友人知り合いが、かなり多い方だと思う。歳を重ねるにつれて、同年代の知人との交際の比率が高まる傾向が日本人にはあるのではないか。また、職場つながりの知り合いも徐々に増えるが、人数は増しても交際範囲は狭まって行く。そういう人は話も合い楽しいが、徐々に話題も限られ新鮮さが乏しくなる。
私は昔から、年代の違う異業種の人達との交際を望む傾向が強かった。教員は特に、教員仲間でつるむ傾向が強い。そのため世間知らずというレッテルもよく貼られる。私は幸い少し早めに教員を退職し、バンコクで家庭教師に転職したこともあり、それをきっかけに、新しい友人知人を得ることができた。その中でも2人の若い友人を紹介したいと思う。
彼らにはいくつかの共通点がある。まず、R君。
彼はT大学の医学部の6年生だ。彼のお姉さんとはバンコクで知り合った。日本よりも欧米文化が身近なバンコクの日本人社会には、ホームパーティーが根付いている。仕事上、父親が駐在員の家庭との付き合いの中で、ホームパーティーに誘われることが多い。バンコクには和食系の飲食店も数多くあるが 、家に招かれ、家庭料理を子供を含めた家族と共に頂くのも楽しい。
R君のお姉さんとはそんな中で親しくなった。海外思考の強さや気さくな人柄に惹かれ、女同士の飲み友だちになった。
R君はお姉さんの住むバンコクには、何度か遊びに来ていて、一緒に食事はどうかと誘われた。偶然、私の郷里にあるT大学の学生であることが分かり、彼が私の生き方に興味を持ってくれた事もあり親しくなった。
年に数回の里帰りの際には日本で会うようにもなった。T大学の医学部はかなりのレベルであるが、R君はそれを全く意識させない謙虚さがある。また、お姉さん同様、かなりの海外旅行の経験があり、そこも話が合う所だ。
もう、医学部の最終学年で、病院実習や国家試験の準備にも忙しいが、それらにも飄々と取り組んでいて、頭の良い人の余裕が感じられて素敵だ。私はいつもお姉さんのような気分になってR君を頼もしく可愛く感じる。病院での実習中の話も面白く、一緒に食事をしても、時間があっという間に過ぎる。
私は、頭の良い、話の面白い人が好きだ。その人独特の話題や感性を持っていないと、何度か会ううちに、相手を飽きてしまって、程なく縁遠くなってしまうのだ。
ミャンマー人の彼氏を持つ彼のお姉さんは、その後ミャンマーに転居したが、今はニューヨークに住んでいる。彼氏はモデル、彼女はファッション系の仕事についている。R君のお兄さんも現役のお医者さん、御両親もそれぞれ仕事を持っているが、度々海外も訪れているようで、皆さん個性的だ。そんな家庭に育ったR君も将来が楽しみな男の子なのである。
もう一人は関西のK大学出身のS君だ。こちらもまず、彼のお兄さんとバンコクで知り合った。金融系の駐在員で、S君もバンコクに遊びに来た時、初めて会った。韓国のイケメン俳優のような顔立ちにドキドキしてしまった。
関西の雄、K大学法学部のロースクールを卒業し、今は山梨にある高給で有名なIT企業に就職している。彼も私の生き方が面白いらしく、時々メールする仲になった。京都の寺社巡りが好きな私は、何度か京都でも彼と会って、近況を報告して、親交を深めている。
就職してからは、なかなか会えないが彼も自分の学歴などを鼻にかけるような素振りはなく、自分の彼女や仕事の話を気さくにしてくれて、関西弁の可愛い弟のような存在だ。
そして、若い友人といえば、なんといってもJ君を紹介しない訳にはいかない。友人と言うよりはお互いに親子のような感情を持つ仲なのだ。