ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー
いつかもやったが、グランドシネマサンシャインのIMAXで鑑賞してみたら、3Dだった案件。
本作は、MCUだが、素直なヒーローものとはちょっと違う。実は前作のブラックパンサーもそうだったが、本作もそれを踏襲している(詳細は後述)。これがヒットしているのは少々不思議ではあるが、私もそこはライアン・クーグラー監督の特徴であり魅力なのだと理解した。
冒頭は、必然的に、ティ・チャラの死からはじまる。これは観客の大部分が共有していることだと信じる。事前情報シャットアウトの私もさすがにこれは入ってきてしまった。なので、分かっている死を最初に見せられる。これはこれでつらいものがある。もういきなりお涙。まあ、しょがないよね。
で、ブラックパンサーを誰が継ぐという話も、そんなに意外ではない。予想はつくし、物語が進行するに従い、そのように流れていく。
では、何がそんなに人々を魅きつけるのか。冒頭にも言ったように、これがありきたりのヒーロー物ではない、ということがあるのではないか。何がありきたりじゃないって、まず、これ戦争ものになってるよね。海底人の国タロカンとの、国対国、民族対民族の戦争になってしまっている。しかもですね。この物語の主人公であるシュリ自身が復讐を動機としてたたかっているという。終了直前の土壇場まで復讐のために相手を殺そうとして、最後の最後に気付いてやめるという。つまり物語の9割近く、主人公は正しくない行動をしている訳で、こういうのって珍しいよね。この辺の構造が、敵役のキルモンガーがほぼ主役だった前作に通じるものがある。
ところで海底人といえば、DCのアクアマンではなく、ウルトラセブンのノンマルト人を思いだす。彼等もしいたげられた民族で、地上人とたたかうんだけど、最後キリヤマ隊長に全滅させられてしまう。今回は、キリヤマ隊長がいなかったおかげで、タロカンの人は全滅はまぬかれたし、よかったと思うけれども。
あと、今回も?よかったのは、前作以上に女性の物語であること。オコエをはじめとしたドーラ・ミラージュは言うに及ばず、ティ・チャラがなくなって女王の座についたラモンダ、天才少女リリ、ナキア。冒頭の国連総会の場面、フランス代表も女性なら、ワカンダ組も全員女性、というのが象徴的だった。