ドント・ウォーリー・ダーリン

『ブックスマート』のオリヴィア・ワイルド監督、フローレンス・ピュー主演ということで、「これは見なければ!」ということで、109シネマズ川崎で鑑賞。

前作『ブックスマート』は、コメディタッチでありながら、女子やマイノリティの在り方についてしっかり描いた作品で、面白かったが、今作は予告からもう不穏な空気が…鑑賞して、前作と全くテイストが違うので改めて驚いた。特に、日常に潜む不穏な要素から、滲みだしてくる怖さの演出。あと音楽がまた効果的ですね。メロディーになってない不穏な調べ。こういう演出最近どっかで…と思ったら、『スペンサー』とどことなく似てる。

そして、ピューさん、フローレンス・ピューですよ。今作でもすばらしい。結構この作品キャストが豪華で、ハリー・スタイルズ、クリス・パイン、ジェンマ・チャン…みんないい演技してます。

で、そろそろネタバレを…本作の主要テーマは、「女性」と思います。50年代を舞台にして(実はヴァーチャル世界なんだけど)、当時は当たり前の「女は家庭にいて家事をする」という、ユートピアのようなディストピアを描き、その世界から逃れることでその解放を描く。ここは成功していると思います。時々出てくる、シンクロナイズされたダンスの絵が、女性を機械として見せ、全体主義的なにおいもさせるという、いい選出をしていました。

そっちは成功していると思うんですが、この映画の問題は脚本にあると思う。物語のラスト、ヴァーチャル世界から逃れようとする主人公と、追いかける管理者側の追いかけっこになるんだけど、車で逃げるのに車で追いかけるとか、もうちょっと管理側ならなんとかなるんじゃない?と思ってしまう。「フリーガイ」とか、マトリックスのエージェントスミスの方がまだリアリティあった。そこはちょっと残念。

これ書いててちょっと思ったんだけど、主人公の名前がアリスというのは、実は「不思議の国のアリス」から来ているんじゃないかと思ったり。オリヴィア・ワイルド演じるのが「バニー」っていう名前だし…違うか。

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