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ダメパパが私立小学校受験に挑んでみた10 ~お受験フェア編~

【3行でわかる前回のあらすじ】

だんだんと

お受験ソルジャーに

なってきた

【ダメパパ私立小受験記まとめ】

【イトー家の紹介】

〈僕〉
30代後半。都内勤務のサラリーマン。最近お受験ソルジャーの新兵になる。

〈妻〉
僕と同い年。某私立小学校の卒業生。鬼畜。

〈娘〉
4歳の年中。小受に奮闘中。

〈息子〉
1歳。可愛さしかない。

〈その他情報〉
神奈川県在住。ローンありの持家に住む。世帯年収は900万円ほど。

【本編】

新年長になった娘。

前回の記事でも書いたようにこの頃になると嫌々ながら向き合っていた小受に少しずつ興味を持ち始めてくる。

~前回記事~

あれだけ嫌々しながら向き合っていたお受験だが、妻がことあるごとに小受の話をしてくるので、だんだんと興味が湧いてきてしまったのだ。

さらに興味を湧かせる要因はもう一つあった。

僕はX(旧Twitter)を結構な頻度で閲覧する。暇な時にXを開き、くだらないツイートやエッチなツイートを眺めてはニヤニヤしている。

そんなX生活を送っていたが、ある時からタイムラインに小受に関するツイートが流れるようになった。

小受に関することなんて特に閲覧していないはずなのになぜタイムラインに流れてくるんだ?と最初は不思議に思っていたが、その真相は後にわかる。

どうやってやったのかわからないが、小受に取り組むママのアカウントやお受験情報・ノウハウを取り扱うアカウントを、妻が勝手に僕のアカウントでフォローしていた。おかげでタイムラインが小受まみれになっていった。(小受アカウントをフォローしていることに気づくのは受験が終わってからなのでこの時点ではまだ気づいていません)

最初こそ、なんでこんなツイートが流れてくるんだと困惑していたが、よくよく見るとそれらのアカウントのつぶやきがまぁ面白いのだ。

時期は11月。11月といえば、都内の私立小学校の受験本番である。つまり小受に向かい、合否がでたパパママの阿鼻叫喚がタイムラインに流れてくる。

「無事に第一志望に合格しました!みなさんありがとうございました^^」

「やばいやばい、1校目も2校目もダメだった……手が震えて3校目の合否を見れない……」

「あんぎゃああああ!!今まで必死に頑張ったのに!楽しいことも何もかも我慢して子供も頑張ってくれたのに!全滅だよ全滅!wwwwwwバナナうんこパクパクモグモグwwww」

※実際にこんなツイートはありませんが僕の目にはこう見えてます。

僕は性格が捻じ曲がっているので、こういった香ばしいツイートが流れてくると、お受験界隈に興味が湧いてしまうのだ。

こうして、徐々に徐々に小受に興味を持ち始め、お受験ソルジャーへと成長していった僕。そんなこんなでソルジャー化した僕に妻が新たな任を課してきた。

「お受験フェアに行ってこい」

「ふん……興味ないね……」

「行ってこい」

「はいよろこんで!!(トントントンツーツーツートントントン)」

お受験フェアとは、多くの私立小学校が自らブースを出展し、その学校の特徴や取り組んでいる教育を、来場する親御さんに懇切丁寧に紹介してくれるイベントである。

小受を目指す親からすると、各校の特色や教育理念を深く知れるため、どの学校を志望校とするか、その選定を行える。それだけではなく、この時に聞いた内容を基盤に、願書の内容を決めていったり、面接の受け答えの指針にするなど、本番にも多少なり影響する重要なイベントなのだ。

そんな重要任務に行って来いと妻は言った。これほど重要なイベントに新米ソルジャーの僕が行ってもいいのか?と聞いたところ

「当事者意識が足りないからイベントに参加してもっと自分ごとだと思え」

とのこと。ベテランソルジャーへの道は厳しいのだ。

そうして参加したお受験フェア。

初心者な僕ではあるものの、事前にXでお受験フェアに関する情報を得ていたから予習はバッチリである。

「うちの旦那をお受験フェアにいかせたら、ただ場内を歩くだけで何も話をきかずに帰ってきやがった」

「うちの旦那をお受験フェアにいかせたら、私服でいきやがった」

「うちの旦那をお受験フェアにいかせたら、志望校の先生にどうでもいい質問ばかりして無駄に迷惑かけた」

などなど、数々のダメパパの屍のおかげで予習は完璧である。おかげで僕はしっかり準備をしてお受験フェアに臨むことができた。

っと思っていたがそれは大きな過ちであったことをこの時の僕はまだ知らない。


どれほどの人がいるかわからないから、会場には開場の30分前に着いた僕。

しかし会場は開場していないはずなのに既に長蛇の列ができあがっていた。

「すごい行列だなー、私立を目指す人って結構いっぱいいるんだなー」とノホホンと構えて列にならぶ僕。

そして開場する会場。

今回のお受験フェアには僕らが目指す志望校が2校出展している。

早速僕は一校目のブースに向かい、先生に話しを聞こうとしたところ……

「整理券をお持ちですか?」

「整理券?持ってないです」

「申し訳ありませんが本日分の整理券は終了しましたのでまたの機会に……」

……え???

まだ会場が開場して15分も経ってないよ?え?そんなことある?会場が開場し早くもひどい惨状だ。

さすが都内の人気校である。僕は完全に出鼻をくじかれた。脳裏に浮かぶのは妻の怒号である。

でもまだもう1校ある。僕は足早にもう一校の場所へ向かう。

しかし……

「本日の整理券配布は終了ですー」

これはまずい。緊急事態だ。帰ったら妻に怒られるのは間違いないが、さらに「うちの旦那をお受験フェアにいかせたら、志望校の話何も聞けないで帰ってきやがった」とかツイートしかねない。

しかし挽回のしようもない。妻に怒られるんで説明を聞かせてください!と食い下がったところで、ツイートネタが一つ増えるだけだ。いや、なんなら妻だけじゃなく会場にいるママさん方に「締め切ってるのにめっちゃ必死に食い下がってるパパさんいて笑った。どんだけ奥さん怖いんだよ(わら」と笑いものにされる。

ってか早々に締め切りってなんだよ。コミケの壁サークル以上の人気じゃないか。サークル参加の連中が開場前行列でも作ってるんじゃないかと疑いたくなる。

どうしようもなくなった僕は全く興味もない学校のパンフレットをいくつかいただいて、開場して間もない会場を無情にも退場した。あぁ諸行無常。

ーーー

帰り道、ふと気づく。

そういえば人気校はすぐに締め切られるほど多くの志望者が訪れていたが、それ以外の私立校は説明を聞いている志望者がほぼいなかった。よくて説明を聞いている人が1人2人いるかなーぐらい。そういったブースの前を歩くと、向こうから学校のパンフレットを押し付けてくる。人気校は押し付けなくても志望者側から勝手に取っていくのに随分と差があるもんだ。

私立小学校側も必死なのだ。人気がなければ定員割れもあるだろう。しかし定員割れするからといって、誰でも入学できるようにしてしまうと、小学校自体のアイデンティティがなくなってしまう。そうなるとますます志望する人はいなくなり経営が成り立たなくなるという悪循環に陥る。業界の苦しい事情が垣間見えた気がした。

そんなことを考えているうちに家に着き、妻に報告。

「いやー、すごかったよ!なんか私服で来てるパパとかもいたし!やる気あんのかー?って感じだったわー!」

「あ、そうなの。っで、志望校の話はきけた?」

「なんか歩くだけでめっちゃパンフレットもらっちゃってさー!でも意外と知らないけどいい学校もあるっぽいんだよねー!こことか娘にあうんじゃない?」

「そうかもね。っで、志望校の話は?」

「っでさー、やっぱり私立小学校も厳しい時代みたいでさー、会場が開場しただけですごい勢いでさー!あ、会場が開場って僕が考えたギャグなんだけども(笑)ほんとみんなたいへんそうd」

「おんどりゃーー!!!!!」

こうして、お受験フェアは僕の屍を残して終了した。

続く

【ダメパパ小学校受験記まとめ】


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