新規就農の困難
かつて、集中的に農家を取材した話を先日、書いた。
ある地域で、その土地と何の地縁も血縁も無い若い夫婦が、苦労工夫して様々な野菜を育て、成功していた。
その苦労であるが、過疎地の農村で放棄農地を探していた時、無償で農地と家屋を貸してくれる人と出会った。彼らは荒地を開墾し、古い家屋を自分たちでリフォームし、頑張っていた。
ところがある日、その大家が「孫が帰って来ることになったので、返してくれ」と、言って来たらしい。彼らは振り出しに戻った。その後、同じ様な事態があり、その時に耕していた土地は、3箇所目だった。
同様の話が「地域おこし協力隊(地方創生プロジェクト)」でも聴かれる。地域おこし隊は、地域での起業を目指す若者と地域おこしを目論む自治体の間に総務省が入ってマッチングさせる。成立すると、2年半程度の期間、入植者への賃金と事業資金とを自治体に交付し、入植者は臨時雇用として働く。本来は、ウィンウィンの関係である。
ところが。受け入れる自治体は様々な妨害を行うらしい。本来、地元出身でプロである彼らがなし得なかった事業起こしを、外部から来た素人に達成されては彼らの存在意義が無い。それでも成功しそうになると、自治体職員は様々な形で関与を始め、最終的には自治体を辞職して乗っ取ってしまうという。
もちろん、こんな悲劇ばかりでは無いだろうが、外から入るということは、それなりに障壁があると考えるべきだろう。