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週刊少年ジャンプのこと②鬼滅の刃が完結しましたが。

さて、好きなことを書こうということで、ジャンプの話をします。①は読まなくていいです、僕はジャンプが好きですよーと言うことをくだくだグダグダ書いてるだけなので。

今回は、せっかくタイムリーに最終回を迎えたので鬼滅の刃の話をします。自称ジャンプの観測者になりたい人が、今のジャンプという土壌でいかにして売れていったのかについて事実と憶測を混ぜて話します。先に言っておくと、ディスったりはしません。僕は新連載からずっと追ってました。単行本も全巻持ってます。それでは行きましょー。

アニメが始まって、急速に人気が高まった鬼滅の刃。正直このブームになる前までは、

ちょっと絵もストーリーも荒いところあるけど、台詞回しとか人物描写に個性あっていいよね。

子どものアンケート票は集められないかもしれないけど、アンケート出さない高めの年齢層でコミック売れて細々続きそうかな。

くらいの印象だった。だからこそ、あえて僕は今この異常なまでの大人気に対して物申したい。

こんなに流行っちゃって大丈夫?

誤解しないでほしいのは、鬼滅の刃が面白くないと言いたいわけではない。僕はそういう、流行ってる=別に面白くねぇじゃん、の公式を使う人間が嫌いだ。よくいるじゃないですか。ワンピースなんて惰性のクソ漫画、とか言うタイプの人。いやいやちゃんと読んでたらそんな感想出てこないでしょ、みたいな短絡的な批判。僕はそういう安い漫画批評は嫌いなのでしたくない。

前提として、鬼滅の刃は結構面白かったと思う。作者の個性もしっかり出ていたし、暗い背景を吹き飛ばすジャンプらしい主人公もよかった。
しかし、しかしだ、作品の規模と流行の規模が噛み合っていないように感じてしまうのだ。

きっとみなさんの中にもいたはずだ。こんなに流行ってるなら、と期待して読んでみたら、あれ?ハードル上げすぎちゃったかも、、、って思った人。僕は職場の後輩もその1人だった。

例えば、ちょっとジャンルは違うけど、『カメラを止めるな!』という映画は作品の規模と流行の規模が合っていたと思う。面白いらしいよ、流行ってるらしいよ、という噂を聞いて、期待して観に行ってみて期待通りの面白さを得られる作品。もちろん別に、自分はあれは好みじゃなかった、という人がいるのもおかしくない。けど、どうして流行ってるのか何となく理由は分かるはずだ。

一方の鬼滅の刃はどうなんだろう。今のジャンプの中で文句なく面白い作品なのは間違いないのだけど、店頭でコミック全巻売り切れ、みたいな状態になるほどの傑作なんだろうか。申し訳ないけど、僕はそうは思えない。『ちょっとマイナーだけど知る人ぞ知る隠れた名作』みたいな立ち位置がとてもいいと思うのだ。

例えるならそう、【脳噛ネウロ】のようなあの隠れた名作感。ネウロはもともと、打ち切られてもいいから爪痕残そう、みたいなノリで連載を始めたと作者本人がラジオで話していた。要するに、最初から万人ウケなんか狙わずに、こういうの好きな人いるでしょ、というニッチな層を狙って成功したわけだ。今でもネットではネウロの名作っぷりは評価され続けている。

鬼滅の刃も、多分もともと万人ウケなんか狙って連載始めちゃいない。だって、まず舞台が大正時代なんだもの。時代劇はウケない、というのがジャンプ編集部で常識で、それを覆した【るろうに剣心】は奇跡だ、なんて言われている。異色な時代劇ものとしては銀魂もあるけど、あれはちょっとまた違うのかな。実際ここまで、数々の時代劇モノが始まっては終わっていった。世にその名前を知らしめることなく。

それなのに、あえてこのご時世に大正時代を舞台にした鬼を切る作品って、万人ウケを狙ってる人の考える舞台設定じゃない。ちょっと高い年齢層をターゲットに、ほんのりダークな人間ドラマをお見せしたい、みたいなマインドセットだったのではなかろうか。

だから僕から言わせれば、最近ネットにゴマンとある『鬼滅の刃はなぜ多くの人の心を打つのか』みたいな批評はそもそも前提が間違ってると思うのだ。いやいや、分析すべきはそこではなくて、どうしてこんなニッチな漫画が社会現象になったのか、なんだ。

ということで、もう一度聞きたい。

こんなに流行っちゃって大丈夫?

何を心配してるかっていうと、こういう異様な持ち上げられ方の後に待ってるのは、急激なアンチの増加であるということ。
つまり、期待して読んでみたはいいものの、あんまり面白いと思えなかったり、自分の期待してたハードルを越えられなかったりした人たちは、この後こう言うわけだ。『そんなに面白くなくない?これ。』と。

そう言う人たちの気持ちも分かる。よくわかる。だって、ドラゴンボール、ワンピース、そういう格の作品と同列くらいの期待で読み始める人がいてもおかしくないほどの持て囃され方だもの。期待しちゃう人がいるのは本当によくわかる。そういう人達が、反動で『いやそんなに面白くなくね?』と言うことを誰が批判出来るというのか。

悪意なく、純粋に期待して、純粋に期待を裏切られ、純粋に面白さに疑問を持つ、という人が増えていけば、この鬼滅ブームは急激に冷めていって、5年もしたらただのネタ漫画みたいなこき下ろされ方をしてるかもしれない。そんな扱いをされるような駄作ではないのだ、鬼滅の刃は。大ブームの超大作という立ち位置を得てしまったばっかりに、将来的に鼻で笑われるような作品になってしまっては元も子もない。だから、しっかり等身大の評価をしていかないといけないと思う。
ちょっと話が抽象的になってしまった気がするので、ここでその被害に遭った具体的な作品を挙げてみる。【進撃の巨人】である。あれなんか、鬼滅以上に万人ウケする訳のない作品なのに、めちゃくちゃ持て囃されて映像化までしたのに、今や連載が続いてるのかどうかすら知る人は少ない。
そういう揺り戻しみたいに不当な扱いを受ける作品が少しでも減るといいと思っている。

でも一方で、この鬼滅ブームには夢もたくさん詰まってると思う。というのも、この漫画、1巻につきおよそ200万部売れてるのである。それが20巻ほど出ているので、ざっくり合計4000万部以上売れていることになる。コミックの印税は10%。つまり一冊500円弱のコミックの印税は、一冊50円弱。それが4000万部ということは、50×4000万=20億である。20億。すごい。コミックの印税だけで20億。それに原稿料やグッズ、キャラクター使用料、アニメや今度公開の映画の収入を足したら、この人一体いくら稼げるんだろう。

そう、漫画には夢があるのだ。だから、目指す人が後を絶たない。この鬼滅ブームをみて、夢に燃えて漫画家を志す人がきっといる。そういう人達の中のほんの一握りの人達が、きっとジャンプにまた新しい風を起こしてくれる。それを僕たち読者は楽しませてもらえる。鬼滅ブームが、新しい天才漫画家を生む一つのきっかけになってたらいいなぁ。

ということで、長くなりましたがこれで終わり。
ここまで読んだ人、いたら多分ちょっと忍耐力強すぎて変態ですよ。もし1つでも、これについての感想のコメントが入ったならば、僕はまたこんなことを書き続けていこうと思う。