【イベントレポート】関係人口創出の可能性を探る、テレワーク体験ツアー
磐梯町では少子高齢化などの課題を解決する為、そして、地域のさらなる価値創造、共生社会を実現するために、町のビジョンとして「誰もが自分らしく生きられる共生社会の共創」を掲げ、デジタル変革や官民共創プロジェクトなど積極的に取り組んでいます。
そんな磐梯町で、地域でのテレワークやかかわりに関心のある企業を対象にしたテレワーク体験ツアーを開催しました。今回はそのレポートをお届けします。
イベントの概要
ツアーは「福島県磐梯町でテレワーク・関係人口創出の可能性を探る」をテーマに磐梯町主催、株式会社LIFULL運営で実施いたしました。
ツアーでは、LivingAnywhere Commons会津磐梯でのテレワーク体験をはじめ、地域プレイヤー・行政職員との交流、地域プログラムの体験、ツアー参加者と行政職員と共に磐梯町の関係人口定着施策を考えるワークショップを開催しました。磐梯町を知るだけではなく、参加者自身が磐梯町で何ができるかを考える機会を作ることを意識し、企画しました。
●開催概要
日程:2022年3月11日(金)~3月13日(日) 2泊3日
開催場所:磐梯町内
宿泊場所:LivingAnywhere Commons会津磐梯
参加人数:磐梯町外からの参加者 9名
●3日間の行程
1日目
・オリエンテーション
・テレワーク体験
・磐梯町 佐藤町長から磐梯町のご紹介・意見交換
・交流会
2日目
・地域プレイヤーからのインプット/座談会
・地域プログラムの体験
・関係人口施策立案ワークショップ
・交流会
3日目
・関係人口施策のプレゼンテーション
・参加者全員での振り返り
・解散
●ツアーのポイント
1. 磐梯町内にある、宿泊もできるテレワーク施設「LivingAnywhereCommons会津磐梯」でテレワーク体験
2. 磐梯町佐藤町長をはじめ、行政職員や地域プレイヤーの方との交流・地域プログラムの体験やフィールドワークを通じた磐梯町の魅力・課題の把握
3. 「磐梯町への関係人口定着」をテーマに磐梯町の各ステークホルダーとの共創ワークショップを実施
●参加された方
磐梯町で事業実施を検討している首都圏の企業の方、様々な地域を舞台にしてまちづくりに関わっている都市圏の企業の方、磐梯町とは別の地域で実証実験事業を展開している企業の方など、地域でのテレワークの可能性や地域との継続的な関わりに関心のある企業の方々に磐梯町に集まっていただきました。磐梯町からは佐藤町長を始め、磐梯町の政策企画課の方々にも休日にもかかわらずワークショップにご参加いただきました。また、地域でゲストハウスを運営している方、磐梯町にIターン・Uターンで戻ってきたまちづくりを進めている地域プレイヤーの方々にも参加いただき、まさに「官民共創」を体感できるツアーとなりました。
イベントレポート
■DAY1
LivingAnywhere Commons会津磐梯(LAC会津磐梯)の見学・テレワーク体験
1日目オリエンテーション終了後、LAC会津磐梯でテレワークを体験いただきました。参加者の皆さんからはWi-Fiのスピードはテレワークを実践していくために申し分ないという声を多数いただきました。
また、当日は3月11日、東北の地で東日本大震災から11年を迎える日ということもあり、2時46分のサイレントともに1分間の黙祷を参加者全員で行いました。
改めて過去の出来事に想いを馳せると共に、自分の今を考えていくスタートになる時間となりました。
磐梯町 佐藤町長から磐梯町のご紹介・意見交換
佐藤町長より、ご自身が町長になろうと思った経緯、磐梯町のまちづくりにおいて目指しているビジョン、具体的な戦略・戦術を語っていただいたほか、参加者からの質問を受ける時間を作っていただきました。
磐梯町のビジョンはもちろんのこと、町長自身が「なぜまちづくりに向かおうと思ったのか?」という原点について参加者にインプットいただくことができ、参加者自身が「自分はどのように磐梯町に関わるべきか?」ということを”自分ごと”として考えていくキッカケになる時間となりました。
■DAY2
地域プレイヤーからのインプット/座談会
磐梯町にI・Uターンし活動している地域プレイヤーの方々より「なぜ磐梯町に来るという決断をしたのか?」というご自身の決断の背景をはじめ、磐梯町に来てどんな仕事をし、何を目指しているのか?等、実践者としての話をお聞きしました。参加者の皆さんは、「地域と自分の仕事をいかに紐づけるか?」という点において、地域プレイヤーにたくさん質問をされており、地域プレイヤーのお話を一方的に聞くだけではなく、一つ一つの情報の咀嚼を丁寧に行っていらっしゃいました。
※座談会は、まん延防止等重点措置を考慮しオンラインで実施しました。
地域プログラム① そば打ち体験
お昼には、地域の蕎麦屋である「そばさだ」さんにLAC会津磐梯までお越しいただき、そば打ち体験を実施しました。
テレワークをする環境としてのLivingAnywhere Commons会津磐梯の利用はもちろんのことですが、「磐梯町に来たからこそ出会えるかけがえのない経験」の一部として、体験プログラムを通じた地域の方々との交流や、参加者同士での共通体験を行うことなども関係人口が継続的に続いていく重要なエッセンスの一部なのかもしれない、という声が参加者からも上がるような貴重な体験となりました。
地域プログラム② 雪下キャベツ収穫体験
地域の農家さんを訪問し雪下キャベツの収穫を体験しました。都心では滅多に体験できないキャベツの収穫に皆さん大変満足していただきました。また、収穫体験中に参加者さん同士で雪下キャベツを活用した商品開発の話が発展し、ひとつのプロジェクトがツアー中にスタートすることになりました。
まさに今回のツアーの中で目的にしていた「関係人口創出の可能性」を探っていく中で、地域の方々と具体的なプロジェクトで繋がるという一番いい形で話が進んでいった瞬間だった気がしています。
「中の力(土の力)、外の力(風の力)」が混ざり合うプロジェクトが地域の中にあるということが関係人口創出においての一つの手がかりとなるのかもしれません。
関係人口施策立案ワークショップ
夕方からは、磐梯町役場の方々との関係人口創出施策を考える共創ワークショップをオンラインで実施しました。磐梯町役場が進めている関係人口創出施策において、課題に感じていること、より良くしていくためにツアー参加者が持っているリソースで解決できることなどを考える意見交換を行いました。
前日の佐藤町長との意見交換の中で捉えていた全体感をより現場レベルで実感する時間になり、具体的な施策もいくつか生まれました。
磐梯町役場職員が日々の業務の中で感じていた「本当は手を出したいがなかなか手を出してきれていない施策」について、テレワークツアー参加者とじっくり本音で話し合う中で、お互いの熱量が共有され、単なる課題解決アイディア出しで終わらない熱気があふれる時間となりました。
■DAY3
関係人口施策のプレゼンテーション
最終日は、1日目〜2日目で磐梯町の関係人口創出における様々なインプットを元に、
を整理していき、各グループに分かれて参加者自身が考える関係人口創出のアイデアを検討・プレゼンしていただきました。
出てきたアイデア(一部抜粋)
佐藤町長から町のビジョン・具体的な戦略の方向性について、地域プレイヤーの方々や行政担当者の方々からは現場で感じる課題感について、この2日間でたくさんお話を聞かせていただいたので、参加者から出てきた「自分ができること」のアイディア・提案が具体的であったことが印象的でした。
まちづくりを進めていく上で、町外のリソースを活用した方がいい点、町内の中で頑張らないといけない点、両方とも重要な視点であり、両者が立場を超えて同じ目的に向かって歩みを踏み出し、調整し、折り合いをつけていくプロセスこそが、これからのまちづくりのあるべき姿なのではないかと考えさせられる時間となりました。
ツアー参加者からのフィードバック
〇ツアー全体の満足度
〇企画内容について
〇LAC会津磐梯でのテレワーク・ワーケーションについて
〇参加者からの自由記述コメント(一部抜粋)
まとめ・今後に向けて
今回「福島県磐梯町でテレワーク・関係人口創出の可能性を探る」というテーマを元に様々な方に集まっていただき、2日間磐梯町の関係人口創出について対話を軸としたツアーを実施しました。
多くの地域では「うちの町になんて魅力ないよ」「うちの町はこのままでいいんだよ」という声が聞かれる中で、磐梯町は「まちを何とかしていきたい」「多くの方々に磐梯町の良さ・魅力を知ってもらいたい」という磐梯町に住んでいる人たちの想い・願いに多く触れることができたことが何よりも貴重な体験となりました。
行政の立場を担っている方、民間という立場で磐梯町に関わっている方、様々な立場を担いながら同じ想い、願いを共有し、まちづくりに踏み出している磐梯町の方々から前に進んでいく勇気をいただくシーンが多かったです。
そういった想い、願いの前提の中で、今回ツアーで出てきた具体的なアイディア、プランをカタチにしていくのはこれからの私たちの”アクション”にかかっていると思います。
「関係人口創出」を考えた2日間のテレワークツアーではありましたが、もしかしたらこの2日間は「私たちはこれからどんなアクションをし続けるか?」ということを私たち自身に問われた2日間だったのかもしれません。
今回のツアーに関わっていただいた全ての方々に感謝すると共に、引き続き磐梯町に関わる「関係人口」の1人としてアクションを続けていきます。
ライター:株式会社LIFULL(ツアー運営者) 鈴木