「星をめざして」採譜のはなし
こんにちは。タケカナです。
採譜小話第二弾ということで、シャニマス屈指の変態曲こと「星をめざして」のピアノ楽譜を掲載しつつ、採譜していて思ったことをいろいろ書いていこうかと思います。(何かの間違いで最初にこのページにたどり着いてしまった方は、こちらの記事にちらっと目を通していただけると助かります!)
・楽譜
採譜音源はMusescoreで作成しており、それを多少手直ししてpdf化したものを掲載しています。楽譜の適切な形式というものが全く分からないので、見苦しいところが多々あるかと思いますがご了承ください…!
動画とあわせて見ていただくとよいかと思います!
なお、改めて楽譜にするにあたり、ごく一部ですが動画と譜面を変更している箇所があります。変更点は採譜小話のところで詳しく触れていますので、そちらをお読みいただければと思います!
採譜小話
YouTubeの動画はこちらから!
・BPMのはなし
さて、ここからは採譜小話ですが、あさひのソロ曲「星をめざして」はこれを語らないことには始まらないでしょう。
そう、「150前後を行き来するBPM」です。
最大でも割合にして2%程度の変化ですので、「星をめざして」の独特なリズムとも相まって聴いているだけでは非常に気づきにくいです(事実、ネット上などでもあまり認知されていないように感じます)。
自分は採譜作業中、どうしても原曲と一致しないBPMとさんざん格闘した末に「BPMが微妙に変化してるの…?正気か……?」となったところで気が付きました。作曲を担当された三好啓太さんは本当にとんでもない方だと思います。これがプロか。
BPM変化の詳細は上に掲載したツイートと楽譜の方に譲りますが、これだけだとどこでBPMが変化しているかイマイチわかりづらいので、歌詞つきの楽譜も用意してみました。全人類が好きなことでおなじみ「ラリパ」は譜面の都合で載せていませんが、動画や原曲などとあわせていい感じにご活用ください!
・歌詞のはなし
※ここから先筆者の妄想につき注意※
歌詞入力中に思いましたが、「星をめざして」はカタカナで書かれた単語がやけに多いですよね(e.g. 「ヒカリ」「シゲキ」「セカイ」…)。
筆者は言語学などに全く詳しくないのでふわっとした感覚の話になりますが、例えば「光」を「ヒカリ」、「学園祭」を「ガクエンサイ」などと書くと、言葉そのものの意味やイメージに加え、少し浮足立ったような、良くも悪くも地に足のつかない印象を与えるように思います。
また外来語の読みに当てられたり、棒読みの文字表現として用いられたりするように、言葉が本来持つ意味を薄め、実態を曖昧にするような効果もあるでしょうか。
こうしたカタカナを用いた表現によって、あさひの放っておくとすぐどこかへ行ってしまうような性格や、本人の感じ取っている「ヒカリ」や「セカイ」がどういったものなのかあさひ自身にもはっきりとわかっておらず、その不確定な可能性を楽しんでいるような雰囲気が出てきていますよね。あさひがまだ中学2年生であることや、田中さんの快活な歌声もこれを引き立てている気がします。
また、「どこまでだって行こ」や「叶うよな気がしてる」など、口語チックな言葉遣いが多いのもポイントですね。思考と行動がほぼ直結しているあさひならではの表現といったところでしょうか。
以前「IM@S MUSIC ON THE RADIO」で作詞担当の下地悠さんが出演された際、「自分はWDCの歌詞コンペに参加し、ストレイライトの歌詞を担当することになった」というようなことを仰っていました。
WDCを始めとするバチバチなユニット曲、それとは趣の異なる三者三様の魅力が詰まったソロ曲の詞を見ていると、下地さんがストレイライトを担当してくださって本当に良かったなぁと思います。ありがとうシャニマス楽曲制作陣。
…ここまで書いて自分の語彙の限界を感じたので、一旦本編に戻りましょうか!
※筆者の妄想ここまで※
・2番Aメロのはなし
「星をめざして」の最も特徴的なパートと言ってよいでしょう。怒涛の変拍子ラッシュが訪れる2番Aメロです。せっかくなので、まずは楽譜を見てみましょう。
(「月でウサギと無重力ダンシング」←すき)
…改めて見ると本当にとんでもないですね。小手調べの2拍子を皮切りに本命の7拍子が5小節続いたあと、ここでスパイスを加えようかと言わんばかりの6拍子から再び7拍子に戻り、何事もなかったかのように4拍子に着地しBメロへ流れていきます。短時間でこんなに拍子がコロコロ変わる構成の曲には今まで出会ったことがありません。
(読者の中でこういったとんでもない構成の曲に心当たりのある方はぜひコメントやTwitterまでお寄せください。もれなく筆者が喜びます。)
実はシャニマス楽曲に絞っても、途中でBPMや拍子が変わる曲はちらほら存在します。「誰ソ彼アイデンティティー」や「アルストロメリア」のワルツパート(※)は特徴的ですし、「純白トロイメライ」の6拍子・7拍子・4拍子(とたまに5拍子)が入り混じった構成もなかなかにぶっ飛んでいます(ライブで、5人で、頻繁なフォーメーションチェンジを挟みながら6公演を通してクオリティを上げ続けたアンティーカは本っ当にとんでもないユニットだと思います…)。
※「アルストロメリア」に関してはどうも、リズムの取り方が難しいところがあるみたいなので詳細に突っ込むのは避けます。興味のある方はご自分で調べていただければと…!
さて、これらの曲と見比べた時、「星をめざして」の真のヤバさはその「全容のつかみにくさ」にあるように感じます。
はじめて「星をめざして」のFullを聞いた時、何か変わった雰囲気があるな?と思った人は多いと思います。しかし2番Aメロの複雑な構成や変拍子ポリリズム、隠し味のBPM変化など、実際に何が起きているかを把握するのは結構大変です。
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お茶目な三好さんの図
このような小ネタがまだ仕込まれている可能性も十分あるわけです。
変拍子に違和感なくメロディを乗せるだけでもかなりテクニカルだと思うのですが、それに加えさりげない転調・BPM変化などのギミックを仕込みながら、それを気づかせないワザにはただただ感服です…
・変更点のはなし
最後に、冒頭で述べた動画→楽譜の変更点についてです。遅くなりました!!
変更点は動画だとこのあたりで(該当箇所へ飛びます)、楽譜は121小節目のところです。↓↓
間奏パートの後半で気持ちよく音を下っていくところですが、白枠で囲った部分が少し変わっているのがわかるでしょうか。動画で「何か物足りないな」と思われた方は全くその通りで、右のようにソを足して3連符にするのがより原曲に近い譜面になります。当時の採譜力の限界が垣間見えますね…
最後に一応、比較用に修正後の音声を載せておきますね。
というわけで、「星をめざして」の採譜小話はこのあたりで締めたいと思います。ここまで読んでくださった方々、本当にありがとうございました!!
例によって何か思い出したら追記・修正する可能性があります!
p.s. 漢字→カタカナ変換のくだりで「added time アマクナイヨル」を採用するか少し悩みました。努……