ボカロハウスを聴き比べてみる【#vocanoteリレー】
こんにちは。しろばなさん、といいます。
今回はフォルテさん主催の企画、 #vocanoteリレー の第9走者として記事を書いています。
下記、企画綱要・バックナンバーになりますので是非ご一読下さい。
前回、第8走者ぐりーんさんの記事はアコギにスポットを当てた記事でしたね。
イマドキの学生達はバンドやサークルで当たり前にボカロ曲を演奏するんだなぁ…と、世代の違いを感じつつ。羨ましがりつつ、とても興味深く読ませて貰いました。私は普段ボカロ曲については専ら聴き専として楽しませてもらっているので、奏者の立場で実感を伴う分析に依る記述は、語り口として非常に新鮮なんですよね。ご馳走様でした。
翻って、自分にとってボカロ曲における「アコギ」の立ち位置について振り返ってみたところ、こんな曲が浮かんで来ました。
・ Lullaby,Lullaby / KKK_KKK (2012) BPM:126
イントロから鳴っているアコギが印象的な軽快ハウス・ナンバーです。
正確には、アコギのなかでも南米系のヴォッサギターとかその辺りに分類されるタイプかと思われますが。若干早回しで使っているのでしょうか。
すごくお洒落ですよね。
普段クラブミュージック/ダンスミュージックに偏重してボカロ曲に親しんでいる自分にとって、アコギのような所謂生音系のフレーズはトラック全体のお洒落感を味付けする為につかわれるもの、という印象が強いんですよね。特にハウス・ミュージック周辺では元々サンプリングカルチャーが強いのも影響してか、そういった使い方が深く根付いているイメージです。
などと……ハウスの話をしていたらボカロを使ったハウス曲を他にもいろいろ聴いてみたくなったので、今回は様々なボカロハウスを聴きつつその多様性に触れていきたいと思います(唐突)
・おさらい(そもそもハウス・ミュージックって?)
1970年代に米国シカゴの伝説的ディスコ「ウェアハウス」でかかっていた音楽が起源と言われていて、その後ヨーロッパでの爆発的流行を経て根付いたダンス・ミュージックの一種です。
定義は諸説ありますが、
・一小節に等間隔で4回キックが入る。いわゆる「4つ打ち」系の一種。
・基準となるBPM(曲のテンポ)は120~130程度
・リズムは一定のパターンを保ち続ける。
・DTMが存在しない時代からずっと打ち込み主体で楽曲制作が行われている。
この辺りを覚えておけばとりあえず問題ないでしょう。
JロックやポップスのようにAメロ、Bメロ、サビといった概念がなく、同じリズムパターンの繰り返しと音の足し引き・緩急によって陶酔感を得ることは特徴的ですね。特筆すべきは、元々打ち込みで作る文化があるためボカロとの親和性も高いことでしょうか。
ハウスのBPMは人間が軽くランニングした時の心拍数に近いとも言われていて、少しアップテンポなビートをずっと浴び続けると人間の身体は勝手に気持ちよくなってしまう、という生理現象に強く訴えかける音楽なんですね(ランニングハイみたいなものです)
感覚的にあまりしっくりこない方は、BPMが135以上なら、よりアッパーで激しく、110くらいだったら比較的ゆったり系のハウスだと思って貰えればいいかと思います。
・聴き比べてみよう!
ハウスミュージック自体が他ジャンルの音を吸収しながら発展してきた事情を反映してか、ボカロハウスにもさまざまなタイプが見受けられます。
今回はその一部を一緒に巡っていきましょう↓
・赤とんぼ(cover&remix) / ZANIO(2008)BPM:128
童謡「赤とんぼ」をハウスチューンした分かりやすいremixです。
普段慣れ親しんでいる曲でも、ハウスのフォーマットに当てはめるとこんなにダンサブルになるものか!?という新鮮な感動があります。
・IAIA☆Yeah!Yeah! / シャレオツP(2013)BPM:120
ループ感が強いタイプのエレクトロハウスです。
繰り返しで気持ちよくなる感覚が非常につかみやすい一曲。
放っておいたら無限に聴き続けられますね。
undo:redo / 砂粒 (2013) BPM:130
こちらもエレクトロハウスですが、前曲よりベースが分厚くハード・グルーヴ。淡々と歌い上げるGUMIの歌唱も色気たっぷりで溜りません。
ハイウェイ / なるみや (2017) BPM:118
ファンキーでアダルティー。どっしりしたビートの玄人好みな渋いタイプ。
ドライブミュージックとしても◎。
月 / 外道さん (2013) BPM:144
四つ打ちに移行するのは4:00頃。
こちらはアシッドハウスと呼ばれるタイプで、幻覚的なシンセサイザーが特徴的です。BPMも高く、強烈な疾走感に溺れそうな魅力があります。
Jazz me!! / ttmywrk (2015) BPM:124
ジャズ色の強い軽快なナンバー。ピアノのバランスが絶妙で引き込まれます
ビート構成もお見事ですが、それに負けない張上げるような歌唱も素晴らしい。
just a way / Rubik (2011) BPM:114
こちらもジャズ色強めですが、どちらかと言うとラウンジミュージックに寄っているタイプです。クラブのメインフロアというよりも、音量控えめなサブフロアで談笑しながら聴きたい感じですね。
experimental-001 / ゆうゆP (2008) BPM:128
クリックハウスと呼ばれる比較的珍しいタイプ。
単音ノイズや切り取った音素材を中心にグルーヴを組み立てるのが特徴的で、特有の浮遊感がクセになります。
ユウトピア・ディスコテェク / 安芸章太郎 (2018) BPM:130
ネオン感のある音作りがわざとらしくて素敵なレイト80s系統。
近年のシティポップ・リバイバルからの影響も見受けられます。
ふたりでひとつ / やながみゆき (2016) BPM:110
マリンバなどの柔らかい音を多用するタイプはトロピカルハウスと呼ばれ近年のトレンドのひとつです。ゆったりリラックスしながらゆらゆら身体を揺らしたくなりますね。
Lintech / Soh_Yoshioka (2016) BPM:128
こちらも近年のトレンドの一つ。
ベースとキックのバウンド感を強くして疾走感を演出するタイプです。
スタイリッシュですよね。
なんとなく、すき / アズマビユウコ (2014) BPM:124
前曲のベース感を保ちつつテクノポップに寄せるとこの曲みたいになります。めちゃくちゃポップなのに死ぬほどダンサブル!バランスが絶妙。
以上、計13曲でした。いかがでしたか?
もっと聴きたくなった?????
ホントはあと100曲くらいは紹介したいんですが、スペースが足りないのでこの辺で。
これを機会に、広大なボカロハウスの世界に親しんで貰えたら幸いです。
それにしても、こうやって何か一つテーマや軸を決めて音楽を掘るのは本当に楽しいですね。またそのうちやろうかな。
それでは、次回の #vocanoteリレー はいよいよ大トリ。
主催のフォルテさんへバトンをお返しします。
最終回を前に私がとっ散らかしてしまった状況をどう〆てくれるのか!?(ホントすいません)
よろしくお願いします!!!!!!!!!!!!