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モバイル太陽と電子てろてろ

「あー!もう飽きた!やめやめ!」

短気な性格が声色で察せそうなセリフとともに梅雨がブツ切りで終了し、いきなり夏が開幕した。
今日は外に出ていない。壁越しでも暑い。冷房の効きが悪い。掃除するには運転を止めて汗だくにならなきゃいけない。そんなんならこのままやらない。

これぞ夏。最高である。

あれ以上梅雨が続くとどうなっただろうか?
かなりの確率で日本人の精神に鈍色の影響をもたらすため、太陽の需要が高まり、カバンから取り出せる携帯用の太陽の開発が急務だった。
太陽の直径は1,392,700kmとされている。それを約30cmまでのコンパクトサイズにしなければならない。明日欲しいと言われても難しいところだ。
小さくしたところで太陽熱いし。ミトンを使用しても触れるかどうか。グラタンできたてのグラタン皿より熱いだろう。

この様子だと、梅雨が終わったとて、夏が開幕したとて、部屋で遂行可能な趣味を実施したほうが賢明である。かつての人生の経験則からそう推測した。

僕は壁と床、天井、ドア、窓があり、何時間も滞在していても不法侵入で通報等されるおそれがないロケーション(一般にはこれを自宅という)で新しい音楽を探していた。

そういった合法的なシチュエーションで見つけたのが電子てろてろだ。

「夏らしさ溢れるパーティーチューン!!!!YES!ソーシャルディスタンス!参加者の80%が斬新な柄のマスク!!」の、対極に近いところにある音楽だ。

誰とも会わなかった一日の終わり。
寝る前にうっかり聴いたら心のざわめきが拡張され、うわどうしよう、いやむしろ深夜1時に一人でこんな気持ちにさせてくれてありがとう。これこそ2020年の私の夏なのかもしれない。身の丈にあった夏を具現化させてくれたのか、まさか。今日知ったバンドが・・そんな気持ちにさせてくれる。

電子てろてろは京都の立命館大学で結成された三人組バンドだ。女性のドラムボーカルに男性のギターとベース。まだ現役の学生だろうか。何歳だろうが最高なものは最高だから割とどうでもいい。
「青と白」は、言いたいことのうちの何個、伝えたい気持ちの何パーセントを表出するのか、自分の中でぐるぐると回っているうちに自分の中で言葉が溜まっていく。そんな一夜が切り取られた名曲である。
アレンジも特別なことはしていないぶん、聴いているこちらには、素直にスッと音や歌詞が入ってくる。
今後発表される新曲が楽しみな日本のバンドに久しぶりに出会えた。今年の夏はなるべく家で過ごすよ。

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keiichi
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