5年振りの「大車輪」開催にあたって
2019年10月19日土曜日、5年振りにライブイベント「大車輪11」を開催する。会場は今年オープンしたばかりの吉祥寺NEPOだ。
なぜイベントを再度始めようと思ったのかを書き残しておきたい。
イベントをコンスタントにやっていた時期は「誰かが待っていてくれてるかな」という気持ちも多少あった。
しかし今回は真逆。
誰も待っていない、今こそ!
自分が自分であるために始めるという、完全に自分が理由のきっかけ。
それは強い推進力となって僕を突き動かした。
イベントが止まっている間も、ふとした瞬間に「このまま、いちリスナーとして終わるのか」と自分へ問うていた。
そのたびに「いつかイベントやるでしょ」と濁してきたが、その「いつか」のゲージが部屋の天井に達した。もう外に出るしかない。
なぜこのタイミングだったのだろうか?
まず、僕にとってのこの5年はあまりにも早すぎた。
2014年12月にやった10回目の大車輪が最後。
あれは僕が結婚するタイミングで仲良いバンドだけ呼んだし、自分が楽しくなるために開催した。一区切りの気持ちもあった。
よく使わせてもらっていたライブハウス、池袋オルグの閉店が重なったことも大きい。
ライブハウスに行く回数もめっきり減った。
これはライフスタイルの変化だ。
ラジオ、YouTube、ネットラジオ、Sound Cloud、Spotify、ブックオフなどを駆使して、今も相変わらず音楽漬けの日々を送っている。
僕の音楽に対する命題は中学生の頃からずっと変わっていない。
それは「常に自分にとって新しい音楽を聴く」ということ。その手段が日々変わっているだけだ。
一方で、イベンターとしての自分の姿がどんどん遠くなっていくことに寂しさを覚えていたのも事実だ。
たくさんの素晴らしい音楽を聴いてはいるが、身体の中に情報が溜まっていくだけの自分に耐えられなくなってくる。
7年もイベント開催をしていると、音楽に触れながら「今の感性でイベントやるとしたら誰を呼ぶか・・」とうっかり考えてしまう。
そんなときに「もう自分はただのリスナーで、そこから表現することはないのか」と気づくと焦燥感のようなものがこみ上げてくるのだ。
そして既存のライブハウスに対する、自分の中でのイメージも柵になっていた。
好きなライブハウスは都内にもいくつかあるけど「あそこならこういう感じのバンドが出る」と、自分の中で勝手なイメージがついている。
その勝手な【色】が拭い切れずに二の足を踏んでいたところ、まさに渡りに船とはこのことだろう。
今年の3月に吉祥寺NEPOがオープンした。
新しいハコは色がついていない。無色透明だ。
オープンから2か月ほど前に開設されたNEPOのwebサイトをチェックしてみると、そのコンセプトにも引き込まれた。
このタイミングを逃したら、いや、このタイミングから自分が逃げたら、一生イベントをやることはないだろう。
そして、2019年に腰抜けだった自分を一生呪い続けることになる。死ぬ直前にも思い出すんだろうな。
・・そこからは早かった。
半ば衝動的にホールレンタルを決定し、イベントの日程を押さえ、ブッキングを始めた。
そしたら、やっぱり最高だった。
当日まで3か月前の現時点で既にやってよかったと思っている。
オファーする中で、返事の出演可否のドキドキハラハラ感も相当久しぶりだった。
しかしそれ以上に、連絡を取り合う中でギフトを贈り合うような瞬間が生まれていて、これが本当にたまらないのである。
「この歳でイベントやって失敗したら・・」と去年の暮れに思っていた僕はもうそこにはおらず、心を動かされながら、「これだよ、これ!」と強く思う僕だけがいる。
今回のイベントは「心が動かされる音楽」をテーマにブッキングを進めた。
ゼロからイベントをやり直す心構えだったから、出演を決めていただいた3組には本当に感謝の気持ちしかない。
イベント詳細は近日中に発表できるはず。
自分の中ではものすごいことになっているラインナップだ。
相変わらず「音楽性の近いアーティストだけを集めたイベント」にはなっていないので、そこにある音楽を純粋に楽しみにきてもらえたら嬉しい。