吾輩は1億年生き延びた微生物である

吾輩は、1億150万年前に堆積した地層の中で生き延びた、微生物である。名前はまだない。

地球上で、最もきれいな海といわれている、南太平洋の真ん中、南太平洋還流の内側の海底でじっとしていた。還流とは、大きな円を描くように流れている海流のことである。

JAMSTEC超先鋭研究開発部門高知コア研究所地球微生物研究グルーブ主任研究員の諸野 裕樹(もろのゆうき)さんに掘り出してもらい、餌をもらっている。

海底下の堆積物は、遠洋性粘土という細かい粒子で構成され、みっちりと詰まっている。そういう環境下では、1000分の1mmほどしかない小さな微生物であっても堆積物中を動き回ったり、海水の流れに乗って移動することも不可能だ。 そうゆうわけて、我輩はただじっとしていたのである。

勿論、餌になるものは、何も無かったわけで、そんな、超低栄養環境下で、どうやって生き延びてこれたのか、吾輩自身も分からない。ただ、「生きているとは何か」と問われれば、その問いに答えるためにこうして生き延びて来たように思う。

進歩が「善」になるのは、方向と速度が正しいとき。今この世の中が、向かってる方向と速度が、どんなものなのかは吾輩の知るよしもないが、進化の最先端を自負している人類とやらも果たしてちゃんとわかっているのかどうか...

いずれにせよ、既に1億年以上生きた吾輩にはこの星の未来について今更どうこう言うつもりはない。まずはお手並み拝見といったところである。





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バナナ
なんと、ありがたいことでしょう。あなたの、優しいお心に感謝