気の流れを感じて生きる
千葉大学大学院工学研究院 田中 敏是先生に
「礼ッ!」
それでは、稽古はじめッ!
私は、ミツバチの美津子、みんなからは、ミッチーって呼ばれてる。
千葉大学で気流道部に所属してます。師範の血吸(ちすい)先生は、ご高齢ながらも、未だに現役バリバリのアスリートならぬ、モスキート! 気流道では、蚊仲間から一目置かれる存在。
蚊は、自らの羽ばたきによって、生じた気流が壁なんかの障害物に跳ね返って乱れるのを探知することで、ぶつからずに暗闇でも翔ぶことが出来るの。その技の秘密を顧問の田中先生が科学的に解明されたんだって。
気流を探知するのは、触覚についた「ジョンストン器官」って呼ばれてる部分で、自身の体長の約10倍、3~4センチ先の気流の乱れを探知出来ちゃうの。ほんの僅かな気流の流れを読みと取れるなんて「超高感度センサー」がついてる達人の域よね。ホントに凄い。
蚊と同じぐらいのショウジョウバエは、1秒間に、だいたい200回ほど羽ばたくことが出来るらしいの。でも蚊は、その3倍! うちの先生みたいな師範クラスなれば、それこそ800回は、楽勝。しかも振幅は、40度と物凄く細かく素早い羽ばたきが要求されるの。
昆虫の中で最小の振幅で羽ばたくことのできる私達ミツバチでさえ、約90度が精一杯なのに、その半分以下の振幅で翔べてこそ、この気流道が使えるんだから、まだまだ、道は険しいけど、私、とことん極めてみたい。だから、当分は恋愛もおあずけ。甘い蜜なんか飲んでる暇があったら、さあ、鍛練、鍛練!
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