冬眠の奨め
社長、ドーパミンっちゅう脳内物質がありまんねや。
あっ、まいど、A10神経だす。このドーパミンいうのは、脳に快感や覚醒を起こすのに、えらい重要な物質なんですわ。その、ドーパミンが最も活動してはる神経回路が、わてのことですねん。
もっと、細かいこと言いますとな、脳内の神経系の中で精神系だけを走っとる神経で、別名ドーパミン系神経、報酬系神経とも言われてまんねん。
脳幹から始まって怒りや感情を司どっとる扁桃体やら、記憶を司っとる海馬やら、欲求に忠実な側坐核、その上、人間らしさにめっちゃ大切な役割しとる前頭連合野、そんで最後に記憶、学習を司る側頭葉までを通っとる神経回路でんねん。
まあ、なんちゅうても人は、集中して効率上げるには、ドーパミンっちゅう脳内伝達物質を沢山出すのが最高ですねん。
せやけど、この時期、社長にプラスのイメージ抱いて、少しずつ変化をつけるいうても、「イラち」で、飽き性の社長には、ピンときまへんやろ?
そこで、わいも、考えましたんや。いっそのこと冬眠しはったらどうです?
何、アホなこというてんねんて、社長! まあ、聞いとくなはれ。
スペイン北部ブルゴスの近所にAtapuerca(アタプエルカ)遺跡っちゅうのがありましてな、そのなかに La SIma de los Huesos (ラ シマ デ ロス ウエソス)っちゅう、考古学史上最も重要な遺跡の一つがありまんねん。で、ここから出土した人類の化石は、まあ大体30万年~60万年前のもんやって言われてますねんけど、 ほれ、社長のお嬢ちゃんにそっくりのネアンデルタール人かその先祖の骨らしいんですわ。
誰がネアンデルタールや! ってまあ、そう怒らんと。
そこで、偉い先生方が顕微鏡やCTスキャンつこて骨を調べた結果、なんと、初期人類の骨には、冬眠する動物の骨と同じ傷やダメージがあったそうなんですわ。
ほれっ、古代の人はさっぶい冬には食べもんなんてあらしまへんやろ。せやから冬の間中冬眠して新陳代謝を抑えて生き延びはったんとちがうやろかと、そんで、それが骨の成長に影響しはったんちゃうかと研究してはる先生らは思てはるみたいですねん。
それにね、社長、キツネザルみたいな霊長類かてちゃんと冬眠しまんねで。
っちゅうわけで、下手の考え休むに似たり。あれこれ心配せんとゆっくり冬眠しまひょ!
ほなっ、おやすみなさい。