因幡の白うさぎ
ママー、今夜もお話ー!
ハイハイ、ちびうさちゃん
昔々、インド北部の国立チャンバル保護区に一匹のかわいい子ウサギが住んでいました。
そこには広くて、とても泳いでは渡れない川が流れていて、沢山の獰猛なワニがいました。
でも、ある日のこと、子うさぎは、あんまり退屈だったので、微かに見える向こう岸のことが気になり出しました。
あそこにはきっと何か素敵なことが待ってるに違いない。甘い人参、ヒラヒラとキャベツ畑をまう白い蝶々...
そう思ったら、いてもたってもいられなくなりました。何とか向こう岸に渡りたい。でも、河は、余りにも広くて、子ウサギはあまりにも小さすぎました。
ゆっくりと流れる河の水面を恨めしく眺めていると、沢山の大きなワニたちがお口にワニの子供をいれて運んでいました。
あのワニさんに頼めば私も運んでくれるかもしれない。
そう、思った子ウサギは、
でも、確かピーターおじさんは、ワニのお口でがぶりとやられて大変だって、ママが言ってた。
と、慌ててその考えを打ち消しました。
でも、向こう岸に渡りたいと思う気持ちは、どんどん強くなって来て、どうしようもありません。
そこに、偶然ひときわ大きなガビアルワニが背中に100匹もの子ワニを乗せて悠々と河を泳いでやってきたのです。
子ウサギは、
背中に乗れば無事に渡れるかも知れない。
そう、閃いて、勇気を出して、ワニに言いました。
「ワニさん、私をあなたの背中に乗せて向こう岸まで連れていってくれませんか?」
ガビアルワニは、ちょっとビックリしたようでしたが、大きな口を開けて笑いながら言いました。
「これは、これは、勇気のあるお嬢ちゃん。ワニが怖くないのかい? よかろう! さあ、私の背中に乗りなさい。」
先程、大きな牛のご馳走にありついていた、ガビアルワニは、お腹が一杯で、優しい気持ちになっていたのでした。
そうして、子ウサギは、無事、憧れの向こう岸に渡ることが出来ました。めでたし、めでたし。
ええっ! それでおわりい!?
つまんない。あのねえ、 あたしだったら、沢山いるワニに、うさぎさんとワニさんで、どっちが多いか、私が数えてあげるって言って、ワニを並ばせて橋みたいにして、向こう岸に渡るの。ワニは、大きいけどおバカさんだから簡単に騙せるわ!
ちびうさちゃん、ダメよ、そんなこといっちゃ。嘘をついてひとを騙すと必ず報いがくるのよ。さあ、早くおやすみなさい。
じゃあね、ワニに嘘がばれて、皮を剥がれて泣いてたら、悪い人たちが来て、海水で洗ったら治るよって、嘘教えられてヒリヒリ痛ーいって、泣いてるときに、優しい王子様が現れてきれいなお水で洗ってくれて柔らかい蒲の穂で包んでくれるの!
はいはい、またちびうさちゃんの妄想癖が始まった。
ママ、それでね...
続きは、明日にしましょうね、おやすみなさい!
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