一目惚れ
みなさん、一目惚れって本当にあるんですね!
はじめまして! ブラジル北部パラー州のイリリ川に面する小さな湖に住んでるエレクトロフォラス ボルタイです。
体長は、2メートル40センチもあるくせに、ちょっと引っ込み思案な性格を変えようと、思いきって人生初のズーム飲み会に参加したんです。
名前がちょっと堅苦しいかなと思ったので、知名度の高いデンキウナギのウナちゃんとして参加しました。
Unaっていうのはスペイン語の不定冠詞、ひとつの~、とか、ある~っていう意味です。例えば、うな 丼とか、うな重とかね。
って自己紹介で受けを狙う為に一生懸命一人で言う練習したけど、結局言えなかった。
一人うじうじとみんなの話を聞いてたとき、画面が急に明るくなったんです。
眩しい青みがかった氷山をバックにそれよりもっと輝いてるあのお方が3メートルはありそうな立派な角を天高く振りかざして、私を見つめていたのでした。
そう、イッカク樣! 北極に住んでるおられるクジラの仲間です。イッカク様によれば雄には2本の歯があり、そのうちの一本が上あごを突き抜けてねじれながら伸びていくらしいんです。
道理で、角、じゃなかった角みたいな歯が北極の澄んだ光の中で、キラッと輝いて、まるで私一人のためにその眩しい笑顔を見せてくれているような気がして、私は、身体中に電流が走るような感覚を覚えたんです。
決して大げさに言ってるんじゃないんです。 私達は、地球上の動物で最も強い860ボルトの電気を生み出すことが出来るんです。
その電撃が続く時間は約1000分の2秒。人間だったら気絶してしまうほどの強さなんです。でも、あのお方をひと目見た時からまるで時が止まったようにずっと私のハートは痺れっぱなしなんです。
ああ、これが「恋」というものなのでしょうか。
コイやないやろ! おまえ、うなぎやないか! なんて心ない突っ込みは止めて下さいね、 ちっとも面白くないから!!