クモヒトデのジェラシー

ちょっとお、ニホンカモシカちゃん! 三重県菰野(こもの)町役場のポスター、凄い評判じゃないの!

「誰がシカや?」ってコピー最高よね。あたしも、あんたが、牛科カモシカ属で牛の仲間だって知らなかった。

まあ、学術的に言うたら、哺乳網偶蹄目(ほにゅうもうぐうていもく)やけどな。それより何、クモヒトデちゃん、わざわざ鹿児島県瀬戸内町の加計呂麻島からお世辞言いに来たんとちゃうやろ!?

さすが、ニホンカモシカちゃん、察しが早い!

ほら、あたし、体の色が黄色、白、黒で南国地方のキンハブに似てるからって、国内じゃ「キンハブトラノオクモヒトデ」って名前で売り出したんだけど、全然ぱっとしなくって...

ほんまやな。

ところが、海中で一人拗ねてたら、ツンツンって、つつかれたのよ! うっとうしいやっちゃなあ、思って無視してたんやけど、何とそのお方が学者さんで、しかも貴女、夜空のお星さまのように光ってるって、言ってくれたの!

鏡で自分の姿見てみたら、確かに緑色に光ってるの。世界的にみても数例しか知られていない珍しいタイプやねんて。

それで、あたしも、「誰がヒトデや」って、ポスター作ってん!   使うてもいい?

ついでに名前も変えようと思って。エストレージャ デ マル (estrella de mar)てスペイン語でヒトデのこと、そう言うねんて。 海の星っていう意味らしいわ。あたしにピッタリやと思わへん!?  なあ、ちょっと、さっきから何も反応無しで、どうしたん?  ちょっと牛の仲間のくせして、シカとしてる場合やないで!

モウっ!




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バナナ
なんと、ありがたいことでしょう。あなたの、優しいお心に感謝