秘密結社ドラゴンスネークヘッド
インド南部の地中深く、地下水の中で人知れず世界制覇を企む秘密結社が誕生した。
その名は「ドラゴンスネークヘッド」
最も近縁のライギョのグループから1億年以上前に枝分かれした。魚類で新しい組織が出来るのは非常に珍しい。
人類は、便宜上この新しい組織を「科」と呼んでいる。「科」とは、種、属の上に位置する分類上のカテゴリーの事である。
例えば、人類が属する「ヒト科」には、チンパンジー属、オラウータン属、ゴリラ属等がある。つまり、我々の組織は、人類と対等、いやそれ以上の存在なのだ。
私のコードネームは、ゴラムスネークヘッド、ロード オブザリングと言う映画にもなった物語に登場する地下深くで暮らすキャラクターにちなんだものだが、私が好きで選んだ訳ではない。
部下は、今のところ1人だけ。少数精鋭の組織である。ドラゴンスネークヘッドの最大の特徴は、我々には目があるということだ。
体が白く目を持たないものが多い地下の魚としてはこれは、珍しい事なのだ。お陰で危険な任務も難なくこなせると言うわけだ。
私は、既に部下のマハバリスネークヘッドに、重要なミッションを与えていた。優秀な彼は、その任務を無事遂行して、我々の世界制覇の野望はまた一歩前進したかにみえた。
しかし、ここに来て予想外の事態がおきた。オランダがん研究所が、我々が密かに人体に埋め込んだ「tubaial glans」を偶然発見したのだ。
こいつは、鼻腔と咽頭が繋がる部分にわからないように全人類に埋め込んだのだが、超音波や、CTスキャン、磁気共鳴断層撮影 (MRI)では見つけることは不可能なので安心していたが、前立腺ガンの移転を調べるPSMA PET CTという最先端のスキャン検査で発見されてしまった。
今のところ、人間どもは、これは、これまでの医学では知られていない臓器だと思っているようだが、そのうち、その機能に気がついてしまうかもしれない。計画の実行を急がねばならない。
既に、実験段階として、人類に「モテ期を引き寄せるスピリチュアルな行動」をしたくなる信号を全世界に発信した。
調査観察の結果、人類は
イメージチェンジを図る。
モテる友達と一緒に行動する。
恋愛のことばかり考えない。
自分の魅力に気付き理解する。
というような行動をとり始めた。その結果、本当にモテるようになったかどうかは、今後も調査を続ける必要があるが、これでまた、人類を意のままに操って、世界制覇を達成するという我々の大いなる野望にまた一歩近づいたと確信している。
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