悩みを持てない若者たち
新人研修にて
今週は2回、新入社員研修への登壇があった。
様々な会社から30人くらいの新人が集まり、4月に2日間社会人の心構えやビジネスマナーの研修をしたのち、3カ月間のそれぞれの職場での勤務を経て、7月に3日目研修を実施するのだ。
7月の研修では、実際に働きだしての学びや成長の振り返り、そして悩み相談を行っている。
この研修への登壇は今年で3年目。
例年、上司との人間関係、ハラスメント、仕事に向いていないと感じるなど、なかなか相談に乗りごたえのある悩みが共有されるのだが、今年は少し様子が違った。
感覚値ではあるが、半数以上の新人が「悩みはありません」であったり、「専門知識の習得が難しいです」であったり「悩みがなくて逆に今後他の会社で働くとなったときに不安」といったことを共有していた。
順調なのであればそれに越したことはないし、その流れに身を任されば良いと思うのだが、そういった新人の多くから私は「中だるみ感」を感じた。
きっと昨今の働き方改革やハラスメント防止の流れを受けて、上司や先輩が新人に求める業務の負荷を下げたり、厳しいフィードバックを避けたり、いうなれば過保護状態になっていることがこの状態の要因なのだと思う。
今はそれでよいかもしれないが、その新人たちが5年後、10年後に組織のリーダーになるうえで、このぬるま湯に浸かっている状態というのは非常に不安である(そもそもそこまで会社に残っている人間の方が稀な気もするが)。
もう1つの傾向
そしてもう1つ、傾向として感じたことがある。
4月時点で非常にやる気に満ち溢れ、自分の夢ややりたいこと(will)を強く持っていた新人ほど、深い悩みを持っているということだ。
悩みの種類は様々だが、「今やっている仕事が自分の将来につながるか不安」「チームの基準が低く物足りないと感じる」「上司が自分を理解してくれているように感じない」などだ。
こういった新人たちは、課題意識もある分、研修中も積極的に発言してくれていたし、研修後には個別に相談にも来てくれた。
今の会社で働く意味を必死に見つけようともがいている様子だったが、それが見つけられなかった時にはスッと別の会社に転職することも想像に難くない。こういった新人ほど会社にとっては財産のはずなのに、守れていない構図。
ちょっと前だと「相談できない」という悩みが多かったかと思う(もちろん今も一定数いる)が、今は「相談しても解決できない」「相談しても理解されない」、だから「相談したくない」と感じている新人も増えてきているのかなと。
色々考えたいことはあるが、私としては今回関わった新人たちが、自分らしく明るいキャリアを歩んでくれれば何よりである。