歌舞伎町の花屋でバイトしてた話
トー横がコマ劇前と呼ばれていた時代。歌舞伎町の花屋でバイトをしていた事がある。昼の12時から20時までのアルバイト。
花屋のアルバイトでも毎日そこにいるとなんだかなじんでくる歌舞伎町。
歌舞伎町の中の人になってみた経験はとても強烈だった。
尖がった靴を履いた店長
歌舞伎町の花屋の店長は、当時のホストの流行りの尖がった靴を履いていた。のちに、店長は元ホストでお酒は弱くて飲めず、ホストとしては売れなかった事から花屋の店長になったと聞いた。へまをしたとか借金とか他にも理由はありそうだけど怖いから見て見ぬふりをしよう。あと確かに容姿端麗ではなかった
店長はなかなか器用で、花束、フラワーアレンジメント、スタンド花、胡蝶蘭のラッピング。バラの花束の中に現金を織り交ぜるといったザ・歌舞伎町の花屋みたいな事を一通りこなしていた。
歌舞伎町花屋のバイトの仕事内容
アルバイトの仕事内容は箇条書きにするとほとんどが普通の花屋と変わらない。
水揚げ(入荷した生花の下処理)
生花のメンテナンス
商品制作
配達
集金
定期花の交換
シャンパンタワーの設置
その他雑用など
こんな感じで、シャンパンタワー以外は通常のお花屋さんと何ら変わらない。
配達先がキャバクラやホストなどの夜のお店が中心な事は簡単に想像ができると思う。有名な第六トーアビルにも配達に行った。ビルの入り口が華やかで綺麗で一際目立つビルだった。当時からいわくつきだったような気がするけど忘れた。
そんな配達先の中で、若く世間知らずな私の想像を超えた配達先がいくつかあったのでご紹介。
配達先
有名なや●ざマンションと雑居ビル
毎週2か所、お榊(おさかき)の配達をしていた。二件とも徒歩圏内。確かバイト2日目で早々に先輩に連れられて配達に行った。
マンションの前にはスーツを着た偉そうで怖そうなおじさんが5,6人・・・10人くらい??たむろしていた。すっごい怖い!!!!真昼間のマンションのエントランスに怖そうなおじさんが沢山。
聞くと、これから行く配達先はそういった組織の事務所だった。(歌舞伎町から去った後にYouTubeで見たらそこは通称ヤ⚫️⚫️マンションと呼ばれていた)
マンションの一室、事務所のインターホンを押す。
「お榊の配達に参りました〇〇(花屋の名前)です」ひげ坊主の先輩が言うと、おそらくドアスコープで確認をしてからドアがほんの10cmくらい開いた。隙間から、お榊と花の栄養剤の小袋が入ったビニール袋を渡し、代わりに500円玉をもらう。たったそれだけ。なのになぜこんなに緊張が走るのか。
店長から今後、一人で行ってもらうことになるから。と言われ、それ以降一人で配達に行くことになる。
もう一件も同じくそういった組織の事務所へのお届けがあって歌舞伎町ど真ん中の雑居ビルの中にあった。エレベーターが狭くて今にも壊れそうで不快だった。
しかし慣れとは怖いもので、初めこそビビっていたもののそのうち平気な顔をして配達をするようになる。
配達する人物がひげ坊主の男から若い女に変わった事からなのか、毎週行くことによって私の顔を認識したからなのか分からないけれど、受け渡しの時に開かれるドアが10cmちょっとから普通に開かれるようになった。
ちょっと金とってくるから待ってて。と、そのまま玄関先で待たされた事が一度だけあった。扉を開けっ放しにした事と外部の人間(私)を一人残した事でお金を取りに行った人は上司であろう人に叱られていた。
そこのマンションのエピソードとして、よく救急隊員の人と遭遇していた。
下りのエレベーターに乗っている時、エレベーターを待っていた救急隊員と叫んでいる女性に遭遇した。歌舞伎町に侵されていた事もあると思うけど、世間知らずすぎる私は一緒に乗るのかと思って「どうぞ~」とエレベーターの扉を開けて待っていた。救急隊員の人が苦笑いをしながら先に行って、のジェスチャーをした。
察しろ私。
もう一件の雑居ビルの事務所では、いつも同じ人が榊の受け取りをしていた。その時に言われたジョークが印象的だった。
「夏休みあんのか?」
あります!
「いいな~、おじさん365日休みないから羨ましいなあ!変わってくれよ〜!」…
爽やかな良い笑顔!!歯がない!
とりあえず、愛想笑いをしといたと思う。
セクシーな配達先
お誕生日や何かのお祝いで花束やフラワーアレンジメントを配達しに行くことがよくあった。配達先はキャバクラやスナックがメインだった。その中で、なんのサービスを提供しているか分からない配達先が二件ほどあった。
セクシーな店1件目
珍しく夕方ではなく真昼間の配達だった。行った先は明るく小綺麗な事務所風でソファーと机があった。そこから出てきた人物はセクシーな恰好をした女性とスーツを着た上司っぽい男性が一名。何かの事務所のように見えるけれど、花束を受け取って喜んでいた女性の恰好がセクシーすぎた。店に戻ると、珍しく店長がどんな感じだったかを聞いてきた。
上のように話すと、店長はなるほどね!みたいな感じで勝手に納得していた。私は未だに納得していない。何の会社、、、何商売をしていたのだろう。妄想は膨らむけれど実態はつかめず。
セクシーな店2件目
こちらも昼間に配達したと思う。雑居ビルの中のお店で、そこのお店は普通に入れるわけではなく、インターホンを押さないと入れないシステムだった。インターホンを押して花屋です。と名乗って出てきた店員に花を渡す。店員はなぜか少しだけ戸惑った様子で花を受け取る。開かれた扉から薄暗い店内が少しだけ見えた。
数人の男女の客とポールダンサーが踊る棒みないものが見えた。普通の飲み屋さんには見えなかった。なんなんだろうこの店は・・
配達を終え、店に戻ると店長がニヤニヤとしながら「ハプニングあった?」と聞いてきた。話を聞くとたった今、私が行った配達先はハプニングバーというお店だったらしい。その後、検索をしてハプニングバーがどういった所なのかを知る。
ハプニングあった?じゃねーよ!!と思った。完全なるセクハラだ。そして少しだけ戸惑っていた店員はきっと、私のことを客として見たのであろう。
おわりに
普段の生活でハプニングバーに行くという発想は私にはない。花の配達先でなければ今後一生行くことはなかったであろう。
組織の事務所にピンポンして尋ねる事もその時だけの経験で、今となっては歌舞伎町で有名なマンションとして紹介されているYouTubeの動画を見て、当時を懐かしむくらいだ。
花屋の配達という理由でアンダーグラウンドな場所を5メートルほど手間から垣間見るくらいには安全で?貴重な経験だったと思う。
歌舞伎町内では自分自身の選択は勿論、偶然起きた出来事も。歌舞伎町という町にいる時点で全てが自己責任なのではないかな。と思う
歓楽街 夜の歌舞伎町もいいけど、真昼間の歌舞伎町はもっとディープで歌舞伎町の住人の生活が垣間見れたのかもしれない。
ちなみに花屋のバイトを辞めた理由は、チンピラ(イケメン薬●中毒者)と関わってしまい、怖い思いをしそうな一歩手前で猛ダッシュで逃げた。という歌舞伎町ならオーソドックスな理由なのかもしれない。
歌舞伎町では飛ぶ人がおおいもんね!!
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