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パンダのこと

和歌山でまたパンダが生まれた。前回の彩浜と違ってすごく元気で、とにかく落ち着きがなくてかわいい。

私がパンダに注目するようになったのはいつからだろう。上野でシャンシャンが生まれた時かな。シャンシャンは2回見に行ったし、上野動物園の園長先生の講演会にも行った。和歌山にはまだ行けていないけれど、彩浜の成長は固唾を飲んで見守ったし、NHKのファミリーヒストリーも見て感動した、、とにかく普通の人よりはちょっとだけパンダに関心があるのだ。

パンダは不思議な動物。まず赤ちゃんの姿が面白い。大人になるとおにぎりみたいなのに、赤ちゃんは細長くて、全体に対して鼻と口の割合が大きくて違和感がある。ふわふわのちょっと縮れた毛に覆われていて、その下のピンク色の皮膚に動くとしわが寄る。耳だけは毛がなくてツルっとしている。竹のギザギザ(棒ささらというらしい)を棒でこすった時の音みたいにギーギー鳴く。泣くタイミングも人間の赤ちゃんみたい。

布にくるまれて体重計に乗せられると、布がもぞもぞ。保育器の中で眠っている時もどこかもぞもぞしていて、見ていると得も言われぬ愛しさが爆発する。何というか、ここに確かに命があるなあって感じ。すぐに消えちゃいそうな命。パンダを見ていると、まるで命の形が見えるようで、命を大切にしようという気持ちがはぐぐめるのでおすすめです。

大人のパンダはちょっとどんくさい感じになるのが好き。お母さんの良浜はすごく母性があって、赤ちゃんを大切に大切に育てているのが分かる。こちらも不思議で、スタッフたち人間との子育ての連携を自然とやっているように見える。良浜は、「檻の角の部分」をうまく利用して寄りかかり、赤ちゃんにおっぱいをあげている。赤ちゃんを預かる時、それまで溢れ出ていた母性からは考えられないほど簡単に、良浜ははちみつに夢中になってしまう笑。そして子育てに疲れた人間のお母さんと同じように、そのお皿を抱えたまま眠ってしまったりするのだ。案外、レスパイト的な感じで理解しているのかもしれないと思うと面白い。ちょっと預かってもらって休めたわ、みたいな。

パンダはどうして人間に生活を委ねるように…というかどうして人間がパンダの繁殖に関わるようになったのだろう。はじまりはきっと環境破壊による生息地の減少で絶滅が心配されたところからだろうけれど、パンダと人間の今の密接な関係の形はやっぱり不思議だ。良浜の母性は本能だと思う。本能で生きてる感じと、人間と調和している感じのバランスがどうも相容れなくて妙なのだ。

良浜のもとに返される時、赤ちゃんはまたも激しく泣く。すぐさま良浜は赤ちゃんをくわえて抱き、お母さんに戻る。そのちょっと前の良浜の様子はyoutubeには写っていないけれど、返ってくるのをうろうろして待っている感じもする。小さいピンクがお母さんの大きな身体の中でチラチラ動いている。そのたびにお母さんは赤ちゃんをなめたり、抱きなおしたりしている。涙が出るほど愛しい光景だ。

私は応募する予定の赤ちゃんの名前をもう決めている。

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