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何故世の中に【すれちがいシアター】の感想noteが無いんだ?

 468日

 これはpSSR【longing】大崎甘奈が実装されてから次周のpSSRが実装されるまでの経過である。実に長い。365日を超えたあたりから更新の度「次回pSSRはあまタソだから…フンッ」を繰り返した。違う。違う。違う。ひぐまどの【キン・コン】などのいくらか揺らぎはあったが彼女の顔がチラついて、ずっと銃口を額に向けられている気分だった。

 【すれちがいシアター】。ようやくの実装。本当に待った。階段を下りる2人の男女、男性が少女に何か語り掛けている。驚きながらもどこか思うところがあるのか、機敏な対応はするものの伏し目がちな少女。

……裕、またやったな?

 ここで1つ。前回のpSSR【longing】は要約すると"距離感"をテーマにした"憧れに対する誠実性"のようなお話だった。これは1人のアイドルとしての側面、そして1人の少女としての側面(所謂Pラブ)も絡ませるという万人に向けた内容だが、如何せん後者の火力が高すぎる。"かわいい""羨ましい"などの夢心地な文字が散見される内容ならまだ生ぬるいが、テーマとしての"誠実性"。彼女が求める関係にコレを問いかけると常識が牙を剥く。("ん?風向きがかわったな…"となるのでぜひ見てもらいたい)

【longing】大崎甘奈

 当時はコレについて深堀りをするなり補強する内容になると予想し、覚悟を固めた記憶がある。なお、【すれちがいシアター】の実装日は2023年6月10日。本記事の公開日は2024/2/1。そう、傷が癒えなかったのだ。正面からこの脆弱さと向き合うのに半年以上の月日が過ぎた…

 ※以下、【すれちがいシアター】の記録。
  基本描かれていることを淡々となぞる。多分。

各話記録

my daily life

 "大崎甘奈の日記"を基に進行する。これは前pSSRであるマイソングスコレクション【聞いてマイハート】内で語られた"日々の出来事を日記に残す習慣"に着目しており、今回もその延長線上であることを示唆されている。こちらのカードにおいては必須とまでは行かないが、より深みが増し空間が広がるので必須である。(?)

【聞いてマイハート】大崎甘奈

 今回の話ではその日記より、現在の甘奈から見た"日常"が語られる。

日記背景

 朝起き、合わせ鏡を前にお気に入りの服を着て身支度を済ませる。両親と今日の予定について他愛もない会話をし、そして家のドアを開ける。ここまでで彼女の善性すら感じる真面目さやどれだけの愛を受けて育ったかが簡潔に描写されている。また、身支度の描写から"今後の予定"が彼女にとって大切なひと時であることも窺える。
 向かう先は事務所。そこで待つ男・シャニPと仕事の予定について話すところで、以下の選択肢が発生する。

 この3択だが予め言うと等しく重要であり、ここを全周してるか否かで最終コミュの解像度が大きく変化するため全て紹介する。


①『打ち合わせ』
 雑誌のモデル依頼についての打ち合わせ。テーマは"秘めた心"。クライアントの希望によりテーマの表現について問われた甘奈だが、解として『1枚何かを重ねる』ことを提案する。

少し苦しくなってきた

 曰く、手紙やスマホを手に持ちそれを重ね着で隠すことで"伝いたい気持ちを見せない"というメッセージ性を残す主旨であると。打ち合わせ後、シャニPは提案について褒め言葉を零す。

 自分の好きを表現することや他者と何かを共有すること、延いては"仕事"を"ワクワクする時間"と日記にて評している。アンカーボルトソングで彼女個人の重りとなった課題が良い方向に進んでいることを感じ取れる。


②『レッスンだったな』
 ダンスレッスン後の一幕。ここで1つ気になったポイントがある。

 「上達した」と声をかけるシャニPに対し、あまりしっくり来ていない様子の彼女。具体的な意見を提示する彼だが、「公然猥褻男が言うなら、間違いないねっ!」と感謝を伝えるワンシーン。

 どうもまだ自身のことを分かり切っていない、他者の意見に寄りかかりがちな一面に見える。男の御世辞としてとらえることも出来るが、なんせ折り目正しいスーツを着ている彼だ。人格とやたら具体的な感想がノイズに感じる。(深読み勘違いオタクを押し潰し、単なる日常と捉えるのが広い)

 ここでは日記を通して、事務所での交流を"日常"と記し好んでいる。


③『撮影だ』
 こちらも中央選択肢同様、撮影後の描写。カメラマンが甘奈の仕事に誉め言葉を口にするが、それを自分のことのように嬉しがり愛でるシャニP。

急に笑い始める成人男性怖すぎ

 自身の頑張りを彼に褒めてもらえることを"ちょっとドキッとする時間"と感じており、そんな時間も好きと文字として記している。

少女漫画

 どの選択肢を踏んでも、他者との交流や仕事を通したやりがいについて描かれており、それが"彼女の毎日"であるとサブタイトルで呈している。また、共通項として"シャニP"が関連している。彼女の生活と密接な関係を築き、生活の中には居て当然の存在になってることが窺える。(これ中央選択肢違和感あったけど、ただ褒めてもらって幸せになってるだけなのでは…?)


ripples

 もう既にサブタイトルで警戒態勢。ripples→さざ波、名詞として捉えることもできるが、ripple+s→さざ波を立てる、三人称単数動詞として捉えることも。話の内容次第では、その世界において客観的に見た2人の関係が見れる可能性がある。彼らにさざ波が立ったのか、彼が彼女にさざ波を立てたのか、彼女が彼にさざ波を立てたのか。どれを取っても渦にしかならない、我々はただ荒波に飲まれ沈むしかない表題という印象。

 取引先との打ち合わせで外出しようとするシャニPの視点からのカット。事務所を出る間近で電話のベルが鳴り、打ち合わせのリスケを告げられる。もしかしたら1コミュ目の雑誌モデルの案件かもしれない。時間が空いてしまったため先のタスクを進めようと椅子に腰を降ろす。そこへ廊下を歩く足音にドアが開き、

ここホンマ好き

 驚きに目を見開く(ように感じる)甘奈。彼は彼女へ平然と挨拶をかける。そんな彼に対して『今の時間、打ち合わせじゃ…….』と…。
 確信犯である。
 彼女は事前に彼のスケジュールを確認し、彼のいない時間を狙い事務所へ向かっていた。なんなのだ。そんな疾しいことがあるならおじさんに一言相談してくれてもバチは当たらないと意見したい。今この職場に必要とされるのは283プロ相談窓口である。開設して私が彼女たちの悩みを聞こう。
 慌てる彼女にリスケになった旨説明するシャニP。また、先ほどから応答に戸惑いを見せる甘奈に心配するが、なんでもないと一蹴されレッスンへ飛び出していく。どこかG.R.A.D.前の彼女を感じてふと懐かしくなってしまった。誰なのだ。

 やはりどこか不安に感じる彼はレッスンのトレーナーさんへ変化はなかったかと尋ねるが、特段変わった様子はなく自分の気のせいかと落とし込む。こういった見えないところでの配慮のようなものに彼への憎たらしさすら感じてしまう。
 帰りの道中、レッスンの内容についてトレーナーさんが褒めていたことを伝えるが、ぎこちなさが見える甘奈に彼の中で違和感が確信めいたものに変わり選択肢が発生する。

 2コミュ目の選択肢については、おおよそ本質的な意味合いの変化は感じ取れないが、簡潔的且つわかりやすい右選択のみを紹介しようと思う。

 この問いに対して即座に否定する甘奈。でも、こうなってしまっている理由は"言えない"。(何故僕は痴話喧嘩を記録している?)  これは【お散歩サンライト】など要所要所で固めてきた"お互いを信用して支え合うこと"に反例しており、またトレーナーさんは異変に気づいていないことから彼の前以外ではいつも通りであったと推測される。彼だから言える話もあれば彼だから言えない話も存在していることを指しているようだ。ただ、彼の心配を少しでも払拭するように「今度ちゃんと伝えるから…ごめん…」とだけ言葉を残して去ってしまう。(エェ!!?ツタエチャウノ!!!???!?とおじさんボイスが出た。)


out of control

 制御不能。凄く新鮮な言葉だな。若者から発せられるこの単語に十分な魅力を感じてしまう。と書きながら今書いているコレと変わらない、この単語に泥を塗ってしまったことを謝罪したい。

 今回は彼女の執筆する日記の独白から展開される。

 "なんで心は思い通りにならないんだろう"
 "本当に嫌になる"
 苦しさでタイピングする手が1分ほど停止した。後に彼女は自身を"バカ"と詰る。辛い。推しが苦しんでいるのはやはり苦しい。吐き出さないと言葉が浮かばない。苦しみ横たわっているうちに学校での一幕に場面は移ろいだ。

 ご機嫌な友人1。理由を聞いても「別に?」と上機嫌にはぐらかす。友人2によると、隣のクラスの委員長と話せたからだと名推理が飛んでくる。驚く友人1、どうやら図星のようだ。曰く、彼と話している時は明らかに違う、らしい。ここで濃いのが1冊作れそうだ。推理について甘奈も意見を求められるが回答を濁す。気づかれていないと主張する友人1だが、友人2はそんなことはないと断固する。よく見ているな…。

この2人は甘奈がお仕事の時は2人でカラオケとか行ったりしているのかなぁ
知りたいよ、おしーえてーねっ

 なんか被弾している。
 自分に当てはまる節があったのだろう。突如不安に襲われる友人1と事故に巻き込まれた大崎妹さん。

 ここで回想が終わり、彼女の感情が溢れ出る。顔に出てしまうのではないかと自分で勝手に思い、気づかれぬよう悟られぬようにと勝手に意識して。その結果、話しづらくなってしまい2コミュ目の状態になってしまった、と。
 全てが自意識の中で完結してしまっていて、負のスパイラルとはこのことである。日記にも"勝手すぎる""嫌われたくたっておかしくない"と嫌気を零すが、それは彼女の掲げている幸せとは反していると気付き、消しゴムを手に取り擦る。謝り関係を元に戻そうとするが膨れ上がった感情を抑え込むことはもう出来ず、どうすればいいのか悩んでいる。(凄い。バレンタインコミュでも結構甘酸っぱいPラブしていたけど、ここまで膨れ上がっていると思わなかった。ごめんな、気づけなくて)

 そんな時に1通のチェインが入り手に取るとそれは件の彼であった。仕事について話があるそうだが彼女は二つ返事で了承してしまう。送ってしまったと後悔するもやはりどうすれば良いか変わらない彼女は、

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 甘奈とシャニPの間での"ズル"とは本心を隠す、無理をすることを指す。これは前述にある通り、G.R.A.D.などの共通コミュを始めとした【ゆらゆらアクアリウム】や【叶えて☆ゴールドフィッシュ】で積み上げてきた共通認識であり、彼女の物語においての重要な課題である。

【ゆらゆらアクアリウム】
【叶えて☆ゴールドフィッシュ】

 彼女はずっと無意識の我慢をしていた。これは他者に向けた温かみではなく、彼女自身を苦しさから守るため、ある種の防衛手段だ。今が幸せという想いとは裏腹に一人歩きをする"大崎甘奈"から溢れる不安に彼女は怯えていたのだ。そんな彼女に"無理をしなくても甘奈のことを見てくれる人は必ずいる"と寄り添うことで想いの蓋を外す。同様に彼が仕事で無理をすることがあれば"ゆっくり休んで欲しい"と寄り添う。そこに本当の意味での緊張や憩いが付加されることを学んのだ。(ここの一連は人間の営みとして大切なものだから是非見てほしい)

『突き放して(甘やかして)』-G.R.A.D.編

 この背景を踏まえての"ズル"はあまりに衝撃的で一度ブラウザを閉じた。

 場面が変わり、そこは事務所。チェインでのやり取りから仕事の話のために訪れたのだろうか。いつも通り挨拶をする2人。このシーンなんかは関係ないだろうが1コミュ目の選択肢前の描写を彷彿とさせられる。

このポーズ一番好き

 会話の切り出しは甘奈から。話題は当然の如く最近の彼女の態度に関して。いろいろ考えすぎて頭がいっぱいになってしまったと説明する。シャニPのリアクションからして彼女自身から切り出してくれるのを待っていたように見える。嫌な男だ。

 ここで選択肢が発生するが、どの選択肢を選んでも彼女はどこかで"ズル"をする。内容については極端に短く、前述からの流れを汲めば想像のつく会話のため割愛する。


difference

 とある会場へ訪れた2人。カード名やガシャ演出から汲み取れる通り、2人がやってきたのは映画の試写会会場だ。タイトルは『秘密の想い』。どんな内容なのか楽しみだという甘奈を最後にスクリーンが光を帯び始めた。

 映画の内容はおおよそ"恋をしている1人の少女が希望を胸に相手へ想いを伝えようとするが、臆病になり1歩を踏み出すことが出来ない"というどこかで見たことがあるような、切なさを感じる展開だった。

 スクリーンが光を弱め、感覚すら寄り戻すように場内の照明がふわりと柔らかく灯った。"いい映画だった"と隣に座っていたであろう彼の声が鼓膜を撫でる。彼女は気の抜けたような返事をすると、1人の男がやってきた。今回の試写会の招待主だ。「甘奈くんの感想を聞かせてもらいたい」と告げる男。多分この手の男はでっぷり太っている。アイドルを"くん呼び"する取引先はそうであってほしい。

"若さ"故の心情の繁栄を表しているか…"老い"故の心情の衰退を表しているのか…
ここはあまり良く分かっていない  理解出来たら追記する

 スクリーンを退出し外へ足を運ぶ甘奈とシャニP。彼は先ほどの招待主への回答に感心し、そこから映画に対しての感想会が始まる。甘奈はぽちゃおじへの回答の通り"共感"をしていたが、彼にとっては"応援"の気持ちが強かったようだ。どうやら物語のエンドロール間際に作品の男女は結ばれこそしないものの、お互いの気持ちが少し向き合っていたそうだ。彼にとってはそこが物語の肝であり、次回編への期待も籠るワンシーンであると感じ取ったのだ。

 この意見に対しての甘奈のレスポンスは、あのガシャ演出で表現される流れとなる。

壁に落ちる影もま~た良いエッセンス

 言い淀みながらも肯定をし、だが彼女は何かを悟っているような、そんな口調でこのシーンは幕を下ろす。

 正直イマイチ分かっていない。甘奈と取引先との会話が肝になるのか、甘奈とシャニPとの感想会が肝になるのか。どちらにせよ靄を感じるということは疑念が残るお話だったのだろう。


A answer

 フィルターのかかった満開の桜。煌々と線を引く日差し。鮮やかな色に深みを訴える影。甘奈とシャニPが観た映画の背景のもと、作品の少女のセリフには続きが甘奈の日記にて綴られている。

 作品の彼女は、"今が壊れること"を恐れている。我々から見た"器用貧乏で臆病な彼女"と同じであり、今が幸せだと声を大にして叫べる生活を送っているのだろう。

 シャニPはあの作品に"次回への期待"を募らせていた。それを成すためには"想いを伝える勇気"、"前に進む勇気"を持つことが鍵であり、それが彼の想う美しい物語であると唱えている。

 それは彼女も理解している。だが、それを応援することが出来ない。

 "みんながみんな強いわけではない"から。
 彼女の中でのこの作品は"応援"の対象にならず、自分と同じ立場にある彼女が抱える"共感"になると感じている。この意見に関しては、"共感"に対し客観的に目線を揃えた際、確かに甘奈と作品の人物には重なるものがいくつもあるのだ。
 ただ、主観となれば大きな違いがあることに彼女は気づいている。

 彼女は私が想定していない規模の意見を持っていた。

 彼女は生きている。朝起きて、両親と会話し、家を出る。日中は社会の一部として仕事に励み、1日の終わりには日記を書き、その日を振り返りまた次の朝日に向かって目を閉じる。
 
作品世界の厳しさと優しさを現実世界に寄せるセリフをキャラクターに発言させること(このコンテンツの十八番?)は、今の時代そんなに珍しいことではないと感じる。
 しかし、彼女は"架空の人物"へ至極主観的且つ一方通行な感情を抱き、"架空の人物"が"架空の世界の架空の人物"との間に"世界の壁"を見出したのだ。我々二次元コンテンツのオタクとやってること自体は変わらない、もはや意思を持った個人として一人歩きをしている。(ここまでこっち側に立つのか…の顔)

 それを踏まえた上で自身の営みについて振り返り、大切故に怯える。

1コミュ目左選択肢
1コミュ目中央選択肢
1コミュ目右選択肢
背景がズル
クラッシュ音SE

 ここで1コミュ目の選択肢を回収してくるが凄く良かった。(コミュを読むときは全て解放した後にアルバムから選択肢を全周して読む派です)  この1日1日が彼女の中では写真立てに入れ飾りたいくらい、等しく輝かしい思い出であることに彼女らしさを感じて。だからこその"恐れ"には胸が苦しくなった。

 結局のところ、彼女は"前に進む勇気"という鍵を持ち合わせていなかった。そして、気持ちを"今は休ませる"ことにし、彼とのことは今のままを続けたいと願い、別の幸せを望んだ。

 『G.R.A.D.は?好きの満ち欠けはどこいったの???』という人もいるだろう。ただ、いつ無くなるか分からない脆く弱い幸せに縋り付いていた1人の少女が、自身が栄養として取り入れる幸せの形や色を選択し望み始めたのだ。僕はこの行いをポジティブに捉えたい。当然ネガティブユーザーが大半を占めているのはXでサーチ済みであるため、これは私欲100%の"願望"や"祈り"の類のものだ。
 それに彼女は『今は休ませる』と言っている。映画を観たシャニPが"次回作では前に進む勇気を持ってほしい"と願うように、今はまだ持ち合わせない鍵を手にするよう祈りたい。

 この決断の後、彼女は1人笑みを浮かべ頷く。その奥は晴れやかなものであってほしいと願う。彼女もそうだが我々観測側も含めて、今まで頑張りすぎていたように感じる節がある。少しくらい愛に休息を与えようじゃないか。きっと彼女の人生なら、輝かしいものであるに違いない。

心に寄り添いたい


 後日、埃の香りがするBGM(某識別番号#106)と共に事務所を訪れる甘奈。

晴れやかな挨拶
罪な男
『彼女の毎日』
笑顔

 甘奈のpSSRのサブタイトルにはアルファベットの大文字がよく使用され、『A』は単数の意として用いられるだけでなく『Amana』と捉えられることが数件ある。しかし、今回の内容を汲み取る限りでは"選択"という行動も考慮したくなる。当方"都合の良いオタク"、トゥルーエンドのサブタイトルは『甘奈の答え』とも『1つの答え』ともとれるダブルミーニングであると妄想ことにしたところで、本コミュの記録を閉じることにする。

感情

 【ナイショのスイーツ】やG.R.A.D.あたりから確実に駆け引きをしてきた話だが、1つの折り目がついたお話であり、重要コミュと称してもいいだろう。1コミュ目の善性に満ちた生活を送る描写在りきで、それでもなお、現実世界の影を強調する。そんな世界で生身の少女が自分で道を選択する。吹き抜ける風の中少しの切なさが香るような複雑な感情だ。
 カードタイトルの【すれちがいシアター】も、①甘奈とシャニP  ②甘奈と作品の少女  ③甘奈自身の向き合い方etc…とすれちがう対象を置き換えることで様々な解釈をすることが出来る。個人的には③推し。

 また、彼女のお話において確実に需要がある"Pラブ"。賛否は分かれるジャンルではあるが、描写の性質上ネガティブトークになりやすいように感じる。世間認知的にも『双子の妹の方、Pラブ筆頭、曇らせ』ってのが現在のインターネットにおいてベーシックな環境だと見受けられ、正直なところ甘奈推しの人間からすれば『まぁ!?!そこも良いが!!?もっとあるぞ!!!?』と発言したくなるだろう。ただ、これに関してはどの子にも当て嵌まる悩みの種だとも落とし込むことも出来るし、愛の証明であると同時に発言の免罪符として生きているのが現状。心の奥底に果物ナイフでも針でも携えるのが賢明。頭の悪い世界観だな。

 長くなってしまったが本コミュの総評として、今に満足し漠然とした願望しか持ち合わせなかった少女が自らが求める未来を考え、自分自身で行く先を選択した少女へ昇華したお話と砕いた。
 選択するものがアイドルの軸だろうが、はたまたPラブの軸だろうが彼女の人生の一部である限りは、大切なひと時であり大きな転換点だ。彼女自身が真剣に悩み、自分自身と向き合った結果の選択であればそれが輝かしい解としか僕は思わないし、彼女にとっての"写真立て"となる毎日を送ることには違いない。今後、彼女自身が選んだシアターの幕を上げる機会を楽しみにしたい。
 そう思わせてくれるのも、ライターの手腕やコンテンツが掲げているであろう思想があるからで、感謝を伝えたいと深く感じている。

この一言がある限り、この世界に酸素は満ちている
(『アマイ永遠』-sSSR【ever-】大崎甘奈)