カラバオカップ準決勝1stレグ 感想
トッテナムにとって、小さくない勝利だ。
普段旅行記を書いている私だが、小中そして大学のサークルではサッカーに熱中した。
もちろん観るのも好きだ。特にイングランドプレミアリーグ。強豪チームの多さ故にビッグマッチが頻繁にあるところ、観客のリアクションがオーバーなところ(笑)がたまらなく好きだ。
推しチームはトッテナム。トッテナム所属のソンフンミン選手が好きで、選手個人およびチームを応援している。昨夏は東京とロンドンで試合を観た。
ソンフンミンはアジア最高傑作の呼び声高いプレイヤーだ。アジア人初のプレミアリーグ得点王に輝いた、誰もが認めるスーパースターである。
フィジカル面で劣るアジア人が、サッカーという競技で活躍した例はあまりない。アジア人によるプレミアリーグ得点王は、空前絶後だと私は思う。
そんな輝かしい個人成績を持つソンフンミンでも、チームのリーグ戦・カップ戦(トーナメント戦)で優勝したことがない。トッテナムというチームも十分強豪と言えるが、それ以上のチームが大きく立ちはだかってきた。
準優勝の経験はこれまで2回ある。いずれもあと一歩のところで敗れ、悔し涙を流した。時間の問題と思えるかもしれないが、現実はそう甘くない。ソンフンミンはチームとの契約が今シーズンを含めて残り2年。残されたチャンスは数少ないのである。
その状況下、今年はカラバオカップという大会でトッテナムは数々の強豪を打ち破り、セミファイナリストに名を連ねた。他の3チームは、世界最強と言っても過言では無いリバプール、宿敵アーセナル、そして新鋭ニューカッスル・ユナイテッド。
準決勝はホーム・アンド・アウェーの2試合合計点で突破を決める。組み合わせは
トッテナム - リバプール
アーセナル - ニューカッスル
リバプールは以前トッテナムに勝って優勝した、因縁の相手だ。正直最悪だ。1発勝負でリバプールならまだしも、2度も戦わなければいけないのである。それに、リバプールのホームグラウンドは要塞と呼ばれ、アウェーチームの勝率はとことん低い。
迎えたホームでの1戦。リバプールの猛攻がトッテナムのゴールを襲う。トッテナムの守備陣は怪我人が多発し、もはや急造。若いメンバーが多用され、百戦錬磨の攻撃陣と果敢に対峙した。いつ失点してもおかしくない、そう思えるくらいリバプールの攻撃は鋭く、重く、激しかった。
一方のトッテナムの攻撃陣は、カウンターや相手のミスをきっかけにチャンスを伺った。一度はゴールに入ったもののオフサイドの判定や、惜しくも入らなかったものもあった。力の差は見えるものの、トッテナムは引かずに立ち向かった。
86分。
遂に待望の瞬間が訪れた。FWが一瞬の隙を付き、相手のゴール近くでボールを持つと、走ってきた味方にパス。その味方はなんと18歳の青年。年齢にそぐわない冷静さで、ゴールを決めた。
そのまま1-0で試合終了。次のアウェー戦のことを考えると勝っておきたかった1戦であった。
この勝利は、相手の攻撃陣に最後まで勇敢に立ち向かった守備陣の奮闘あってのことである。世界最強の攻撃を防ぎ抜いた彼らに最大限の賛辞を送りたい。
さて、次のアウェー戦。レギュラーの守備メンバーが2人復帰する見込みである。相手が攻撃にストロングポイントをもつチームであることを考えると、これは朗報である。
しかし、懸念材料もある。それはソンフンミン自身のコンディション問題。長年みてきて思ったこととして、最近は簡単なミスが多く見られ、どこか自信を失っている様子がある。次戦で点を取られることを考慮すると、その分取り返さねばならず、そこにはソンフンミンの力が間違いなく不可欠になってくる。次の試合まで1ヶ月。まだ時間はある。他の試合でなんとかきっかけを掴んでほしい。
どんなにソンフンミンが不調に陥ろうとも、私は彼に期待せざるを得ない。得点王を取ったシーズン、最後の数試合で得点を荒稼ぎした。私自身も彼が得点王を取れるとは、正直思っていなかった。ほぼ不可能を可能にしてきた彼なら、必ずやトップフォームを取り戻し、リバプールに悪夢を見せるに違いない。
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