上の世界
彼女はこの家を出たいと言った。
外の世界が見たいのだと。
私たちはそれを止め
この家の何が不満なのかを尋ねた
ものすごく広い家に
綺麗で神秘的な庭もある
友人も多く
食べるものにも困らない
それなのに何が不満なのかと。
彼女は笑顔で答えた
〝見上げるのはもう飽きたの〟
水面下の波模様が揺らいだ
波間からは朝日が差し込み
彼女の背中だけを映していた
彼女はこの家を出たいと言った。
外の世界が見たいのだと。
私たちはそれを止め
この家の何が不満なのかを尋ねた
ものすごく広い家に
綺麗で神秘的な庭もある
友人も多く
食べるものにも困らない
それなのに何が不満なのかと。
彼女は笑顔で答えた
〝見上げるのはもう飽きたの〟
水面下の波模様が揺らいだ
波間からは朝日が差し込み
彼女の背中だけを映していた