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水中分娩・ウォーターバースをレポートします:アフリカで命を授かる⑥
11月4日、我が家にベビーがやってきました。
母子ともに健康で、振り返れば経過も順調。リスクの低いお産ということで、助産院で水中分娩に挑戦することにしました。
妊娠やお産、子育てには正解がない
妊娠やお産、子育てには正解がない、と言葉にすると「当たり前じゃん」と思われるかもしれない。そう思っている人も多いと思うけれど、実際にそれを踏まえて行動することは難しいと感じています。
私自身、「子どもができたらこうしなければいけない」という固定概念を持っていなかったというと嘘になるし、ネットや知人から聞く話は、「いかに妊娠やお産、子育ては大変か」という話ばかりで、「大変じゃないといけないのかも・・・」と無意識に思っていたところもあります。
ただ、このアフリカの地で逞しく生きている女性たちを見ていると、「もっとポジティブに捉えてもいいのかもしれない」と思うようになりました。
インスタグラムを見ると、さまざまな情報があるけれど、中には誤ったものも多く、ドゥーラや助産師さんに確認しながら進めた準備。
「お産に関して、怖い情報も多いけど、自分とベビーを信じることが大事。ポジティブなお産の情報を発信しているアカウントがあるよ」と教えてくれた、パートナーの同級生。
妊娠中期で出張したルワンダのローカルマーケットで、妊娠中にも関わらずパワフルに仕事をする女性たち。「あんたも妊婦なのね!私もだよ!」と言って、(コロナ禍も含めて何度も行ったけども、これまでで一番)優しくしてくれました。
当然、この大陸には日本以上に、必要なケアにアクセスできない人も多く、お産のようなライフイベントで悲しいことも起こります。望まぬ妊娠も多いのが事実。それでも、一つ一つ、小さな幸せを祝福する人々に勇気づけられました。
「あなたのお産はきっとスムーズよ」
私を担当してくれた助産師さんは、複数の国で働いたことがあり、お孫さんがいる年齢のベテラン。そんな彼女も、経過を見てくれたOBGYNも、口を揃えて「きっとあなたのお産はスムーズよ」というのです。
(そうじゃなかった時にガッカリさせたくないけど!とも言ってましたが笑)
ヨガのおかげか骨盤がいい感じに開いているのと、ベビーの頭も早いうちから下に降りてきていたので、予定日よりも早く来るかもしれない、とも言われていました。
なので38週くらいから、今かいまか!と思っていたのですが、40週フルタームが終わってもまだ陣痛は来ません。
40週のタイミングで助産師さんと会い、内心で刺激をしてもらい、ひまり油を使った自然由来の陣痛促進方法について教えてくれました。
(そのタイミングですでに子宮口が3センチほど開いていたので、彼女の経験上、このタイミングでひまり油のドリンクを飲んだらその日のうちにお産が来るだろう、ということで飲んだら連絡してね、と言われました。)
「翌々日、何もなかったらひまり油ドリンクを飲もう」とパートナーと話し合ったのですが、その検診の翌日の夜。なんだか腰が痛いな、規則的に痛い気がするな?と変化があったのです。
夜全く寝れないほどではないけれど、安眠できないくらいの痛み。
早朝痛みを測ってみると、規則的に。痛みレベル的には、全然我慢できるくらい。
ドゥーラと助産師に連絡して、逐次報告。だんたん感覚が短くなってきたけれど、痛み的には深く呼吸すれば問題ないレベルなので、こんなレベルで助産院に行っていいのかしら?と思うくらいだったけれど、10時半くらいに家を出て、11時には産院の個室へ。
最初は血圧など色々チェックした後、気がつけば痛みがどんどん強く。初産なので感覚が全然わからなかったけれど、「子宮口は8センチ開いているよ」とのこと。
いろいろチェックされている間に、張り切っているパートナーは、キャンドルやお香、音楽などテキパキと準備してくれていました。
元々低血圧体質だったので、その日も血圧が低く、何か食べるようにとの指示があり、持ってきたソルト・チョコレートを口にしてしばらくしたら数値が安定。
いよいよお産が始まります。
しかし、その時にはどんどん痛みが強く、バスタブに入る前にシャワーを浴びることもできたのですが、それもできないくらいになっていました。
痛みの流れに乗って、ひたすら腰にお湯をかけてもらいながら、バスタブの中でさまざまな体制を試してみる・・・。
パートナーは頑張ってサポートしているのはわかるけど、「そうじゃない!」と思うことも多く、その際はドゥーラが「こうやってサポートしてあげるといいよ」とパートナーに助言したり、直接マッサージしてくれるとだいぶ落ち着きました。(やっぱり、プロは全然違う)おそらく初めてお産のサポートをするパートナーにとっても、彼女の存在は大きかったと思います。
まじで痛みが強くなっていった時、波が弱まった時に「これ、一体いつまで続くの?いついきめばいいの?」と助産師に聞いたところ「準備は整っているから、あなたのタイミングでいきんでいいよ」とのこと。
そう言われると、そこまで痛いのかどうかわからなくなっていたし、一体どのくらいいきめばベビーが出てくるか、全然想像がつかなったけど「じゃあ、今からイキみたい!」と伝えて、周りのサポートの中、いよいよプッシュする時に。
そして、11時に産院について2時間半後、13時半ごろ。
元気なベビーが生まれました。
少し会陰が切れたものの、そこまで深くなく、縫ってもらった後は、ご飯やらベビーへの授乳やら、瞬く間に過ぎていく・・・
少しした頃に、ランチが運ばれてきたけれど、疲労でどうしても食べ切ることができず。
ベビーも、臍の緒をとって、ワクチンをして、体重を測って・・・テキパキと済ました後は、疲れたのか、すやすやと眠っていました。
新しい世界へ
と、いうことで。
取り止めもなく、忘備録も兼ねて書いて行きましたが、こんな形で新たなライフステージに入りました。
この世に生まれた新しい命との生活。もうそれより前の世界には戻れません。
考えてみると、子どもだけでなく、人生とはそういうもの。
前に進んで、戻れない。
(本当は出産前に博論のプロポーザルを出したかったけど、出せなかった。それはそれで仕方ないと、前を向くのです)
この新しい命と共に、新しい視点で世界を体験するのを楽しみに。