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Dylan Rupe - コロラド・ダークアンビエント

2021年の1月・2月にbandcampのダンジョンシンセ売り上げランキングで上位にいたHideous Gomphidiusというアーティストと、同じくDS界隈で昨年評価の高かったFogweaverは、いずれもコロラドのDylan Rupeによるプロジェクトである。またさらに言えば、その2つ以外にも様々な名義で作品を発表している。

ということを最近知ったので、名義ごとに1作ずつ、近年の作品から遡る形でメモ的にまとめておく。
(各画像をタップすると作品ページに飛びます)


[solo]

Fogweaver - Spellwind (2020)
アースシー(ゲド戦記の原題)世界のダンジョンシンセというコンセプト。ゆったりしたメロディがあったり波や風のSEも多用されるなど、音的にもファンタジー色が強い。4曲目では原作者ル・グウィンの言葉を朗読している。



Hideous Gomphidius - Keepers of the Fungal Order (2021)
キノコモチーフのダンジョンシンセ。ジャケと音から察するに、妖しい魔女に毒キノコを使った催眠ガスを撒かれて意識が朦朧としている状態、みたいなイメージ。ダークメルヘンのサウンドトラック的作品。



Snowspire - Solace Among the Spruce, Sorrow Among the Snow (2020)
ダンジョンシンセの数あるサブジャンルの中でも人気のあるwinter synthもの。名前の通り冬モチーフです。そういったテーマありきなところがダンジョンシンセ(およびそのサブジャンル)の特殊性と言える。



Evergreen Refuge - Of Spirit, Of Earth (2020)
森の木々や夜空といった自然やオーガニックなイメージをテーマにしたアンビエントプロジェクト。上記の3作はダンジョンシンセに寄せた作品だが、ここではよりストレートなアンビエント的導入から徐々にスラッジなブラックメタルテイストへ移行する長尺曲になっている。



Delmak-O - Cerulean Tomb (2020)
環境が破壊されたディストピア世界をモチーフにしたエレクトロニックアンビエント/コズミックシンセ。bandcampの解説文にあるいくつかの文章はおそらく、荒廃した世界に残された誰かが書いた手記の断片のようなものをイメージしていると思われる。



Oneiromancer - Liminality (2020)
呪術的・儀式的サウンドスケープをテーマとするritual ambient作品。ブラックメタル影響下のダークアンビエントからスタートしたDylan Rupeのメイン名義の一つ。



Tunica Externa - Crystalline Dreamscape (2018)
睡眠・瞑想をテーマとした作品。このプロジェクトではギター+エフェクト、時にフィールドレコーディングも用いたアンビエント/ドローンを中心にリリースしている。



Cuscuta - Ruin (2017)
1人ブラックメタル/ドゥームプロジェクト。彼の地元にはメタル好きがあまり多くおらず、リスナー同士が親しくなりやすかったらしい。そうした環境が下記ユニットやレーベルに繋がる。



Dylan Rupe - Oneiria I​-​IV (2014)
本名でのおそらく初期音源で、四部作だったものをひとまとめにしたトータル3時間超の作品。ブラックメタル・ダークアンビエント・エクスペリメンタルといったDylan Rupeの構成要素が詰め込まれている。



[unit/band]

Zakarion - The Seas Swell and the Sky Darkens (2019)
同郷のアーティストThrallとのユニットで、本作は過去にコンピレーションに提供したトラックをまとめたもの。ここでの作曲はThrallが主導しているらしい。
ブラックメタルやダンジョンシンセのアーティストがしばしばそうであるように、この2人の根底にも現代社会への不満と、その裏返しとして自然や幻想的な物語といった現代文明外への憧憬がある模様。



Bull of Apis Bull of Bronze - Offerings of Flesh and Gold (2019)
Thrallがボーカル・シンセ、Dylan Rupeがギター・ベースを(変名で)担当するブラックメタルバンドの長尺3トラック。ドラマーのYaethことJon Lervoldも同じくコロラドで、Yaeth名義や、Grim Christmasというクリスマス曲をブラックメタルカバーする1人プロジェクトでもリリースしている。



Arête - Hymnal (2018)
Dylan Rupeがギター・ベースを務めるブラックメタルバンド。ここでも他メンバーは個々に別プロジェクトでリリースしているが、バンドがまずあってそこからソロリリースではなく、ソロで活動してるアーティストが繋がったバンドだと思われる。



POSTNIHILIST - Postnihilist (2020)
コロラドのDoom系バンドにもbassで参加している。地元力強し。


[label]

A Moment of Clarity Recordings
コロラド州デュランゴという街にあるフォートルイス大学のカレッジラジオで、各々番組を持っていたDylan RupeとCooper Stapleton (上記Thrall) が出会いスタートしたレーベル。設立の経緯はbandcamp dailyの記事に詳しい(10時間かけて2人でSun O)))を見に行ったことで仲が深まったといういい話も)。
それぞれの単独作やコラボ作品をリリースしている。



Fableglade Records
Dylan Rupeが運営するダンジョンシンセをメインとしたカセットレーベル。こちらは自身以外のアーティスト作品もリリースしている。


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