鑑賞レポート:監物沙羅さんの作品を鑑賞して

 先日、京都市左京区の「ギャラリー 恵風」での個展「現身 -utushimi-」と、京都府宇治市の黄檗山萬福寺 Artist in-residence「香福廊KOFUKURO」で、画家の監物沙羅さんの作品を鑑賞した。
 Artist in-residenceとは、「国内外のアーティストさんを招へいし、施設滞在中の制作活動及び、滞在後の作品の販売のサポートなどを行うプログラム」(香福廊HPより)である。特に香福廊は萬福寺内にあることから、寺院特有の雰囲気や数多くの仏像、僧侶の方々による朝夕のお勤めなどから、日常生活ではあまりない刺激を得られるとのことである。

 私が鑑賞した監物さんの作品は、黒や暗緑、濃い朱色など、暗めの色を使い、輪郭がぼんやりとした作品が多かった。しかし、冷たい黒ではなく、黒、或いは闇の中に、人を拒否しない温かさを感じた。
 作品をTwitterやInstagramで公開なさっているので、ぜひそちらをご覧いただければと思う。
Twitter: @sarasara8585s
Instagram: @sarakenmotsu
DART 3D GALLERY(作品の購入が可能です)
https://buy.d-art.life/collections/sara-kenmotsu

 私は、監物さんの作品を見て、非常に心が落ち着いていった。作品から静かな空間、あるいは雰囲気が展開されて、自分がその中で安心するのを感じた。
 この感情の原因を考えてみると、私は作品から「やさしさ」と「不干渉」を感じ取っていたのではないかと思う。
 ここでいう「やさしさ」は、「誰かがそばにいて、静かに見守ってくれている。受け入れてくれている。独りぼっちではない」というようなやさしさである。先述のように萬福寺内で制作されていたので、私は仏像を描いた作品をいくつか鑑賞した。監物さんの描く仏像は、目がやさしいと思う。自分を受け入れてくれるような、そんな感覚を覚えた。アート御朱印(アーティストによるイラストを添えた御朱印)を授与していただいたが、そこに描かれていた羅怙羅尊者(らごらそんじゃ)の目は非常にやさしい。自室の壁に飾っているが、つらい時に心を落ち着けることができている。
 「不干渉」については、「見守っていつつも、私に干渉してこない。何かを押し付けてこない。ただ静かに見守っていてくれる」というものである。決して何かを押し付けてくるのではなく、かといって無関心ではなく、程よい距離感で静かに傍にいてくれる。作品からそんな印象を受けた。

 私事だが、ここ数か月強いストレスを感じる場面が多々あった。そんな時、監物さんの作品を鑑賞して、心を落ち着け、回復することができたと感じている。個人的には、心理的に疲れた人、落ち着ける時間を持ちたい人に、特に鑑賞をお勧めしたいと思う。

2022/07/21(木)
竹定規(@bamboojougi)

<アーティストやギャラリー等の情報>

監物 紗羅(KENMOTSU Sara)
画家
京都市立芸術大学修士課程修了
Twitter: @sarasara8585s
Instagram: @sarakenmotsu
DART 3D GALLERY:https://buy.d-art.life/collections/sara-kenmotsu

個展「現身 -utushimi-」
開催期間:2022/03/01(火)~2022/03/06(日)
場所:ギャラリー 恵風(京都市左京区)
HP:http://g-keifu.com/1f_kenmotsusara_202203/
恵風HP:http://g-keifu.com/

Artist in-residence「香福廊KOFUKURO」
場所:黄檗山 萬福寺内(京都府宇治市)
HP:https://kofukuro.studio.site/

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