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【オリジナル小説】俺の名は。4話

3話はこちら

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https://note.com/bamboochan/n/n515a2b7e020f



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以下本編



次の日、俺は思いついたある作戦を伝えようと家に里中を呼び出した。

里中がすぐにやってくる。
「昨日の報道の件が週刊誌として発売されて、こっちは対応で忙しいんですから〜」
そう文句を言いながらも呼んだらすぐ来てくれた。可愛いやつだ。


「で?何なんですか?話っていうのは」

俺は、こうつぶやいた。

「こないだライブやっただろ?こうお金払って俺のライブに来てくれる人には
もっとちゃんとお礼をしたいっていうか、その握手会みたいなのをやろうかと。」

里中は驚いた顔をしながらも嬉しそうにこう言った。
「やっとやって頂ける気になりましたか!!前からレコード会社からはCDをもっと売りたいからと
イベントの開催をお願いされてたんですよ!!」

「こうしちゃいられない。すぐに会社に帰って企画書を上げてきます!!」
そう言って里中はすぐに出ていった。


とりあえず、うまくいった。
前回のライブで嫁の方から会いに来るのは問題ないのが分かった。

あの熱狂ぶりをみると
嫁はヨシタクの相当なファンだ。

正直、結婚して同じ家に住んでた時はそんなこと知らなかったのだが
ちょくちょく嫁は出かけにいって夜が遅いこと、泊まりで旅行に行くこともあった。
浮気してるのかなと思った事もあった。


あまり前のことは覚えていないが、
嫁がいない日は決まって、出前を頼んでいた。
自分で出前を頼んだ日をカード明細から知らべて
ヨシタクのスケジュールと照らし合わせてみた。

その結果、嫁がどこかに出かけている日は
ヨシタクのツアー日程とがっちり一致した。

とりあえず、浮気しているかもという不安もなくなった。
そして、それだけのファンであれば
俺が握手会をやるってなれば、全国どこだって来るだろう。


しかし、あまりにも人数が多いと握手会をやっても一瞬しか話せない。
俺は里中にある条件を出した。

・CDを買った人の中から抽選100名限定にすること。
・そして、俺の昔からの知り合いだと嘘をついて嫁の申し込みがあったら絶対当選にすること。


それを呑んでくれれば俺は握手会をやると。


結果は分かっていた。
CDが売れないこの不況。事務所もレコード会社も確実にOKを出す。


しばらくすると里中から電話があり、開催が決定した。

俺は、当日嫁とどんな事を話すのかをひたすら考えていた。


正直、このまま戻れないかもしれない。
けど、できることならまた家族3人で仲良くすごしたい。


俺はヨシタクになりたいという夢を叶えた。
しかし、ヨシタクはヨシタクで俳優という世界ですごい努力をしているし
俳優として活躍することがどれだけ大変なのかということも分かった。

それから握手会の開催される1ヶ月後までの間
俺は外に出るのは仕事に行く時だけにして基本的に家に引きこもった。


めるも週刊誌を気にしてかしばらくは会いに行けないとのこと。


俺はひたすら電流がどのレベルの事を聞くと発動するのかを
慎重に確認しながら、話す内容をまとめていた。


一日オフだったある平日。
俺は調査のために色んな事を実行しようと動いてみた。


LINEから女優に片っ端からデートの誘いをしてみたり
風俗やデリヘルにも電話をした。
また、サラリーマンだった俺の友達や昔のバイト先なんかにも電話をしてみた。


どれもやはり本当の事を話そうとすると電流が流れたが
会話はある程度することができた。
もちろんヨシタクとは名乗らず営業の電話のフリや
一般人のフリをした。

そして、今日実行したい事の最後の項目にたどり着いた。


それは、俺の中に入っているヨシタクと話すこと。


俺は、商品を紹介したい営業マンのフリをして会社に電話をかけた。

「はい、こちらマル吉カンパニー営業部です。」
業務の女性が電話に出た。
この声はさやかちゃんだろう。

俺は
「私、青山電気の吉岡と申します。以前展示会で名刺交換をさせて頂いた
早乙女さん宛にお電話したのですが。」


そうつぶやくと
「少々お待ち下さい」と電話は保留になった。


とりあえず、ここまでは順調だ。
ただ、恐らく向こうにいる俺の姿をしたヨシタクが電話に出ようとすると
俺かもしくは向こうに電流が流れるだろう。


30秒くらいした後、保留音が切れて電話が繋がった。


「はい、お電話変わりました。早乙女です。」


何と普通に繋がってしまった。この声、間違いなく俺だ。
俺は予想外の展開に戸惑ったもののこのチャンスを無駄にしたくないと

電話を続けた。

「あ、早乙女さん。先日はどうもありがとうございました。
展示会で名刺交換した吉岡です。」


俺はあえて、ヨシタクである俺がかけていることを気づいてほしくて
吉岡という名前で電話をしている。
頼む、ヨシタク気づいてくれ。。。


「吉岡さんですか〜ご無沙汰してます。元気にしてますか?」


これは俺がかけていることに気づいているのか?
それとも、俺の記憶がないから会ったこともない人だけど話をあわせているだけか?

俺はどっちか分からなかった。


俺の回答を待たずに、ヨシタクは続けて話をしてきた。


「こっちは最近電気マッサージのやりすぎで逆に体が痛いですよ〜」


俺はこの発言でヨシタクは電話の相手が俺だと気づいていることを認識した。

いきなり電気マッサージの話はどう考えてもおかしい。
これは絶対、スマートウォッチのことだ。


俺は、答えた。

「早乙女さんもですか?私も電気マッサージやってますよ。
ちなみにどのくらいやってるんですか?」


ヨシタクは答える

「そうですね〜ここ数日でもう20回くらいはやってますね〜」


あいつもう20回も食らっているのか。
俺でもまだ13回程度なのに。
初めてヨシタクに勝ったような気がした。


俺はさらに続けた。
「それはやりすぎですね。私でも12回くらいですよ。
そういえば、早乙女さんはご家族がいらっしゃいましたよね?皆元気ですか?」


するとヨシタクは
「元気ですよ!!いつも家族3人で夜ご飯も食べてますしね!」と。
続けて
「吉岡さんも彼女いましたよね?気をつけたほうが良いですよ〜」

俺はあぁ週刊誌のことかと思って「大変ですよ、ほんとに。気をつけます」と返した。


そして、ヨシタクは俺と同じで元の生活に戻る気があるかを確認したかったため
聞いてみた。

「早乙女さんはどうです?これまでの生活に戻りたいですか??」


「そうですね。戻れるのであれば戻りたいです。」


そのヨシタクからの言葉が聞けた瞬間。突然電話が切れた。
そして、もう一度かけようと思った瞬間、全身に電流が流れた。


くそ。せっかくヨシタクとコンタクトできたのに。防がれたか。。
まぁでも収穫はあった。

ヨシタクは俺になって、ちゃんと会社にも行っているし家族ともうまくやっている。
そしてヨシタク自身もサラリーマンになってみたいと思ったものの
元の生活に戻りたいと思っている。

これが聞けただけで十分だった。

とにかく、電流のタイマーが0になるまでに元に戻る方法を見つけようと。


続く

5話はこちら



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