8.絶望と希望の狭間で

病棟に戻ったけど、私は病室に戻りたくなかった。
同じ病室には、私と同じようなトラブルを抱えた妊婦さん達がいた。
その人達に動揺を与えたくなかった。

私の希望により用意された処置室は隣が新生児室だった。

「ゴメンね」「ゴメンね」
と泣きじゃくる私にダンナ氏も同じくらい辛そうな声で
「お願いだから謝らないでくれ」
と言った。

医師から今後の処置を聞く。
こうなってしまったら、出来るだけ早く手術で外に出してあげなければならないらしい。
明日、予定されいるオペとオペの間に緊急オペとして追加されることになった。
そのため、時間はわからない。
今日やることは、手術の同意書にサインをして、あとは明日の手術まで、じっと待つことしかなかった。

長い夜、ダンナ氏には一旦家に帰ってもらった。

1人で絶望と諦めの間を行ったり来たりしていた。
隣の部屋から聞こえる新生児の泣き声がその時の私のたった1つの癒しだった。

私がどんなに絶望のどん底にいようとも、隣では新しい命が生きようと懸命に泣いている。
私の今の絶望がこの世の全てじゃないことを教えてくれていた。

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